つなワタリ@捨て身の「プロ無謀家」(@27watari)です。漫画家・荒木飛呂彦氏のインタビューが「CNET Japan」に掲載されていました。荒木氏の作品を創造する真髄を3つキーワードに落とし込むとすれば「想像」「発見」「旅人」ではないでしょうか。まさにこの要素は創造者には欠かせない条件だと私は確信しています。
【目次】本記事の内容
漫画家・荒木飛呂彦氏は、「やっぱり紙が好き!」
ツイッターのタイムラインに荒木飛呂彦氏インタビューのツイートが流れてきました。
漫画家・荒木飛呂彦氏が考える「紙とデジタルの違い」–一問一答インタビュー https://t.co/fYSZdrqkJE
— CNET Japan (@cnet_japan) 2018年11月24日
タイトルは、荒木氏が考える「紙とデジタルの違い」。
実際に荒木氏はデジタルを活用していませんので、違いは深く語られていませんでした。ちょっとガッカリ。
媒体的にはデジタルをディスるわけにもいかないでしょうし、まったく取り上げないわけにもいかないところだったのでしょうね。
氏は「絵は自由。ペンやデジタルはツール。“好きな線”が描けて、“新しい(色などの)発見”から得られる驚きが絵の魅力だ」と語り、最後は「やっぱり紙がいい」と締めくくっています。
結局、いかなる創造物も、最後の拠り所は「自分の感性の判断」ってことになりますね。
漫画家として手塚治虫氏以来の快挙だった国立美術館での個展
このインタビューで知ったこと、気になったポイントなどを箇条書きにしておきます。
・『ジョジョの奇妙な冒険』の連載は1987年スタート、2017年に30周年
・国立新美術館での展示「荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋(2018年8月24日〜10月1日)」は、漫画家としては手塚治虫氏以来28年ぶり2人目の快挙だった
・大阪の巡回展示は11月25日〜2019年1月14日(大阪文化館・天保山)
http://jojoex-2018.com/
・漫画家を本気で目指すきっかけは「キン肉マン」の作者、ゆでたまご氏の存在
・ゆで氏の衝撃から集英社に持ち込み、20歳でデビュー
・同世代のゆで氏は目標というか励みになっている→幸せ
・さまざまな“いい”デザインを衣装などに描いている(昇華させている)
・美意識を刺激するのは音楽
・(物語の展開は)実は計画していない。決めているのは最後だけ。あとは流れ
(C)荒木飛呂彦&LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社
http://jojoex-2018.com/highlights/
・絵は何を使って描いてもいい。自由でいい。デジタルだろうが鉛筆だろうが。
・好きな線を出すこと、新しい色の発見が絵の楽しみ
・大阪展のキービジュアルであるディオのイラストは、黄色やオレンジに緑が入っている。歴史を感じる朱色となった。塗ってみて「ああ!」となった
・デジタルツールは使っていない。試したが、手で描いたほうが速い。しかし、デジタルがダメということではない。コンピューターはアイテム。ペンと同じ
・2メートルの大型原画を12枚の制作期間は約1ヶ月。画材はアクリル(リキテックス)とカラーインク
・大型原画→地球に重力がある!(絵の具が垂れたり、水たまりができたりする)
・描くなら、やっぱり紙とかキャンバス
新作の大型原画「裏切り者は常にいる」 (C)荒木飛呂彦&LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社
http://jojoex-2018.com/highlights/
荒木氏の作品創造キーワードは「想像」「発見」「旅人」
冒頭に書きましたが、荒木氏の作品を創造する真髄を3つキーワードに落とし込むとすれば「想像」「発見」「旅人」になると思います。
この三拍子が揃わないと、いい創造ができません。
簡単に理由を書いておきましょう。
(1)「想像脳」で新しい世界を“見る”ことで創造する
人間にとってもっとも弱い能力。それが想像力です。
残念ながら想像力の99.9999%は、見たり聞いたりしたものに過ぎません。
だからこそ「何かを創造したい人は、不用意に漫画などを見てはいけない!」なんてことを主張する人もいます。見れば見るほど、知れば知るほど想像力(創造力)が冒されていくという理論です。
それだけ想像力というものは、不可思議なメカニズムを持った存在です。
・ ・ ・
インタビューからも伝わってきますが、荒木氏は非常にビジュアル的に想像するクセがついているようです。これは後天的ではなく、元々から「想像脳」なんだと思います。もしくは幼児期に目を開かされたものでしょう(幼児期にどのように育ったのかが気になります)。
音楽を聴いたとき、何かの言葉を読んだとき、誰かと接しているとき、「想像脳」を持っている人は、リアルなイマジネーションを脳内で膨らませていきます。
脳内で起きる新しい世界を“見る”ことを繰り返すこと。この行為が新しい創造物へとつながっていくわけです。
これ、すごく共感できます。
私もステージは低いですが、かなりの「想像脳」でしたから。
音楽を聴くと、昔はビジュアルが鮮明に脳内に浮かんできました。
現在はそんぼスイッチを切っているので、まったく浮かびません(汗)。
たとえば、目を閉じて、光の粒が見えてきて、その光の粒の先に新しい世界が見え始める……みたいな遊びもよくやりました。
そうなると、不思議な世界が見えてくるんです。
(2)不断の努力による偶然の発見が、新しい美の扉を開いてくれる
陶芸は土と炎が織りなす世界です。
最後は人間の力ではどうしようもない自然の力が加味されて完成します。
人間の力にプラス「自然の力」や「創造の神の力」が加わることによって、創造物は大きなエネルギーを宿すことになります。
これはテキトーにやっていては起こりにくいものです。
不断の努力によって何かを突き詰めようとしている者だけが出会える「偶然の発見(出会い)」みたいなものです。
荒木氏の生活はどんなものかわかりませんが、きっと職人のような毎日を送っていると思われます。
(3)ここではない、どこかへ……永遠の旅人スピリッツが意識や能力を高める
荒木飛呂彦マニアではないので、荒木氏が考えていることはわかりません。
『荒木飛呂彦の漫画術』あたりに詳しく書かれているのかもしれません。
ハッキリわかりませんが、荒木氏は「永遠の旅人スピリッツ」を持っている方だと思います。
永遠の旅人スピリッツとは、心の中で「ここではない、どこかへ」という気持ちを持ち続けることです。
例えがわかりにくいでしょうが、頭の中で宇宙空間に飛び、地球全体をリアルに眺めるように想像できるような感覚を持つことです。
行きたいところだらけ。
だって、いろいろな旅先が頭の中に浮かんでいたと思います。
きっと手塚氏も同じだったと思います。
いや、優れた漫画家は同じ感覚を持っていたはずです。例えば、石ノ森章太郎氏、永井豪氏、楳図かずお氏といった方々です……。
現在、「JOJO」がどのような展開になっているのかまったくわかっていません。『スティール・ボール・ラン』以降はまったく読んでいませんから。
当然、今後どのように展開するかもわかりません。
しかし、これだけは言えます。
荒木氏は旅人ですので、漫画を通じて新しい旅を続けていくことでしょう。
ちなみに手塚さんについて書いた記事「“クリエイティブ・アスリート”手塚治虫の創作エネルギーの源は何だったのか?」がありますので、興味のある方はどうぞご覧になってください。
校閲不在? 担当者が疲れ気味? これがネット媒体の限界?
「CNET Japan」さんにケチをつけるわけではありません。
誰でも間違いはあります。
私などはミスタッチの連発、誤字脱字のオンパレードです。とくに最近はその状況が加速してきています。
キーボードを打つ指がギクシャクして、糸が絡まるようになってしまうときすらあります。
だから繰り返します。
ケチをつけるわけではありません。ディスりでもありません。
荒木氏のインタビューの後半を読むと気づかれると思いますが、「製作」と「制作」が混在しています。
「CNET Japan」さんのようなしっかりとしたメディアでも、こんな凡ミスをされているのですから、他のメディアのダメっぷりは言うまでもありません。
ここ10数年、いや20年ほど前あたりから始まったと思われる中堅出版社の雑誌の用語統一のバラバラ感はヒドイものでした。
それと歩調を合わせるようにネットメディアも無規範な世界を彷徨っている感は拭い切れません。
現在は用字用語なんて言葉すら通じない人が山ほどいるでしょう。用語統一なんてかなり曖昧になっているはずです。そして、もっと単純なミスも見過ごされてネット上にバラまかれてしまいます。
私もゴミ記事を排出しているわけですが、この状況が進むとどうなるんでしょう。
Googleさんはどんな基準でネット記事を取捨選択していくのでしょう。人工知能がチェックして、誤字脱字が1割以上ある記事は検索圏外に追いやられてしまうかもしれませんよね(苦笑)。
そしたら、私の記事の9割は圏外に飛ばされてしまいそうですwww
分析はどうでもいい! いかに自分にフィードバックしていくか
荒木氏の天才ぶりを自分勝手に分析しても、ぬるま湯という自己満足の世界に浸っているだけです。
飲み屋で繰り広げられるクズの批評話と変わりません。
なんとか自分にフィードバックしていきたいところです。
そのためには「想像」の旅に出なくてなりませんね。
そして何かを「発見」して、形にしようと思います。
さて、周回遅れのロートル「つなワタリ@プロ無謀家」がどうなるのか……言うだけ番長で終わりそうな気もしますね(苦笑)。
では!
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