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【折口信夫(釈迢空)と芸術】民俗学の基礎を築いた「折口学」と呼ばれる研究 | 百人練磨001

投稿日:2023-03-07 更新日:

つなワタリ@捨て身の「プロ無謀家」(@27watariです。

 

「百人練磨」という形での個人的な備忘録メモです。あくまでも雑記メモです。もし何かのお役に立てれば幸いですが、あまりお役に立てないでしょう。

 



 

折口信夫の基本情報

名前:折口 信夫(おりぐち しのぶ)(←クリックするとアマゾンのページに飛びます)
生年:1887年(明治20年)2月11日(大阪府西成郡木津村)
没年:1953年(昭和28年)9月3日(東京都新宿区信濃町)
※中学の同級生でもある日本の歴史学者・岩橋小弥太(いわはし こやた)によると、本来の読み方は「のぶを」で、國學院在籍時から「しのぶ」と名乗るようになったらしい。

 

基本プロフィール:
日本の民俗学者、国文学者、国語学者であり、「釈迢空(しゃく ちょうくう)」と号した詩人・歌人でもあった。顔に青痣(あざ)があったため、「靄遠渓(靄煙渓)あい・えんけい=青インク」とと名乗ったこともある。

詳細プロフィール:折口 信夫 Wikipedia

 

 

 

何度かの自殺未遂……折口信夫の性格や気質とは

色白で諸弱体質、さらに赤面症。しかも右眉毛付近に青痣あったことによる劣等感の強さも知られている。その反動による異様なストイックさから引き出された自虐衝動も強く、成績が下がったことを苦にして1902年暮れに自殺未遂。さらに1903年3月自殺未遂。1904年には英会話作文・幾何・三角・物理の4科目で落第点を取って留年となりました。この当時、室生寺・奥の院(奈良県)で自殺を図った若き日の国学者・釈契沖に共感したとされます。

 

折口は同性愛者。女性への生理的嫌悪は激しく、「女が作ったご飯は不潔だ」などと公言していました。隠すことない貪欲な男色家(年下の同性に対するもの)であり、養子にして実質同性婚までした弟子がおりながらも、お気に入りの弟子だった加藤守雄さんを口説きます。折口は逃げられても逃げられても執拗に追い回しました。異常な執拗さを加藤さんは本にまとめています。『わが師折口信夫』(←クリックするとアマゾンのページに飛びます)です。この他にも弟子の回想記などが出ていますので、別視点からの折口研究に役立つでしょう。

 

折口が同性愛に目覚めた時期は不明ですが、象徴的な作品として男子中学生同士の少年愛を描いた小説『口ぶえ』(1914年に「不二新聞」にて連載)が知られています。また、不思議なことに江戸川乱歩が1926年に発表した『乱歩打明け話』はほぼ同じ内容であることで有名です。

 

また、師である柳田國男とも “ そういった関係があった ” という話を聞きますが、それは定かではありませんし、謝った情報だと思われます。少なくとも公では柳田國男は同性愛を完全否定し、折口を人前で糾弾することもありました。折口は同性愛は男女の関係より純粋だと譲りませんでした。

 

さらにコカイン中毒かつ孤児妄想(自分の本当の母親が他にいるのではないかという妄想)にとりつかれていたようで、様々な奇癖が伝わっています。

(MEMO)
繊細なのか、深刻すぎるのか、衝動的なのか、エキセントリックなのか、性格や気質については掘り下げる必要がある。

 

・ ・ ・

 

研究(思考)スタイルは「直感的」。伊勢志摩・大王崎からの海の眺めからマレビト説の着想を得たことでもわかります(後述)。自らの直感から一般的な法則を導き出そうとする「(独善的)帰納法」ともいえます。理詰めで探求する柳田國男とはまったく逆の思考方法でした。

 

すべてを理詰めで考えて理解するようとするのではなく、自らの感覚に没入して自分の中にある事実を見つけ出そうとする研究スタイルであったため、同僚たちからは疎んじられました。柳田國男が神を「先祖の霊」ととらえていたのに対して、折口は「精霊」と考えていたこともあり、決定的なすれ違いが生じていたともいえます。

 

また、文化人類学者の中沢新一氏によると、「折口は異様な潔癖性で、原稿を左から書いていた」らしいです。たしかに通常のような右から書いていけば、必ず手が汚れてしまいます。

 

 

「折口学」を説明するために欠かせない言葉

「(独善的)帰納法」から生み出される折口の思想は、「折口学」とも呼ばれています。象徴的な言葉として「マレビト」「ヨリシロ」「常世(とこよ)」「貴種流離譚(きしゅりゅうりたん)」「宮中歌人(宮廷歌人)」などがあります。

 

「マレビト」は、外界から稀にやって来る精霊のような存在であり、祭りや能や狂言など芸能に発展する起源と考えていました。その「マレビト」が憑依するものが「ヨリシロ」という概念で、櫓や神輿、山車といった神事に欠かせないものはもちろん、外の土地からやってくる放浪者から果ては乞食まで包括して捉えていました。この考えを正当化(?)するために「貴種流離譚(きしゅりゅうりたん)= 神や英雄が異郷を彷徨いながら試練を克服して成長する」という物語の原型を提示しました。こういった型の確立が国文学発生の基礎と評価されています。

 

こういった思考のベースに横たわっているのが「不幸の境遇」であり、恵まれない状況で成長していくという型は、自身の幼い頃からの劣等感・孤児妄想によって導かれたのではないでしょうか。とくに母親に対する強い執着心は激しく、昭和を代表する劇作家、寺山修司の思考とも重ねられるような気もします。要するに母親という存在は、創造力の源の大きなひとつともいえるのではないでしょうか。

 

 

 

柳田國男との接点のきっかけは、1912年8月伊勢、熊野の旅

1912年8月伊勢、熊野を旅し、1913年12月「三郷巷談」を柳田國男主催の『郷土研究』に発表ししたことで柳田との関係が生まれる。後に柳田の高弟として名を馳せることとなる。

 

折口信夫にとって伊勢志摩とはどのような存在だったのか?

 

折口は三重の伊勢志摩方面を旅した。太平洋を望む大王崎(志摩市)という岬に立ち、光を含んだ海をながめた。海のかなたに魂のふるさとを見た気がした。神話でスサノオノミコトが母を慕って激しく泣いた妣(はは)の国を折口はそこに重ね、また古代人があこがれた不変の国、常世(とこよ)に思いを巡らせた(中略)祖先を動かしていた力は今もなおわれわれの心に生きていると信じる、そう折口は『妣が国へ・常世へ』で書いている。

 

引用:伊勢志摩サミット 日本の歴史と国柄 内外で再確認される機会に(産経新聞/2015/7/17 15:00)
https://www.sankei.com/article/20150717-5DJ3KPI22RKJPPRBSTVTUMV5BI/
魚拓URL:取得できず

 

折口は伊勢志摩・大王崎に立って大海原を臨み、「(この場所には)日本人の魂のふるさとがある」と着想しました。『妣が国へ・常世へ』には、大きなターニングポイントとなった想いが書かれています。

 

追記します。

 

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