つなワタリ@捨て身の「プロ無謀家」(@27watari)です。
海外の状況と冷静に比較したことはありませんが、日本の「多重下請け構造」は異常すぎる気がします。下請け自体は社会でお金が回ることとなり、安定した社会を維持するために必要ですが、度が過ぎた「多重下請け構造」は、社会のバランスを歪ませ、活力を奪うことになります。中抜きの金額が多すぎると、下請けは奴隷となります。そして活力だけではなく技術や文化のレベルもどんどん下がっていきます。こんなことを下記の記事で書きました。
記事の中で原発作業員について少し触れました。自分でもモヤついていましたので、簡単に原発作業員の「多重下請け構造」についてまとめておきます。
原発作業員の「多重下請け構造」を知りたい人……日本の衰退や格差を生み出した諸悪の根源は、「多重下請け構造」です。IT産業、人材派遣会社など、異常なことがまかり通っています。その象徴ともいえる7次・8次下請けまであったとされる原発作業員の「多重下請け構造」について簡単にまとめてみました。
【目次】本記事の内容
原発作業員の「多重下請け構造」のリアル
原発作業員の「多重下請け構造」に関する記事をご紹介します。
◯ピンハネ率は実に8割超! 社会的弱者の使い捨て構造
「末端の労働者が日当1万円というのは、30年前から変わらない水準だ」。原発労働者を追い続けてきた、フォトジャーナリストの樋口健二氏は語る。樋口氏によれば15年前の段階で、東電は一人7万円の日当を出していたという。ピンハネ率は実に8割超に至る。
引用:福島原発事故収拾を任された英雄たちの真実、7次・8次下請け労働者もザラ (東洋経済/2011/05/12 12:13)
https://toyokeizai.net/articles/-/6940
魚拓URL:https://archive.ph/BjI5X
<「多重下請け構造」のリアル>
「フクシマの英雄」と呼ばれた人の多くは、ただの奴隷だったといえるでしょう。まるで原子力発電所は現代のピラミッドともいえるかもしれません。元請け会社は日立製作所や東芝などでしたが、実際に危険業務を担っていたのは、7次、8次下請け会社であることもザラでした。これは企業の労働組合による「被曝量が多い作業は請負化してほしい」という強い要望が背景です。現代の奴隷は「ほぼ無条件」で集められ、ただの消費されるだけの道具(捨て石)として使われるだけでした。ピンハネ率は実に8割超。末端労働者はホームレスや失業者なども多かったようです。もし現場で何か問題が発生して労災申請した場合、下請け会社には二度と仕事が回ってこない仕組みになっていました。つまり……一流とされる企業主導による悪の連鎖が社会を衰退させていきました。
◯諸悪の根源は、利権配分と現状追認のペンタゴン
日本のダムや道路、原発などの公共、公益事業は、「政」「官」「業」「学」「報」、すなわち政治家・政党、官僚・省庁、業者・業界、御用学者、御用報道機関による強固な五角形(ペンタゴン)のもとに推進されてきたと述べてきた。日本という国は、正直者が絶えず馬鹿を見る本当に不幸な国である。
引用:やっぱり「除染」は「移染」 そして「利権」(独立系メディア E-wave Tokyo/青山貞一/2011年12月10日、2013年1月10日)
http://eritokyo.jp/independent/aoyama-pol115…html
魚拓URL:https://archive.ph/2vSfq
<「多重下請け構造」のリアル>
「多重下請け構造」は利権によるものです。「濡れ手に粟」で儲けられるだけではなく、雇用、請負関係が多重になれば責任の所在も曖昧になります。無責任かつ無能な国(役人)は問題を誤魔化すことに慣れきっています。負の連鎖の根本的な原因は、無責任と無能からくるものと言えるでしょう。その成れの果てが、「いま」です。
◯何度でも繰り返される原発労働者への不当行為
「原発ジプシー」。 福島第1原発をはじめとする国内の原発が操業を開始した1970年代から、原発で働く末端労働者は、こんな呼び名がつくほど不当で不安定な雇用状態に置かれてきた。作業現場では、雇用の発注者である東電の下に鹿島や大林組といった元請け、さらに7層を越す下請けが連なり、複雑な業務委託ピラミッドが出来上がっている。その末端には会社登記すらない零細企業も存在する。
引用:特別リポート:福島作業員を蝕む「違法雇用と過酷労働」(REUTERS/2013年10月25日7:00 午後)
https://jp.reuters.com/article/l3n0ie1fe-special-report-fukushima-idJPTYE99O06A20131025
魚拓URL:https://archive.ph/njzw6
<「多重下請け構造」のリアル>
ロイターの記事からは無責任の多重構造が浮かび上がってきます。福島労働局は「下請け構造が悪いとはいえない。労働者が全然足りない状況にあるということが大きな問題だ」と語っているようですが、無責任の極みです。言い訳(責任転嫁)と見せかけの謝罪をする組織に改善のメスを入れない限り、日本の未来は明るくありません。
◯「多重下請け構造」の法的問題は? 労働契約法の改正が急務!
作業員の賃金のピンハネが問題となっている。たとえば東電から元請会社に支払われている「危険手当」は、まさに危険作業に従事していることに対して支払われるべきものであろうから、そうだとしたらこれは途中でピンハネできる性格のものではない。事業としてこれが行われていると、労働基準法(労基法)6条が禁止する中間搾取に当たる。
引用:多重下請関係にある原発事故作業現場の法的問題 (福島の原発事故に対する法的対応と課題「学術の動向」/和田 肇/2014.2)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tits/19/2/19_2_72/_pdf/-char/ja
魚拓URL:https://archive.ph/gw6bF
<「多重下請け構造」のリアル>
和田肇さんは「労働法」が専門で、名古屋大学法学研究科教授、日本労働法学会代表理事(2014年当時)。ここで登場する「労働基準法(労基法)6条」とはどういうものなのでしょうか。規定は『何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。』というもので、中間搾取(ピンハネ)を行うことを禁止した内容です。しかし、「有料職業紹介事業(労働者派遣)」は法律に基づいて許されています。労働基準法6条の中間搾取には該当しないことになっています。これが問題を曖昧にしています。なんといっても「有料職業紹介事業(労働者派遣)」は当事者同士の合意だけで契約は成り立ってしまいます。なんと口頭の約束でも契約は成立するそうです。恐ろしい話です。改憲が話題になっている政治の世界ですが、まずは労働契約法から変える必要があるでしょう。度が過ぎた「多重下請け構造」が行われた場合、有無を言わさずに元請けから罰則を与えるくらいの法改正が必要があると思うのは私だけでしょうか?
◯伝える側はヒューマンな側面に視点をすり替えてはいけない
実際に聞いてみないと、分からないことだらけだった。事故直後、1日40万円で作業員を募集しているという報道もあったが、1日数万円をきちんともらっている人もいるものの、安い人だと1日8,000円や6,000円の人も。危険手当が付いているはずだったが、当時は「そんなの見たことない」という作業員も少なくなかった。
厳しい現場で働く中でも、作業員たちは明るかった。仲間にいたずらをしたり、恋をしたり、日常生活の中には笑いがたくさんあっ た。故郷を愛し、家族を思い、仕事がどうなるか将来を心配したり、悩んだりしながらも、日々楽しい話を聞かせてくれた。過酷な作業だけでなく、そんな生き生きした姿を伝えたいと思った。
引用:【寄稿】原発作業員の現実 (ふくしまミエルカPROJECT/片山夏子・東京新聞記者/2021.03.29)
https://311mieruka.jp/info/report/kataoka/
魚拓URL:https://archive.ph/GFapc
<「多重下請け構造」のリアル>
東京新聞の片山夏子さんは9年間も聞き取り調査を行い、「ふくしま原発作業員日誌」を連載していました(2020年に書籍化←クリックすると、アマゾンのページに飛びます)原発の廃炉作業を担っている作業員の方々のリアルな話を載せた連載記事は、かなり評価も高いものです。私もイベントで片山夏子さんをお呼びして講演をしていただいたこともあります。非常に素晴らしい仕事をされたと思います。しかし、どこまでマスコミは権力の横暴に立ち向かえたのでしょうか? 現実はペンは剣よりも強くはありませんでした。マスコミのやっていることは、ただのガス抜きに過ぎません。伝える側はヒューマンな側面に視点をすり替えてはいけません。さもないと、リアルがファンタジーになってしまいます。片山さんの仕事はヒューマンに寄り過ぎましたような気がしてなりません。
・ ・ ・
さて、原発作業員の「多重下請け構造」について簡単にまとめてみました。何かの知的刺激になれば幸いです。
では!
気になった謝罪文を収集しています。謝るようなことが起こらないにこしたことはありませんが、何かの時のために参考にしてください。
wordpressやるなら
エックスサーバーがオススメ!
このサイトはスタート時より「wordpress × エックスサーバー」によって運営しております。他のサーバーとも契約をして別サイトを構築しておりますが、エックスサーバーの使い勝手がイチバンです。セキュリティ、サポートに満足しております。しかも低コストです。利用者が多いので情報がネットに多いことも助かります。
詳細は下記ボタンより