「おはなしの せかい」は、以前に子ども向けの読み物を会員紙にて連載していた読み物に若干手を入れて再掲載したものです。不定期(半月〜1か月ペース)で更新していくつもりです。全体像はこちらからご確認ください。※本サイトはリンクフリーですが、掲載しております文章などの著作権は「つなワタリ」に帰属します。無断転載、再配信等は一切お断りします。No reproduction or republication without written permission.
【前回までのあらすじ】
小学生のアオイは、困ったことがあると、夢に現れて助けてくれる不思議なおじさんと出会った。苦手な漢字テストを翌日にひかえた夜、アオイの夢におじさんがまた現れた。おじさんの話だと、アオイが協力すれば、明日のテストでいい点をとることができるのだという。その協力とは、おじさんの差し出したブレスレットをつけるだけという簡単なことだった……。
「あぁ~~~~もう朝だ。今日の テスト、どうしよう~!」
「もうテストはうけなくていいから 大丈夫だよ!」
「あ、おじさん!?」
アオイのすぐそばには夢に出てきたおじさんがニコニコ笑いながら立っている。
「え? こ、ここはどこ?」
「ここは夢の世界さ。」
「えっ? 夢の世界!?」
アオイは、まだ夢を見ているのかと思ったが、どうやら違うらしい。
「きみの世界には、きみにそっくりな人を送っておいたから、まったく心配することはない。テストもきみの”そっくりさん“が、がんばるはずさ。」
「ど、どういうこと?」
「この世にはきみたちの住む“現実の世界”と“夢の世界”があって、それぞれにそっくりな人間がくらしている。わたしは夢の世界の研究者。長年の研究で、夢をとおしてきみたちの世界に入りこむ機械を作りだしたのだ。」
「それを使って、わたしの夢に入りこんだわけね。でも、どうしてわたしが“夢の世界”に連れてこられなきゃいけないの!?」
「たしかに、夢に入りこむことには成功した。だが、わたしの最終目的は、現実の世界の人間にかわって、夢の世界の人間を送りこむことにあるのだ。きみはそのための実験台として、夢の世界の“そっくりさん”と入れかわったというわけさ。」
「そんなあ! 今日はテストがあるの! 早く家に帰らせて!」
「そうはいかない。きみも『協力す る』と言っただろう?」
「でも、入れかわるなんて聞いてない!! いつ戻れるのよ!」
アオイはおじさんにくってかかった。
「それは、きみの“そっくりさん”が夢の世界に帰りたいと思うまでさ。夜になって“そっくりさん”が夢を見れば、その夢に入りこむことができる。まぁ、無理だとは思うが、お願いしてみるんだな。」
おじさんはそう言って部屋から出ていってしまった。
「とにかく話すしかないのね…。」
何もない夢の世界に一人残されたアオイは、機械の前にすわってただ待ちつづけた。
*
どれだけの時間がたっただろうか。急に目の前が真っ暗になったかと思うと、機械のモニターに自分と同じ姿の人間が現れた。
「あっ! あなたね!
わたしの “そっくりさん”は!
早くわたしとかわって!」
アオイは、大きな声を出した。
“そっくりさん”は、おどろいたようだったが、すぐに冷たく言った。
「いやよ! 夢の世界なんてたいくつだし。」
「明日は友だちのサクラがうちに泊まりに来る約束をしてるの! 絶対いなくちゃいけないの!」
「それは大丈夫。ブレスレットでつながっているかぎり、あなたの友だちとも、うまくやれるわ。」
「えっ? ブレスレット?」
アオイが腕を見ると、そこには夢でおじさんからもらったブレスレットがはめられていた。
「こんなもの、いらない!」
アオイがブレスレットをはずそうとすると“そっくりさん”がさけんだ。
「さわっちゃダメ! !
そ、それをはずすと、
二度と戻れなくなるわよ!」
アオイはあわててブレスレットから手をはなした。その様子を見て、“そっくりさん”は、あきれたように言った。
「あなたみたいな人と話していると、こっちまで危なくなるわ。わたしは夢の世界に帰るつもりはないの! もう出てって!」
“そっくりさん”がそう言うのと同時に、アオイは何もない夢の世界に戻されてしまった。
「ダメだった…。たしかに“夢の 世界”はたいくつだし、こんな世界に“そっくりさん”が帰りたいと思うわけないよね……。わたしはこのまま夢の世界から帰ることはできないの!?」
「そんなの絶対に
イヤだよ~!!」
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