つなワタリ@捨て身の「プロ無謀家」(@27watari)です。
ネットで見つけたAI(人工知能)関連の最新記事などを紹介します。今回は「生成AIの問題点や著作権」についてです。
集英社が6月7日にAI生成画像を使ったグラビア、写真集「生まれたて。」の販売を終了すると発表しました。編集部は発売後にさまざまな意見を受け、AI生成物の販売は慎重に考えるべきと判断したそうです。これは5月30日に文化庁ならびに内閣府が公開した「AIと著作権の関係等について」という文書にも影響を受けていると思われます。
【目次】本記事の内容
ネットで見つけたAI(人工知能)関連の記事紹介
◯記事タイトル
集英社、“AIグラビア”の販売終了 「生成AIの課題について検討足りなかった」 Twitterも削除(ITmedia/2023年06月07日 15時52分)
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2306/07/news150.html
魚拓URL:https://archive.md/eJ6BY
◯記事のポイント
・集英社は6月7日、AI生成画像を使ったグラビア写真集「生まれたて。」の販売を終了すると発表
・当初は「法務部に確認しながら適法の範囲内でやっている」と回答していたが、議論の深まりを見据えつつ、より慎重に考えるべきであったと判断した(下記画像参照)
こちらが編集部からの声明です(画像を別画面で開くと拡大されます)。
引用:さつきあいデジタル写真集 『生まれたて。』 販売終了のお知らせ(週プレ グラジャパ!/2023年6月7日)
https://www.grajapa.shueisha.co.jp/post/202306/
魚拓URL:https://archive.md/YzkCr
念のために文章も残しておきます。
さつきあいデジタル写真集 『生まれたて。』 販売終了のお知らせ
「週刊プレイボーイ」24号(5月29日発売)に掲載いたしました特集記事「AIグラビア大研究」における「さつきあいグラビア」およびデジタル写真集『生まれたて。』は、グラビアにおける生成AIの可能性を探るため、企画したものです。
本企画について発売後よりたくさんのご意見を頂戴し、編集部内で改めて検証をいたしました。その結果、制作過程において、編集部で生成AIをとりまく様々な論点・問題点についての検討が十分ではなく、AI生成物の商品化については、世の中の議論の深まりを見据えつつ、より慎重に考えるべきであったと判断するにいたりました。
つきましては、さつきあいデジタル写真集『生まれたて。』の販売を終了させていただきます(「週プレ グラジャパ!」は6月7日AM11:00をもって、他電子書店は6月7日以降順次)。
何卒ご理解賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
令和5年6月7日
週刊プレイボーイ編集部
◯グラビア写真集「生まれたて。」の内容
グラビア写真集「生まれたて。」の内容は以下のとおりです。
AI生成画像グラビア写真集『生まれたて。』
・内容:
「さつきあい」という“妹系美少女”の“写真集。表情のバリエーションが少ない、リアルとかけ離れたシチュエーションなど、発展途上さも感じられる内容だった。公式Twitterアカウントも開設されていたが削除された。
・電子書籍(販売価格:499円)
こちらが集英社の試し読みページに掲載された画像(画像を別画面で開くと拡大されます)。
AI生成画像グラビア写真集『生まれたて。』
・発売当初から指摘されていた問題点:
「グラドルの◯◯◯さんに似ている→朝◯唯、椛◯光など」
「コラージュ(フェイク)写真集と見なされる可能があるのは問題」
「元になる特定人物の画像群用意した可能性はどうなのか?」
「微妙に顔が定まってない」
「AIモデルのプロフと現実に存在する人と顔やプロフィールが近過ぎた」
「似てれば権利侵害が成立するなら販売は難しい」
「出版社ならモデルやカメラマンにお金使え」
「AI全面に出すのは無理筋。確信犯でグラビア版のソーカル事件『「知」の欺瞞(アラン・ソーカル)』(←クリックするとアマゾンのページに飛びます)的にやればよかったのに」
参考:
・きみはソーカル事件を知っているか?
https://www.gakushuin.ac.jp/~881791/fn/Hori.html(魚拓URL:https://archive.md/PyQvt)
・「知」の欺瞞 について
https://www.gakushuin.ac.jp/~881791/fn/(魚拓URL:https://archive.md/gVhPW)
・間奏曲-ソーカル事件と「知の欺瞞」
https://ocw.kyoto-u.ac.jp/787_3/(魚拓URL:https://archive.md/wh7m7)
・物理のソーカル事件?
http://www.p.s.osakafu-u.ac.jp/~kayanuma/Socal.html(魚拓URL:https://archive.md/23PAB)
◯「集英社、AIグラビア”の販売終了」に対するネットの声
AIグラビアというのが一般的なジャンルでもなかったこともあり、意外とネットの声は少ない印象でした。とはいえ今後のことを考えると、さらに文化庁ならびに内閣府が公開した「AIと著作権の関係等について」も含めると、非常に重要な問題が潜んでいると思われます。
<「集英社、AIグラビア”の販売終了」に対するネットの声>
・関連記事から記事内に貼ってあった公式Twitterのプロフィール画像見たけど、右腕に左手が生えてて笑っちゃった。アイコンと顔違うし。AIについて真剣に考えて企画したものじゃなくて、話題性だけで適当にやったんだなーってのがよく分かる一枚だった。こういう姿勢がAIに対するネガティブな感情を後押しすることになる。その界隈のプロが手を出して金を取るなら真剣にやって欲しい
・◯◯◯さんに似ている…というか、意図してそういう風に作っている、というの感じでしたからね…海外では既に生成AIを使ったディープフェイクによる脅迫事件みたいな事も増えてきてるようですし…ネットにアップしたデータ、それこそ画像だけではなく音声も含めて、悪用するような事ってこれから増えてくるかもしれないですね…
・人間のようないわば「偶然の産物」の容姿が商品として価値を持つジャンルにおいては、AIを使うのは卑怯で姑息だと思う
・集英社法務部はあえてやったんだろ? 顧問弁護士が誰なのか気になる
・元データになった人達が必ずいたはずで、その人達全員から了承を得ていたらいいんじゃない?
・だ受け入れられるには時間かかると思うな
・ファーストペンギンになるのか、ただの先走りになるのか、難しい所やね
・現状では悪事にしか使われてませんからね。法整備が必要でしょう
・グラビアアイドルと共存関係にあった雑誌がよくこんな事したもんだと
◯「さつきあい」は芸能事務所が主導し作ったものだった!
グラビアアイドル評論家の徳重龍徳氏による記事は、AIグラドル「さつきあい」が誕生するまでの経緯やAIグラビアの課題、さらに『AIグラビアを有名ラーメン店監修のカップラーメンに似ている』といった解釈も含め、非常に内容の濃い記事になっています。
AIグラビアは凄まじい進化、浸透を見せていますし、「週プレ」にさつきあいが掲載されたことにも驚きはありませんでした。「さつきあい」について、AIグラビアを見慣れない人からは「本物と変わらない」など驚きの声が上がりましたが、特別高い技術を持った人が作ったというのではなく、ある程度の知識があれば誰でも作れるレベルという印象です。聞いた話によると「さつきあい」は集英社ではなく、芸能事務所が主導し作ったもので、話題になったことでいろいろと売り込みをかけているそうです。
引用:AIの普及でグラビアアイドルは絶滅する? 「さつきあい」で話題、専門家は“二極化”を指摘(デイリー新潮/2023年06月07日)
https://www.dailyshincho.jp/article/2023/06071101/?all=1
魚拓URL:https://archive.md/O2f6v
では、今回の販売停止に少なからず影響を与えた「AIと著作権の関係等について」についても触れておきます。
「AIと著作権の関係等について」(文化庁ならびに内閣府)
今回の販売停止に少なからず影響を与えたのが、5月30日に内閣府が公開した資料「AIと著作権の関係等について」です。この資料は文化庁が制作したもので、かなり踏み込んだ内容と注目が集まっています。
こちらです(画像を別画面で開くと拡大されます)。
引用:AIと著作権の関係等について(文化庁著作権課/内閣府科学技術・イノベーション推進事務局)
https://www8.cao.go.jp/cstp/ai/ai_team/3kai/shiryo.pdf
魚拓URL:https://archive.md/3IsJN
この資料では、大前提として「AI開発・学習段階」と「生成・利用段階」という2つの考えを分けて考えることが必要だとされています。ポイントは「表現上の本質的な特徴」という線引の判断ではないでしょうか。
◯「AIと著作権の関係等について」に対するネットの声
私よりは詳しい人が何か導線となる意見を書いてくれていることを期待してチェックしてみましたが、やはり声が少なかったですね。
<「AIと著作権の関係等について」に対するネットの声>
・著作権法というものは、他の人権法と大きく異なるところがあります。それは「文化の発展のため」という全体的目的をもっていることです。結果、AIなどを考えたときに現状の法律構成で文化的発展が望めないならば、著作者に対し更なるアクティブな権利が発生する可能性は、十分にあるといってよいでしょう
・現在の生成系AIは基本的にどれでも抽出はフラットにやるので、学習対象の表現をよく学習してしまう。なので、その学習モデルが生成したデータについては、著作権と抵触する事態が頻発するでしょう
・この著作権法の規定は、3年くらい前?の改正でしたよね。この規定自体が、AI開発者寄りなんですよね。改正当時は画像認識などでの学習データとしての利用が、よく例示されてましたよね。「猫の画像」を大量に学習させて、風景の画像や映像から猫を抽出するとか。改めて開発・学習段階での著作物の利用に関する議論(著作権法の修正の議論)をした方がよいでしょうね
・「表現上の本質的な特徴」というのは要するに著作物性のことです。裁判では度々登場する言葉です。「自然の摂理部分を学習」というのは著作物性とは無関係な箇所を学習することを言っているのだと思いますが、ここにちょっとズレがあるのではないかと思います
・この指針では「AIに丸投げして、発表する前の確認・選別を怠るなよ?」と言っている。飽くまでもAIには罪はなく、利用する側が発表の責任を一定に負うべきというスタンスだ。
・弁護士の解釈は合っています。その前の編集者の記載箇所に誤りがありました。今確認しましたら、文末の「利用可能という。」が「利用できないという。」にこっそり修正されていますね。ですが、その部分しか修正していないため、文頭の「例えば」や次の段落の「しかし」と繋がらないおかしな文章になってしまっています
・公開・販売されているイラストに対してクリエイター側が提訴する事例が増えていけばいい
・そろそろ柿沼弁護士に意見聞くのやめたら…? JDLAの委員。ディープラーニングを利用する企業が集まった社団法人、著作権に関しては侵害する側の人間だけが集まった団体やろ。統一教会の話を統一協会の顧問弁護士に聞きに行って、「詳しい人に聞いた」「何も問題はなかった」って言ってるようなもんやろ
・デジタルで敗戦したからな、Alで敗戦したらもう終わりだ
・AIだろうが「通常の著作権侵害と同様の法が適当される」点は重要
・結局人間がやる場合と変わらないということですね。絵の勉強のため他人の絵を模写したりテクニックを学ぶのは合法。他人の絵に似せた絵を描いて発表すると違法。現状のAIにはその判断は出来ないので扱う人間に罪があると
・ ・ ・
個人的には最後2つのコメントがわかりやすかったです。当然ですよね。しかし、扱う側が処理できないので、最終的にはAIにチェックさせるということでしょうか。だんだん頭が混乱してきますね。
○記事の内容と感想
画像に関しては無難なイラストを抽出させるしかないのでしょうね。
めっちゃ雑な感想ですが、「無難な」という部分に大きな経験と判断力が求められることとなりますね。
では!