【目次】本記事の内容
直販所「よってって」のキモは販売機会を増やせたこと
和歌山県で「1億円プレーヤー」の農家が増えており、それは「野田モデル」という販売モデルという仕組みのおかげだそうだ。
この「野田モデル」という販売の仕組みは、「産直市場よってって」での流通システムがポイントになっている。
参考:
・なぜ和歌山県で「1億円プレーヤー」の農家が増えているのか…東大教授が絶賛する「野田モデル」の画期的内容(PRESIDENT Online /2023/12/07 15:00)
https://president.jp/articles/-/76282
魚拓URL:https://megalodon.jp/2024-0404-2102-46/https://president.jp:443/articles/-/76282
・このままでは飢える! 食料危機への処方箋「野田モデル」が日本を救う
https://amzn.to/3PMhsHS
・産直市場よってって
https://www.yottette.jp/about/
◯産直店としては画期的だった「産直市場よってって」での流通システム
詳細は上記「参考」を見てもらうといいのですが、ここではキモとなる部分を載せておきます。
「産直市場よってって」は野田忠氏が66歳のときに創業したビジネスです。基本的には委託式の産直店です。つまり生産者主導ですので、良い品物や宣伝がうまい生産者が力を発揮できるフィールドです。
「野田モデル」と呼ばれている仕組みは非常にシンプルです。簡単に言ってしまうと、物流のシステムを無理なく拡大させただけです。
具体的に説明すると、まず生産者が関西エリアに30店舗ほどある「産直市場よってって」から自分の母体となる店舗を決めます。あとは品物を持ち込むだけです。ただし通常の直販所は一か所販売となるわけですが、ここからが普通と異なります。生産者は希望すれば「産直市場よってって」の他店舗にも自分の品物を置くことが可能となります。
販売機会が増えるわけですから、これは生産者にとってはありがたい仕組みです。収穫しすぎたら、他店舗で販売すればいいのですから。価格設定も自由です。「産直市場よってって」の販売手数料は不明ですが、きっと10〜20%程度でしょう。もしかすると流通費としてプラスαが乗っかっているかもしれません。それを考慮して値段をつければいいのです。買い取り式で価格を叩かれるよりも、よっぽどやる気が出ます。「1億円プレーヤー」の農家がどのくらい誕生しているのかはわかりませんが、物量の多さに比例して収入アップも期待できるわけです。
「野田モデル」が画期的だといわれるのは、この部分にあるわけです。
売れ残りロスの処理問題は気になりますが、それはともかく、やる気のある生産者の後押しになるのは間違いありません。とはいえ商売がうまくできない農家さんも少なくないはずです。そこでコンサル契約で農家の底上げをしていく方法も行われているかもしれません。
参考:
・直売所で農産物を販売する際に知っておきたい価格設定の知識(農家さんのための農産物『販売』講座/2017.06.26)
https://noukaclub.com/archives/41
魚拓URL:https://megalodon.jp/2024-0404-2126-18/https://noukaclub.com:443/archives/41
委託式がいいのか? それとも買い取り式がいいのか?
商売の永遠の問題として、「委託式がいいのか? それとも買い取り式がいいのか?」という課題があります。
どちらともメリットとデメリットがあります。生産者と販売者の立場でその比重は変わってきます。
あとは未来の目標設定で販売方式を決めるしかありません。
「野田モデル」は委託式という薄利多売を流通でカバーしました。これが画期的だといわれている理由です。
販売者がブランド力を高めていくためには、生産者主導の委託式ではなく、販売者主導の買い取り式が理想です。これは一般の百貨店やスーパーなどで行われている小売業界の一般的スタイルです。
買い取り式は、「周知を含めた販売技術の向上」が至上命題となります。
ロスを発生させないという背水の陣で販売するわけです。もちろんそれだけマージンは大きくなるわけで、生産者側は苦しくなります。
参考:
・ハイリスクながら魅力的。直売所の新スタイル「買い取り式」とは【直売所プロフェッショナル#21】(マイナビ農業/2020年04月17日)
https://agri.mynavi.jp/2020_04_17_116202/
魚拓URL:https://megalodon.jp/2024-0404-2143-17/https://agri.mynavi.jp:443/2020_04_17_116202/
・直売所の落とし穴。コンビニ弁当理論とは。【直売所プロフェッショナル#20】(マイナビ農業/2020年04月03日)
https://agri.mynavi.jp/2020_04_03_114525/
魚拓URL:https://megalodon.jp/2024-0404-2147-03/https://agri.mynavi.jp:443/2020_04_03_114525/
・次世代の直売所に大事なバイヤー気質。仕入れは小売業のキホンのキ。【直売所プロフェッショナル#06】(マイナビ農業/2019年08月23日)
https://agri.mynavi.jp/2019_08_23_84598/
魚拓URL:https://megalodon.jp/2024-0404-2148-10/https://agri.mynavi.jp:443/2019_08_23_84598/
委託式か? 買い取り式か? オリジナル商品の開発か?
商売の方法は販売する品物によっても変わってきます。生鮮系はロスも出やすいですが、反対に長く販売できるものもあります。
結局のところベストの方法などは、決めることはできません。
とはいえ一般の商品(劣化しにくい品物)の場合で考えた場合、委託式で間口を広げつつ、自社ブランドの琴線に触れる商品は買い取り式で囲い込み、さらにオリジナル商品の開発で利益を上げていくといったバランスが重要なのでしょう。
仕事(商売)で成長していくために必須! 3つの視点を忘れるな!
理想の売上に近づけていくためには、「委託式(売上低)」「買い取り式(売上少し高)」「オリジナル商品の開発(売上高)」という3つの視点が必要だと思いますが、これはすべてに当てはまると思いませんか?
例えばフリーの個人事業主サイドで考えると、「委託式=下請け仕事」「買い取り式=営業で売り込む仕事」「オリジナル商品の開発=依頼される優位の仕事」という図式になります。
とくに不安定な社会の場合、売上が低い仕事にエネルギーを削られてしまうと、先細りになっていくだけです。
3つの視点を意識しつつ、エネルギーを削られたり、努力が無駄になってしまうような仕事のロスを軽減させることを意識するのが商売の真理といえそうです。
いかがでしょうか?
では!