つなワタリ@捨て身の「プロ無謀家」(@27watari)です。アンケート調査はさまざまな形で行われています。実際に信頼性が高いとされる適切なサンプル数はいくつぐらいからでしょうか。少し調べてみました。
【目次】本記事の内容
- 1 適切なサンプリング数を決める2つの要素
- 2 アンケートを配信する人数の算出方法
- 3 50サンプル、100サンプルの場合の誤差はいくら?
- 4 市場調査は500サンプルあれば最強データとなる?
- 5 設問数(ボリューム)次第で質は変わってきてしまう
- 6 <まとめ>信頼性の高いアンケートの基本条件
- 7 <補足01>アンケートの回答率を上げる方法
- 8 <補足02>単純なチェック方法もアンケートの目的によって変えていく
- 9 <補足03>メリットだらけ! webアンケート作成ツール6選
- 10 <補足04>有意であるアンケート結果に導く集計や分析
- 11 <補足05>これを読めば、アンケート調査についてはバッチリ!
- 12 <補足06>アンケートの歴史〜はじまりはアメリカの国勢調査「人口センサス」
適切なサンプリング数を決める2つの要素
アンケートにおいて、適切なサンプリング数は下記の2つの要素で決定します。
「母集団の人数」と「正確性」
この2つです。
○母集団を基本に考えた場合の適切なサンプル数
母集団の人数によって必要なサンプル数は、以下が目安となります。
100人→必要なサンプル数:80人
1,000人→必要なサンプル数:278人
10,000人→必要なサンプル数:370人
100,000人→必要なサンプル数:383人
1,000,000人→必要なサンプル数:400人
このサンプル数で出される結果の誤差は「5%程度」で意味のあるものとされています。
ここで正確性を高めようとした場合、サンプル数は「1.5〜1.7倍程度」まで増やすといいとされています。
ちなみにここでは誤差と書きましたが、正式には「許容誤差」と呼ばれています。もし許容誤差を1%以下にしようと考えた場合は、サンプル数は調査した人の数とほとんど変わらなくなります。
調べてみると、ネットでアンケートサービスを提供している「SurveyMonkey」で許容誤差を計算するページを公開していました。
参考:許容誤差の計算(SurveyMonkey)
https://jp.surveymonkey.com/mp/margin-of-error-calculator/
◯母集団とは、調査対象の条件を満たす人たちのこと
話が前後してしまいましたが、母集団について説明します。
母集団は、英語では「population」と書きます。調査対象の条件を満たす人たちのことです。つまりアンケートを取る場合は、この母集団の性質を明確にすることが基本となります。
母集団の性質で意識するポイントは、「対象エリア」「対象者」の2点です。調査前に決めた母集団の性質から外れた人への調査は意味をなしません。
アンケートを配信する人数の算出方法
母集団の人数によってサンプル数は変わるわけですが、一般的には400人程度が集まれば、精度の高い数といわれています。
では、サンプル数を集めるためにアンケートを配信する場合、必要な数はどのくらいでしょうか?
カギを握るのは「回答率」です。
回答率を20%と予測した場合、400人程度のサンプルを集めるために必要なのは、2,000人となります。
50サンプル、100サンプルの場合の誤差はいくら?
先程も書きましたが、一般的には400人程度が集まれば精度が高いといわれています。
一方、50サンプル、100サンプルでも充分だという意見もあります。
それは誤差に対する考え方の違いでもあります。
実際の誤差の目安は、以下のとおりとなります。
50サンプル→15%程度
100サンプル→10%程度
○誤差5%は有意水準と呼ばれる
統計学には、有意水準という言葉があります。ザックリと言ってしまうと「有意=偶然とは考えにくい」というニュアンスです。
ちなみに厳密さを求める場合は、誤差1%に設定することが必要とされています。
市場調査は500サンプルあれば最強データとなる?
数の観点から考えると、市場調査は500サンプルがひとつの水準と考えられています。
しかし数だけ意識していると落とし穴にハマってしまいます。
○調査対象者の選定が精度を高め、最強データとなる
最強の市場調査を求めるためには、調査対象者の選定にも気配りが必要です。
そのためには「対象エリア」「対象者」の2点を意識する必要があります。
設問数(ボリューム)次第で質は変わってきてしまう
だいたいアンケートのイメージはつかめてもらえたと思います。
最後に精度の高いアンケートを回収するためにとても大事な要素をお伝えします。
それは「設問数(ボリューム)」です。
アンケートの質問数や選択肢が多すぎると、途中で回答を放棄する人が増えてしまいます。
個人情報記載の有無でも回答率はかなり変わります。
回答形式には「選択」「自由回答」「順位法」「点数配分」などがあり、回答者の思考の導線を意識して設計していきます。
バイアスがかからないように最初から満足度を聞かず、総合的・一般的な質問から入っていくなど、独自のテクニックもあります。
○何分くらいを意識したアンケートがベストか?
例えば「単一選択回答で1問あたり10〜15秒、複数回答で15〜20秒、自由回答で5分」などと予想時間を設定し、積算していきます。
個人差はありますが、心理的に長いと思われるアンケートは20分程度とされています。
そこから逆算して設問を考えていく必要があります。
○アンケート調査から結果を導くまでの手順
アンケート調査を行う場合の基本的な流れをサラリと紹介しておきます。
(1)アンケートの目的を決める
(2)目的に合致した対象を決める
(3)アンケート調査票を作成する(回収と集計を意識した設計)
(4)アンケートの配布、周知、回収(予算と時間に応じて)
(5)単純集計作業(回収後)
(6)クロス集計作業(回収後)
(7)データのグラフ化
(8)データの分析
(9)報告書作成&結果周知
だいたいこんな流れになります。
○アンケート調査にかかる期間や費用は?
ザックリとかかる時間の目安は……少なく見積もって「設計に2ヶ月、配布と回収に1ヶ月半、集計と分析に2ヶ月、報告書作成に1ヶ月半」程度でしょうか。アンケート事業の規模と、内容の濃さによって異なりますが、最低でも半年から1年はかかります。
かかる費用は100〜150万円程度といったところでしょうか。少なくとも私が関わったアンケート調査では・・・基本はピンキリなのですが、しかし100万円で収まるケースはほとんどありませんでした。
<まとめ>信頼性の高いアンケートの基本条件
ここまで紹介した要素をベースに信頼性の高いアンケートの基本条件を考えてみました。
・サンプル数400人
・属性(調査対象&エリアなど)が明確
・設問に選択回答5〜7問&自由回答1〜2問の内容
だいたいこんな感じではないでしょうか。
参考になれば幸いです。
<補足01>アンケートの回答率を上げる方法
さて、アンケートの回答率というのは、普通の場合は15〜20%程度に設定するのが妥当でしょう。しかし、できれば一人でも多くの意見を回収したいのが、人情というものです。そこで、アンケートの回収率を上げる要素を参考として箇条書きで挙げておきます。
<アンケートの回収率を上げる方法>
・設問を簡単かつ少なめにする
・回答を複雑にしない
・アンケート設計に流れを作る
・自由回答は1つに絞る
・プレゼントを用意する
これは不特定多数の場合の回収率を上げる方法です。たとえばコンサートや演劇など、目的があって参加する人に対してのアンケートの場合は異なります。
ちなみに回収率を上げるといっても限界があります。一般的には40%が限度でしょう。それ以上の回答率の場合は、よほどのエサ(謝礼など)がないと厳しいです。
<補足02>単純なチェック方法もアンケートの目的によって変えていく
アンケートを取る側の目的を把握し、チェック方法を変えることも必要です。
アンケートでは、項目に丸を付けるパターンが多いような気はします。それはダメではありませんが、単純なチェック方法にもいくつかのパターンがあることを覚えておくといいでしょう。
代表的なのは、「スケール式」「チェックボックス式」「丸囲み式」などがあります。これは紙でのアンケートの場合ですが、webアンケートの場合だと、単一選択ができる「ラジオボタン式」などもあります。
最近は紙のアンケートとwebアンケートを同時に行う場合がありますが、すべて同じ形式にこだわっているケースが見受けられます。考え方によっては、公正な結果を導き出すには適正とも考えられますが、私はアンケート媒体の特性を最大限に活かす方がいいと考えています。
<補足03>メリットだらけ! webアンケート作成ツール6選
最近でwebアンケートが非常に増えてきています。なぜならば、使う方にとっては、メリットだらけだからです。
なによりも印刷や郵送といったコストがかかりません。通勤途中などのスキマ時間にやってもらえる利便性もあります。時間のロスも少ないですし、なによりも回収データの集計や解析が簡単に行なえます。
恐ろしいほど便利です。
Googleのサービスを利用する人は多いですが、他にもさまざまな会社がwebアンケート作成ツールを提供しています。
代表的なwebアンケート作成ツールをいくつか紹介します。
<webアンケート作成ツール6選>
・「Googleフォーム」https://www.google.com/intl/ja_jp/forms/about/
・「formrun(フォームラン)」https://form.run/home
・「Questant(クエスタント)」https://questant.jp/
・「SurveyMonkey(サーベイモンキー)」https://jp.surveymonkey.com/
・「SELECTTYPE(セレクトタイプ)」https://select-type.com/
・「form-mailer(フォームメーラー)」https://www.form-mailer.jp/
「webアンケート ツール」で検索すると、いろいろなサービスが出てきます。つぎつぎと新しいものがリリースされていますので、時間がある方は、自分の好みにあったものを探してみるのがいいでしょう。
まぁ、安定性という部分では、「Googleフォーム」がベストだとは思います。
Googleフォームの使い方は、Kindle版で無料で学ぶことができます。ぜひ何ができるのかチェックしてみてください。
代表的なものを2冊紹介しておきます。
◯「はじめてのGoogle フォームの教科書2021」
『はじめてのGoogle フォームの教科書2021』
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Googleフォームの基本から実際のアンケート作成方法までが丁寧に紹介されています。ボリュームは493ページもあります。それだけ内容が濃いので、「えっ! こんなこともできるんんだ!」と驚かされることも多いと思います。
◯「仕事で使える!Googleフォーム Webフォーム&アンケート活用術」
『仕事で使える!Googleフォーム Webフォーム&アンケート活用術』
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Googleフォームの基本をシンプルにまとめた入門編。実際の活用例をベースにして紹介していますので、初心者にはわかりやすいでしょう。しかし、ある程度知っている人にとっては、物足りません。
<補足04>有意であるアンケート結果に導く集計や分析
アンケートを実施しても分析がイマイチだと意味を成しません。そこでアンケートは集計や分析を闇雲にやるのではなく、意図的に分析しやすいように設計していく必要があります。つまり「有意であること」が大切です。
◯アンケートで「有意であること」というのは、どういう意味なのか?
「有意であること」とは、統計的に正しく、信頼できるデータであるということです。一定数以上の回答数、信頼性の高い回答者であることが基本となります。
◯有意であるアンケート結果のために必要な集計と分析の方法
アンケートの分析で大切な集計や分析方法をいくつか紹介します。
(1)単純集計
アンケートを回答した人の割合を表すもので、最もシンプルな方法が単純集計です。単純計算は全体像を把握するために欠かせない基本です。
(2)クロス集計
性別や年齢、居住地などの属性によって切り分けて情報を精査する方法です。単純集計をよりも深い分析ができます。
(3)時系列分析(トレンド分析)
定期的に同じアンケートを実施して一定期間のデータを蓄積させることで見えてくる分析方法です。日本で最大かつ有名な時系列分析は、「国勢調査」となります。
(4)自由記述集計
数値や感想を自由に記述してもらうか、もしくは多数の可能性のある数値や感想を選択肢化して選んでもらう手法です。かなり幅広いデータが集まる可能性があり、分析者の手腕が問われます。
(5)決定木分析(けっていぎ ぶんせき)
ディシジョンツリーとも呼ばれ、「予測・判別・分類」を目的としており、ビジネスシーンでは有効なアンケート分析として活用されています。例えば「自社商品・サービスの購入見込み層の絞り込み」などに活用できます。「Yes」と「No」によってふるい分けしながら分類していく方法と言った方がわかりやすいかもしれません。
(6)クラスター分析
クラスターとは、グループ(集落)のことです。新型コロナ感染拡大で一般に知られるようになりました。異なるものが混ざりあっている集団の中から似たものを集めてクラスターを作って分析します。階層クラスター分析と非階層クラスター分析の2種類の方法があります。質問数は多くなってしまいますし、分析にも時間はかかりますが、あぶり出されるクラスターと内容によって、意外な傾向が見えてきます。ブランディングに使われる方法です。
(7)アソシエーション分析
バスケット分析とも呼ばれるもので、ビッグデータから何と何が一緒に買われるかを分析する手法です。想定外の新しいパターンやヒントを得るときに使われる手法です。実際の購入結果だけではなく、ネット検索との関係性なども連携させて分析していきます。
ざっくりと集計や分析方法を紹介しましたが、手段を紹介しても実際のアンケート設計とはリンクしにくいと思われます。そこで、有益なアンケート調査に関する解説本を紹介します。
<補足05>これを読めば、アンケート調査についてはバッチリ!
アンケート調査と統計解析について勉強しようとすると、けっこうハードルの高い本が多いように感じられます。実際、アンケート調査は難しいイメージでしょうが、さまざまなサンプルもネットを検索すれば出てきますし、意外と難しいものではありません。
初心者でも理解しやすい本も出ておりますので、2冊紹介します。アンケートを実施しようと考えている方は、ぜひご覧になってください。
◯「図解 アンケート調査と統計解析がわかる本」
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日本能率協会マネジメントセンターから出版されている初心者向けの一冊。統計解析の基本や分析のテクニックを実践的にまとめています。すぐに活用できるので、かなり好評のロングセラーです。
◯「マーケティングリサーチとデータ分析の基本」
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国内ネットリサーチ最大手であるマクロミル社のエグゼクティブマネジャーによる一冊。インターネット調査のプロセス、インタビュー調査、リサーチ後のアウトプットなどといった重要ポイントがわかりやすく丁寧に解説されています。
<補足06>アンケートの歴史〜はじまりはアメリカの国勢調査「人口センサス」
アンケートという言葉は、質問・調査の意味を持ったフランス語「enquête」に由来しています。英語では「サーベイ(survey)」などと呼ばれています。
世界初のアンケート調査は1790年にアメリカで行われました。アンケートの内容は、アメリカ合衆国憲法第1条第2項に基づいて実施された国勢調査「人口センサス」です。現在も10年周期で行われています。
日本での第1回国勢調査の実施は、1920年(大正9年)のことでした。これは“日本近代統計のの父”と呼ばれている杉亨二(すぎ こうじ)によって提唱されました。詳しい歴史は総務省統計局のサイトをご覧になってください。
参考:
大正9年(1920年)第1回 国勢調査 我が国最初の国勢調査(総務省統計局)
https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/kouhou/ayumi-01.html
日本近代統計の祖「杉 亨二」(総務省統計局)
https://www.stat.go.jp/library/shiryo/sugi.html
では!
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