つなワタリ@捨て身の「プロ無謀家」(@27watari)です。
気になった謝罪文の実例を収集してアーカイブしている記事です。謝罪するようなことが起きないことに越したことはありませんが、もしご自身や仲間に何かが起きた時に参考にしていただければ。
【目次】本記事の内容
福井県のNPO法人で職員が9年間に渡って約500万円着服していたことが発覚
2022年12月15日、福井県の「越前市男女共同参画センター」の管理運営を委託されているNPO法人「男女平等推進協会えちぜん」の女性職員(事務局長)が、運営費などを着服していたことが発覚しました。
このNPO法人には、市から年間960万円が拠出されています。NPO法人によりますと、この職員は2014年ごろから今年度まで、NPO法人の協会費の預金と市の今年度の委託費の一部を着服し、被害は約500万円に上るということです。この職員は着服を認めていて、収入が少なく生活費の足しにしていたということです。
引用:60代女性職員が500万円を着服 越前市のNPO法人「男女平等推進協会えちぜん」【福井】 (福井テレビ/2022年12月16日 金曜 午後7:25)
https://www.fnn.jp/articles/-/459926
魚拓URL:https://archive.md/MZd7f
なぜか中日新聞は、この事件に関して突っ込んだ報道をしていました。
複数の関係者によると、女性は通帳管理など会計を担当。九月初旬に業者への支払いが滞ったことから、女性に確認したところ発覚した。着服は職員となった翌年の二〇一四(平成二十六)年から続けており、女性は協会の調査に「(採用された)初年度に監査が甘いと思った」と話している。女性は今月までに一部を返還しているという。 繰越金などは基金として積み立てられていたが、関係者によると、女性が会計を担当して以降、収支報告書に基金そのものが明記されなくなったという。 本紙の取材に市は「着服が委託料なのかははっきりしていない」と話している。関係者の中には、女性は協会以外にも多くの肩書があり、協会が女性を信用して監査が甘くなり、長期間の着服を許したのでは、と指摘する声もある。
引用:越前市NPOで長年着服か 本年度100万円超 職員を懲戒解雇(中日新聞/2022年12月16日 05時05分 12月16日 05時05分更新)
https://www.chunichi.co.jp/article/601685
魚拓URL:取得できず
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この事件の発覚を受け、「男女平等推進協会えちぜん」の謝罪文を紹介します。
こちらです(クリックすると、画像は拡大されます)。
引用:協会内部における不祥事について お詫びとご報告(「越前市男女共同参画センター」あんだんて公式ブログ/2022年12月17日)
http://blog.livedoor.jp/andanteblog/archives/41555619.html
魚拓URL:https://archive.md/OELbT
念のため、文章に残しておきます。
令和4年12月15日
会員及び関係先各位
特定非営利活動
男女平等推進協会えちぜん
理事長 石井由紀世
(公印省略)
協会内部における不祥事について お詫びとご報告
会員及び関係先の皆様におかれましては、平素より特定非営利活動法人 男女平等推進協会えちぜんの運営にご理解ご協力いただき、心より感謝申し上げます。
この度、当協会において、平成26年度から今年度まで、経理を担当していた元職員(事務局長・60代女性)による約500万円の横領および帳簿の改ざんが行われていたことが判明いたしました。
この事態を受け、緊急の理事会を開催して対応を協議し、越前警察署に告訴状を提出することとし、この元職員を10月31日付で懲戒免職処分といたしました。なお、被害金500万円につきましては、本日までに一部が返済されており、残りも12月中に全額返済する約束となっております。
女性の人権をはじめとした様々な人権を守り、社会課題解決を目指す組織として、このような不正行為が発生したことは誠に遺憾であり、日頃よりご支援いただいている会員の皆様に多大なご迷惑ご心配をおかけし、信頼を損ねることになりましたことを深くお詫び申し上げます。
組織として、横領および帳簿の改ざんを引き起こしたことに加え、長年チェックができなかったことを猛省しております。また、協会の財産を毀損してしまっていることを心よりお詫び申し上げます。
NP法人と男女共同参画センターの立上げから軌道に乗せるまでに血の滲むような努力を重ね、発足当初のジェンダーバッシングやバックラッシュの嵐の中で、常に信念を持ち、現在に繋げていただいた、先人の理事や職員の方たちの思いを絶やすことなく、今後も引き継いでいく所存です。
そのためにも、再びこのような不祥事を起こさぬよう、理事と職員と市が一丸となり再発防止策の徹底に努めてまいります。
まずは会員及び関係先の皆様にお詫びとご報告をさせていただき、今後、警察による取り調べ等にて詳細が判明しました折には、改めて会員及び関係先の皆様に書面をもってご報告させていただきます。つきましては、今回の対応についてはどうかご理解をいただきますようお願い申し上げます。
厳しい言い方になってしまいますが、謝罪文として文章の2/3はどうでもいい内容ですね。同じようなことをダラダラと書いている印象です。事件発覚からそれなりに時間が経っていますが、「正確な事実・経緯・再発防止などの情報」の報告が杜撰です。着服した事務局長のコメントのとおり、かなり甘い組織というのが滲み出てくる謝罪文です。
NPO法人の甘さはかなり問題
もちろん大半のNPO法人はしっかりしていますが、一定数のNPO法人が甘い体質で運営していると思われます。私は20年以上地域のNPO法人の状況を見てきていますが、かなり杜撰なところが多いです。最近は行政も委託事業をNPO法人ではなく一般企業に出すようになってきていますが、さすがに普通のNPO法人に大きな事業を任せるには不安なんでしょう。
今回のケースは約9年もの長期に渡っての着服です。すごい話です。実際に事務局長というチェックする立場の人間が悪いことを画策するのですから、非常にチョロいものだったことでしょう。
NPO法人に限らず、組織が大きく成長するためには、こういった杜撰なことは徹底的に排していかないと必ず落とし穴にハマります。
団体名の「男女平等推進協会」と男女共同参画費を混同した的外れな批判が多い気が……
今回の事件に関しては、なぜか男女共同参画費を批判する人の声が多かったです。
そもそも今回の事件はNPO法人の運営費を職員が着服した事件ですので、国の男女共同参画費は関係ありません。
そこを知ってか知らずか、かなり悪意(ただの無知?)があるミスリードが目に付きました。あまり感心できる話ではありません。政治について活発に議論することはいいことですが、誤った認識や悪意のある誘導によって本質が見失われてしまいます。
ちなみに「男女共同参画社会基本法」というのは1999年に施行されました。私も2002年に行政から依頼されて「男女共同参画」周知イベントを行ったことがあります。その時から20年も過ぎていますが、いまだに「男女共同参画」という言葉は正しく浸透していないように感じられます。
そもそも趣旨はシンプル。「性別に関係なく均等に機会が与えられる社会を実現しましょ!」というものです。しかし例えば「男女共同参画」をアマゾンで検索すると、難しそうな本しか出てきません。これでは一般への周知は難しいでしょう。
「男女共同参画」を掘り下げると沼にハマる気分になってしまうかもしれませんが、参考になりそうな記事などをリンクしておきます。ぜひご覧になってください。
参考:
・男女共同参画局
https://www.gender.go.jp/
・「国防費より男女平等に多くの税金」は本当か? 拡散した「男女共同参画費8兆円」の情報はミスリード(BuzzFeedNews/2020年8月18日)
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/5-8
魚拓URL:https://archive.md/mMAvn
・「男女共同参画予算10兆円」のカラクリ(『バックラッシュ!』発売記念キャンペーン跡地/ 2006-07-05 )
https://backlash.hatenadiary.org/entry/20060705/p1
魚拓URL:https://archive.md/mQl2a
では!