つなワタリ@捨て身の「プロ無謀家」(@27watari)です。円城塔さんの『文字渦』をご存じでしょうか? 円城塔は、「えんじょう とう」と読みます。作家さんです。『文字渦』は「もじか」と読みます。文字をテーマにした12の連作短編集です。
【目次】本記事の内容
円城塔さんは、文学界の創造者だ!
作家、円城塔さんは10年ほど前から活動されているようです。
つい先日まで知りませんでした。
ごめんなさい(恥)。
ツイッターで流れてきた情報で
『文字渦(もじか)』を知りました……汗
これです。
希代の……アートで、ホラーで、SFな一冊です。
シンプルにその魅力を書いておきます。
『文字渦(もじか)』がアートで、ホラーで、SFな理由
(1)アートな理由
「なんじゃこれ!」
これが『文字渦(もじか)』を知ったときの第一声でした。
思わず声が出てしまいました。
まずをこれを見てください。新潮社出版部文芸のツイッターです。
円城塔さんの『文字渦』収録作「誤字」のルビは、新潮掲載時から単行本化に際して、文字組と禁則処理が変わるため細かな修正がなされたのですが、円城さんがプログラム処理した修正版データをもとに、校閲者が手作業でゲラに反映させました。これがそのゲラの一部です。 pic.twitter.com/Uzbojp9W3t
— 新潮社出版部文芸 (@Shincho_Bungei) 2018年8月9日
アートの基準はそれぞれあると思いますが、私にとってのアートの基準のひとつは「なんじゃこれ!」です。
驚愕、興奮、刺激などといった、知覚に襲いかかる強烈なインパクトが、まさに求めているアートそのものでした。
(2)ホラーな理由
私は本業は編集者です。
見た瞬間に、本になるまでの過程が脳内に鮮明に浮かび上がりました。
一字一句を追い続ける編集者、事実関係を丹念に調べる校閲者、画面で拡大して修正を行うデザイナー、インクの盛り加減で文字が潰れることを恐れる印刷責任者……これは何校まで行ったのか? 担当編集者の視力はどこまで落ちたのか? 初版の誤字脱字はどのくらいだったのか?
これは恐怖です。ホラーすぎます。
関わった人たちは命がけの妖怪退治みたいなものだったのかな? なんて想像してしまいました。
個人的には担当者全員と話をしてみたいです。ヘタな怪談話より怖くて面白そうです。
……なんて書くと、これが全編続いていると思われるでしょう。しかし、この「文章とルビを同時に追っていったら脳がショートしそうになる形式」が全編に続くわけではありません。
新潮社出版部文芸さん、
宣伝うまいです。
最初に大きな衝撃を与えてくれた新潮社さんに敬意を込めて、同じ方向性でこの記事を書いています。。。
(3)SFな理由
私にとってSFとは夢の別世界であり、ファンタジーです。
文学で別世界の扉を提示されるとは思いませんでした。
この扉の存在は非常に大きいです。今後、さらに扉の先を提示する人が現れることでしょう。
円城塔さんが提示してくれるのは当然だとして、別の案内人も登場するでしょう。
それほど扉の存在を提示するってことは大きいことです。
まさに夢のある話です。ファンタジーです。
これぞSFです。
・ ・ ・
堅苦しく書くと、文字の擬人化などは、白川静の“漢字学”を彷彿させられました。
あとは、理系の感性がバリバリ感じさせられました。非常に数学的に構築されたものが漂っています。
『文字渦(もじか)』にもっとも色濃く出ているのが、SF的な部分のような気がします。
なぜかスピルバーグのイメージが浮かんだんですが、理由はわかりません。。。
『文字渦(もじか)』の口コミを拾ってみました
『文字渦(もじか)』の評判をツイッターから拾ってみました。
すごいすごいと局所的な誇張ばかりが取り上げられるのは、ちょっと疑問に感じる部分もあります。
ご本人も“わりとふつうの本”とおっしゃってます。まったく普通ではありませんけど。
というのを期待すると、わりとふつうの本です。(このルビは流石に見開き程度。 RT @guleukara: 新潮社の円城塔「文字渦」を買ってきました。
おそらく編集・営業・DTP・印刷、全ての人が泡吹いて死ぬ本です。 pic.twitter.com/0SLNdG2nhi— EnJoe140で短編中 (@EnJoeToh) 2018年8月15日
文字渦、よく見るとルビの打ち方が一様ではないっぽい pic.twitter.com/aotj2sM3a0
— やる夫 (@nobunaga504) 2018年8月15日
ちなみにこのルビ打ちのルール、ちゃんとあります。ルールがなければ、作業できません。
・ ・ ・
こういう見慣れないルビ画像が目に飛び込んでくると、やはり気になる人が多いようです。
これに反応がする人が多いというのは、文化的渇望感があるんだろうなぁ。。。なんてことも感じます。
繰り返しますが、皮肉でもなく新潮社出版部文芸さん、宣伝うまいです。
『文字渦(もじか)』は視覚的な面白さだけをクローズアップしてても仕方ありません。小説家の松尾清貴さんのつぶやきがもっともわかりやすかったでした。
円城塔の『文字渦』が面白かった。もうびっくりした! 以前、見開きの文章全部にルビ振ってる画像をTwitterで見て、こういうのならいいかなと思ってたが、全然違う話じゃないか。いきなり秦代の兵馬俑作りから始まり、謎の辞書が絡んでくる。文字を巡って語られる、贅沢で、豊饒な伝奇小説。(続
— 松尾清貴 (@matsuokiyotaka) 2018年8月14日
こんな感想もありました。
円城塔 文字渦 読む
毎年映画100本見てるし物語もパターン化してきたなぁ みたいな感じの人にぜひ
メタフィクションオブメタフィクション
物語がどうのというか
文字による文字のための冒険体験ソシャゲネタや犬神犬ネタを感じさせる俗っぽいギャグも散りばめられ 楽しかったり理解しがたかったり pic.twitter.com/o4PoyJFVuS
— 宇宙、ぱじゃまん (@pajaman46497) 2018年8月14日
最近の流行的な部分もさりげなく取り込んでいます。
喧嘩を売るつもりはないけれど……私だったら赤字をどうしたか?
冒頭にも出したゲラの赤字をもう一度載せます。
これですね。
スゴそうに見えます。いや、実際にスゴイです。
円城塔さんの『文字渦』収録作「誤字」のルビは、新潮掲載時から単行本化に際して、文字組と禁則処理が変わるため細かな修正がなされたのですが、円城さんがプログラム処理した修正版データをもとに、校閲者が手作業でゲラに反映させました。これがそのゲラの一部です。 pic.twitter.com/Uzbojp9W3t
— 新潮社出版部文芸 (@Shincho_Bungei) 2018年8月9日
丁寧に赤字を入れているなぁ……とも思います。
でも、私だったらこのような赤字戻しはしないよなぁ。。。なんて思ったので、書いておきます。
これは新潮社の校閲者に喧嘩を売る気で書くわけではありませんし、自分が正しいと主張したいわけでもありません。
あくまでも私だったら……という話です。
・ ・ ・
この赤字だと修正するデザイナーが大変過ぎます。
混乱しそうな部分は赤と青で色分けしています。しかし、修正部分を目で追っていくと、流れに沿ってない部分が出てきます(とくに後半)。
これ、私だったら、3〜4行ごとに抜き出してコピーを取って、そこに赤字を入れてデザイナーに渡します。そして「赤字別紙6枚」みたいな形でゲラとセットにします。
この本ではルビの位置も混乱しやすいので、その指示も入れると思います。
そうすれば修正後のチェックもラクになります。
いかがでしょうか?
同じように感じた人はいませんでしたか?
いなかったら、老兵は消えゆくのみ……って感じかもなぁ。。。。
では、最後に円城塔さんのツイッターを紹介しておきます。
あ、もう一度、『文字渦』も紹介しておきます。
では!
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