つなワタリ@捨て身の「プロ無謀家」(@27watari)です。
気になった謝罪文の実例を収集してアーカイブしている記事です。謝罪するようなことが起きないことに越したことはありませんが、もしご自身や仲間に何かが起きた時に参考にしていただければ。
【目次】本記事の内容
2022年6月5日、東京電力「福島第一原発事故」初の謝罪(全文あり)
東京電力ホールディングス経営幹部が2022年6月5日、「初の謝罪」を行いました。
これは東京電力福島第一原発事故で避難を強いられた福島県内の住民が東電に損害賠償を求めた訴訟に対してのもので、その後に控える6月17日での最高裁判決との関連性によるものです(結果は、国の責任を認めない判決を菅野博之裁判長が言い渡した。これにより賠償義務は従来通り東電だけが負うことになった。判決に関しては記事後半をご覧になってください)。
裁判の結果はともかく、東京電力ホールディングスの謝罪文の全文をしっかり伝えるメディアが思いのほか少なかった気がします(私の体感)。
歴史的な謝罪ともいえますので、いろいろと探したところ、河北新報に記載されていました。
副団長の国分富夫さん(77)は「怒りを感じる」と一蹴。小早川智明社長が直接謝罪しなかったことに対し「これだけの事故を起こしておいて社長が来ないのは常識的に考えてあり得ない。被害者を甘く見ている」と憤りをあらわにした。
弁護団は「歴史的な快挙」としつつ、東電が「確定判決を真摯(しんし)に受け止める」としなかったことなどを不十分と指摘。
引用:「人生狂わせた」 東電、社長名で避難者訴訟原告団に初の直接謝罪(河北新報ONLINE NEWS/2022年6月6日 6:00)
https://kahoku.news/articles/20220605khn000024.html
魚拓URL:https://archive.ph/lgpeB
東京電力・小早川智明社長名の謝罪文全文(2022年6月5日、双葉町産業交流センター)
謝罪文は東電福島復興本社の高原一嘉代表と内田正明副代表が原告団長の早川篤雄さんへ読み上げ、手渡されました。会場は福島県双葉町の町産業交流センターで行われました。
・ ・ ・
謝罪文は以下となります。
2022年6月5日
福島原発避難者訴訟第一陣原告団の皆さま
東京電力ホールディングス株式会社
代表執行役社長 小早川智明
原告の皆さまに対する謝罪について
当社の起こした事故により、皆さまのかけがえのない生活やふるさとにとても大きな損害を与えたことにより、皆さまの人生を狂わせ、心身ともに取り返しのつかない被害を及ぼすなど、様々な影響をもたらしたことに対し、心から謝罪いたします。誠に申し訳ございません。
当社事故の避難指示により、着の身着のまま、状況も不透明な中で緊急的に避難されたことや、慣れない土地での生活に対する大変なご苦労をおかけし、いつふるさとに戻ることが出来るのかといったご不安など大変な苦悩を抱えられたこと、また、いまだ当社事故による爪跡は大きく、11年の歳月が経過しても、まちの風景や情景が元に戻っていないことなど、事故による被害の甚大さについて、事故の当事者として、その責任を痛切に感じております。
当社は、あのような大きな事故を防げなかったことについて、深く反省しております。そして、社員に対して事故の反省と教訓を伝える研修などにより、事故の事実と向き合い、福島への責任を果たす覚悟と安全に関する意識の改革について、世代を超えて引き継ぎ、人が変わっても、これを企業文化として根付かせるべく取り組みを進めております。
また、一人でも多くの方にご帰還いただくことができるよう、福島の復興に向けた取り組みに注力することこそが、事故の当事者である当社が果たすべき「福島への責任」であると考えております。当社は、引き続き、地域の皆さまとよくご相談させていただきながら、帰還および地域の復興に向けた活動を進めてまいります。
今後、特定復興再生拠点の避難指示解除など、復興のステージが進み、避難されていた方々のご帰還、なりわいや地域コミュニティの再建・再生が進んでいくことに応じ、当社に求められる役割も変わっていくものと考えており、地域の皆さまからのご要望をつぶさにとらえ、当社で何ができるかを常に探しながら、一人でも多くの方々のお役に立てることを実施すべく、真摯に取り組んでまいりたいと考えております。
当社にとって、「福島への責任の貫徹」が最大の使命であり、その責任を果たすために存続を許された会社であることを社員全員が改めて肝に銘じ、福島復興本社代表の高原とともに、主体性を持って全力で取り組んでまいります。
以上
被害者救済措置が電気料金にはね返ってくる。最後に苦しむのは庶民
東電の責任は厳しく問われていくことになるでしょうし、それなりの賠償も行われていくでしょう。
しかし、そのお金は電気料金に反映されるのは明白です。いつだってシワ寄せとなるのは庶民です。今後の東京電力の電気代はえげつなく上がっていくでしょう。電気供給も減らしていくはずです。
つまり東京電力を利用している人は、二重の苦しみを味わうことになります。
基本の企業体質はゴミですね。日本は破綻の道をまっしぐらに進むだけです。
そのういった状況で私たちは何をすればいいのでしょうか。何を備えればいいのでしょうか。少なくとも文句を言っていることが解決にはならないことは明白です。
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では、最後に最高裁判決について興味深い記事がありましたので、補足として紹介しておきます。
6月17日出された「国の責任を問えない」という最高裁判決について
東京電力が謝罪文を出すに至った最高裁判決の判決については、さまざまな意見があるようです。
「生業を返せ、地域を返せ!」という福島原発訴訟についての最高裁判決を前に政府は謝罪文を用意していたようです。しかし、結果は……。最高裁判決の翌日に開かれた判決検討会には原告団の主だったメンバーすら姿を見せないなど欠席が目立ったそうです。それだけ想定外のことにショックを受けたようです。
今回の最高裁判決について、作家の赤坂真理さんと福島原発事故の被害救済訴訟「生業訴訟」の弁護団事務局長である馬奈木厳太郎(まなぎ いずたろう)さんの対談記事を見つけました。非常に興味深い内容です。
赤坂 判決を聞いていて心臓が冷たくなってしまいました。傍聴席から向かって右側に原告団が着席していたんです。判決が下った瞬間、その法廷の右側から色が消えてしまったように見えました。「顔色を失う」という表現があるけど、本当に人が色を失うというシーンを生まれて初めて目撃しました。
引用:生業訴訟「最高裁判決」のまやかし部分を徹底解剖する(集英社新書プラス/2022.8.12)
https://shinsho-plus.shueisha.co.jp/column/%E8%B5%A4%E5%9D%82%E7%9C%9F%E7%90%86%E3%80%80%E3%81%AA%E3%81%8D%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%AB%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%B8%E3%81%AE%E7%89%A9%E8%AA%9E%E3%82%8A/20095
魚拓URL:https://archive.ph/b9FQE
◯異例ともいえる30ページに及ぶ反対意見が盛り込まれた判決文
記事は「最高裁判決文の全文の読み比べの提案」で結ばれていました。
今回の判決文は全54ページで、補足意見として25ページ目の末段から「裁判官三浦守の反対意見」が30ページに渡って書かれていました。判決文内に長文の反対意見が書かれているのは極めて異例のことのようです。とはいえ、グレーな判決は山ほどあります。それを闇に葬ってしまわないスタンスは非常に意義があります。
原告側に立って考えると、「読み比べなど意味がない。ふざけるにもほどがある」という気分になってしまいます。
とはいえ司法国家としての矜持というか、判決を冷静に受け止めて未来の糧にしていこうという極めて理知的なスタンスが赤坂さんと馬奈木さんからは感じられます。まさに臥薪嘗胆といったところでしょうか。
反対意見を盛り込んだ裁判官三浦守さんへ敬意を表して、最高裁判決文の全文のリンクを貼っておきます。ぜひ読み比べしてみてください。
参考:最高裁判決文「令和3年(受)第342号 原状回復等請求事件 令和4年6月17日 第二小法廷判決」(最高裁判所)
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/243/091243_hanrei.pdf
魚拓URL:https://archive.ph/iXy7k
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最後に「裁判官三浦守さんの反対意見」について書かれた記事をリンクしておきます。他にも気になる方は、『三浦守 反対意見』などと検索してみてください。
<三浦守さんの反対意見に関する記事>
・反対意見の判事「国の行為は違法」( 福島 NEWS WEB)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20220617/6050018977.html
魚拓URL:https://archive.ph/ubWom
・原発賠償集団訴訟令和4年6月17日最高裁判決三浦守裁判官の反対意見(芦屋本通り法律事務所 )
https://www.ashiyahondori.com/2022/06/17/%E5%8E%9F%E7%99%BA%E8%B3%A0%E5%84%9F%E9%9B%86%E5%9B%A3%E8%A8%B4%E8%A8%9F%E4%BB%A4%E5%92%8C%EF%BC%94%E5%B9%B4%EF%BC%96%E6%9C%88%EF%BC%91%EF%BC%97%E6%97%A5%E6%9C%80%E9%AB%98%E8%A3%81%E5%88%A4%E6%B1%BA%E4%B8%89%E6%B5%A6%E5%AE%88%E8%A3%81%E5%88%A4%E5%AE%98%E3%81%AE%E5%8F%8D%E5%AF%BE%E6%84%8F%E8%A6%8B/
魚拓URL:https://archive.ph/h96eN
・原発避難者訴訟 国の責任は否定されたが…最高裁判決文に異例の反対意見 三浦守裁判官が痛烈批判(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/185157
魚拓URL:https://archive.ph/hGQqI
・「住民の安全ないがしろ」 裁判官1人反対意見―原発避難訴訟(時事ドットコム)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022061701167
魚拓URL:https://archive.ph/qWBck
・【解説】原発事故の集団訴訟 1人が反対意見 最高裁判決のポイントは?(TBS NEWS DIG)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/73310
魚拓URL:https://archive.ph/qDR7Y
では!