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通販カタログ「ベルメゾン」にナチス・ドイツの第三帝国の書籍掲載で千趣会が謝罪し自主回収 | 謝罪文 実例43

投稿日:2022-09-21 更新日:

通販カタログ「ベルメゾン」にナチス・ドイツの第三帝国の書籍掲載で千趣会が謝罪し自主回収 | 謝罪文 実例43

つなワタリ@捨て身の「プロ無謀家」(@27watariです。

 

気になった謝罪文の実例を収集してアーカイブしている記事です。謝罪するようなことが起きないことに越したことはありませんが、もしご自身や仲間に何かが起きた時に参考にしていただければ。

 



 

千趣会の通販カタログ「ベルメゾン」にナチス本写真掲載で謝罪

9月20日、通信販売大手の千趣会が通販カタログ「ベルメゾン」で、モデルの女性がナチス・ドイツの第三帝国に関する本を持った写真を掲載していたとして対象号を自主回収すると明らかにしました。

 

同社は「カタログ制作・撮影工程での確認不備が原因で、意に反して不適切な表現をしてしまった。心よりおわび申し上げます」とする謝罪メールを会員に送付した。写真は2022年秋号に掲載され、イタリア語で「第三帝国の建築」と題名が書かれた本をモデルの女性が持っていた。

 

引用:千趣会、ナチス本写真掲載で回収 通販カタログ「ベルメゾン」(KYODO/2022/09/20)
https://nordot.app/944919001557401600?c=39546741839462401
魚拓URL:https://archive.ph/jOa3a

 

会員に送ったメールはこちらです(クリックすると、画像が大きくなります)。

 

通販カタログ「ベルメゾン」にナチス・ドイツの第三帝国の書籍掲載で千趣会が謝罪し自主回収 | 謝罪文 実例43

 

念のため文章に残しておきます。

 

【お詫び】カタログでの不適切な表現に関するお知らせ

 

日頃より、ベルメゾンをご愛顧いただきまして、誠にありがとうございます。

この度、弊社が発行した一部カタログにつきまして、撮影用の本として 「第三帝国」に関する書籍を使用した写真を誤って掲載しました。

カタログ制作・撮影工程での確認不備によるもので、意に反して不適切な表現をしてしまいました。お客様、並びに関係者の皆様にご不快な思いをさせてしまい、心よりお詫び申し上げます。

弊社は、旧国家社会主義ドイツ労働者党、及びそれに関連する組織等を一切支持しておらず、本件で被害に遭われた方々を傷つける意図もございません。

本件の責任は弊社にあり、原因を究明し、再発防止に向け誌面のチェック体制を強化してまいります。

また、今回の事態を重く受け止め、対象カタログを自主回収いたします。

お客様には後日個別にお手紙で連絡させていただき、本件へのご協力をお願いする所存でさざいます。(本メール受信前に対象カタログをご処分されたお客様におかれましては、ご案内が遅れましたこと、お詫び申し上げます)

皆様からの信頼回復につながるよう再発防止に努めてまいりますので、これまで以上にご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

 

 

わくわくする本!? 「第三帝国の建築」とは、どんな本?

「わくわくする本が見つかったら、一人での帰り道も楽しい」。

 

誌面では女性モデルが「第三帝国の建築」を手にして笑っています。外国の古本が並んだ本棚を背景に、シックなジャケットに身を包んだ落ち着いた女性が上品そうに微笑んでいます。

 

手にしているのは、ジャケットに合わせたようなシックな建築物の写真が表紙の一冊(クリックすると、画像は大きくなります)。

 

通販カタログ「ベルメゾン」にナチス・ドイツの第三帝国の書籍掲載で千趣会が謝罪し自主回収 | 謝罪文 実例43

 

本のタイトルは……

 

 

タイトルは……

 

……

 

『L’architettura del Terzo Reich』です。

 

直訳すると、「第三帝国の建築」となります。

 

これです。

 

通販カタログ「ベルメゾン」にナチス・ドイツの第三帝国の書籍掲載で千趣会が謝罪し自主回収 | 謝罪文 実例43

 

建物の中央には、あの有名なシンボルが燦然と輝いています。

 

シンボルはいろいろなバージョンがあるのですが、これに近い気がします。

 

通販カタログ「ベルメゾン」にナチス・ドイツの第三帝国の書籍掲載で千趣会が謝罪し自主回収 | 謝罪文 実例43
「Adolf Hitler ricevendo un ovation nel Reichstag dopo annuncia l acquisizione pacifica dell’Austria. Berlino, Marzo 1938(オーストリアの平和的占領を宣言し、ライヒスタークで喝采を浴びるアドルフ・ヒトラー。1938年3月、ベルリン)」

 

では、もう少しこの記事を掘り下げます。

 

 

◯狂気のシンボル、ナチスの鷹(ライヒスアドラ)とハーケンクロイツ(鉤十字)

1938年の画像を見ると、いかにヒトラーが熱狂的に支持されていたのかがわかります。ここまで来るためにナチスは入念な準備を行いました。それがベルリンオリンピックとプロパガンダです。そして、この後、平和的な国を演じていたドイツは領土拡大のためのポーランド侵攻(1939年9月1日)からの第二次世界大戦、ホロコースト(約600万人のユダヤ人大量虐殺)などを引き起こしていきます。このドイツの象徴が「ナチスの鷹とハーケンクロイツ(鉤十字)」だったわけです。この後に日本の合流などがあって……という歴史的な流れの学びを深めていくと、なんとも複雑な気分になってきます。

 

このシンボルはヒトラーが「数え切れないほどの試行を重ねて決めた」と語っています。その辺についてはMein Kampf(我が闘争)(←クリックするとamazonのページに飛びます)で語られています。

 

 

 

実際はどんな内容の本だったのか?

話が脱線してしまいました。

 

実際、この資本はどのような内容だったのでしょうか。調べてみても内容がイマイチわかりません。なにせかなりの稀覯本(きこうぼん:めったに見ることができない貴重な本)ですから。調べてみると、超真面目な建築に関する本だと思われます。もしかすると世界に1000冊も残っていないかもしれません。少なくとも日本国内には数冊あればいいところでしょう。しかし、そんな稀覯本を簡単にモデルや編集者が選ぶのも信じがたいので、もしかすると本屋さんが「せっかくだから……」という流れで出してきたのかもしれません。

 

まぁ、経緯はともかく、この写真は「ベルメゾン」だけではなく「花笑むとき」でも使用されていたようなので、それなりの人の目に触れていたのでしょうが、印刷に出すまで誰も気づかなかったんでしょうね。

 

なによりモデルさんが気の毒です。

 

◯校閲部門を軽視した結果がこれ

現在、印刷物に関してシッカリとした校閲部門を作っている会社はどのくらいあるでしょうか。きっと新聞社と大手出版社程度でしょう。まぁ、昔もそうでしたが、校閲部門がないことを編集者は意識していました。だからこそ校正と校閲に関しては注意を払っていました。

 

校閲というのは、とんでもないほどの知識量が求められます。

 

校閲を軽視すれば、こういうことになります。当然です。

 

世界的に悪の象徴とされているナチスのマークすら気づかないし、本のタイトルもチェックしなくなります(知っていてスルーしたという考え方もありますが、それは冒険すぎでしょう)。

 

まぁ、ナチスだけではなく、旭日旗も含めての戦犯シンボルの取り扱いに関しては別議論となるので割愛します。最近でも「表現の不自由展」などが大きな話題になっていますが、いろいろとデリケートな問題ですから。

 

さて、このニュースに対して、世間的にはどのような声が多かったのでしょうか。Yahoo!の掲示板をチェックしてみました。

 

 

 

今回のトラブルに対する声はどんなものが多いのか?

今回のトラブルに関してのネットでの声をいくつかピックアップしてみます。調べたのはYahoo!ニュースの声です。

 

<千趣会「ベルメゾン」「花笑むとき」でのナチス本掲載に対する一般の声>

・おそらく、制作に携わったすべての人は誰一人悪意など持っておらず、たまたまこの本であっただけなのだと思うし、思いたい
・普段から“かっこつけてる”だけから、ものの本質が分からなくなってるんだよな。価値観が全て“映え”なんだろう
・チェックに不備があったのは確かだけど、おしゃれな雰囲気の英語じゃない洋書を適当に持たせただけでしょ
・会社として自主回収する判断をするのであれば、線引きの部分のチェック体制を強化すべきですね。なぜ今回は流出して、どのタイミングで指摘、回収判断になったのかも、少しは気になったが…
・自主回収した事は企業判断なので構わないけど、この件を否定して、バッシングする程の事は無いと思う。単なる小道具
・真意をきちんと検証することもないままで報道することの危うさ。正義を振りかざしているつもりでも実は言論を規制しているのは、日本のマスコミだ。暴く。否定する。批判する。日本のマスメディアが作り上げた今の閉塞感は、取り返しのつかないことである
・大企業はみんな気を付けています。例えば指が全部見えない写真は使わない、というルールがある場合もあります
・ナチスドイツに関する議論というものは、メディアを使って展開され、私たちは従うしかない状況にされている。自分の意思とは無関係に、作られたルールに従うしかない民主的ではない状態に置かれていることになる。これが、私たちの住む民主的と称される世界の事実である
・チェックが甘かったのは事実だけど、この本について調べたら「ナチスドイツによる支配が建築分野に与えた影響について取り扱った研究書」ということでした。なのでそこまで神経質にならなくても…と
・タイトルから建築関係の本だと思われるので問題ないのでは…? 数年前にドイツでも我が闘争は発禁処置が解かれましたし、色々な角度からナチス・ドイツを検証する本が出ています。書かれていることを精査せずに十把一絡で「ナチスヤバい」と切り捨てるのは知性を感じられません。もっとも、「第三帝国の建築」が実はナチスを礼賛する内容なら大問題ですけど
・モデルさんに持たせる撮影用の本としてこれを選んだ人は恐らくイタリア語が読めない人だったのでは?
・画像を見たら、美術書が多い古書店で、どうせ読めないだろうイタリアの洋書を手にした日本人モデル。なぜか、わざわざこの問題の本を手にして微笑む。小道具担当らが撮影用に洋書らを揃えた中にあった本だろうが、イタリア語だからナチ関係と気づかなかった可能性は高い
・これは構わないんじゃないかな。普通の美術書、しかも多分バロック建築とか明治の近代建築とかと同じ単なる建築史の歴史書だと思う。焚書みたいなことする必要は無い
・スペースコブラの敵ボス、ライダーシリーズ、キン肉マンのブロッケン、鷹の爪の「総統」など、賛美しないまでも使われている。今回はたかが「文字」を問題としている様だが、それって過剰反応ではないか
・横道にそれますが、私はTシャツで英語が書かれていたら、無い語学力なりに読んでから購入します
・最近サイトをリニューアルしてから不具合も多く、サイトも検索しづらくなったし、以前の方が良かったなあ…と思う日々。経営体制が変わったのかな?
・たかだか通販のモデルの本だから気にしすぎとも言ってはいけないし対処は今後の問題を含めた上で良かったと思う
・千趣会どーしちゃったんすかね? 私も付き合い長いんですが、どうも最近おかしい。今年システムリニューアルしてから、トラブル続きなんだよね。挙げ句、今度は不適切なカタログ写真か…
・表現の自由の否定、思想信条の否定。あらゆる表現に権力者による検閲が入り、権力者の気に入らないものは弾圧される。まさにファシズムです
・ドイツ第三帝国の建築というと若き天才建築家「アルベルト・シュペーア 」による建築物を扱ったものかな
・ほんの数年前に泊まったイタリア・フィレンツェのホテルには、廊下にヒトラーの写真が飾られていました。戦時中、そのホテルの前の大通りをヒトラーがパレードした時の写真。戦車の上でナチスドイツ式の敬礼をしたヒトラーの回りを群衆が取り囲んで熱狂している写真でした。イタリアは日独伊三国同盟のメンバーだけに抵抗が無いのでしょうか。かなり驚きました
・日本人からすると過剰と思うが、ドイツ人やユダヤ人からすると物凄く忌避すべきものなので、回収もしょうがないのでしょう
・カメラマンをやっています。スタイリスト等が用意したものだろうが、スタイリストさんは、「そこに何が書いてあるか」を気にせず雰囲気だけで選んでくる人がほとんど、というかほぼ全員です。まわりにいる編集者、デザイナー、広告代理店の人、クライアントその他、文字を気にする人はほとんどいません
・今回は建築の研究書という事で大きな問題というわけではないようですが、知らないという事は罪なんだなと自戒も含めて思いました
・いちいち小道具の洋書の原題なんかチェックしないでしょ。日本で普通に手に入る洋書なんで、別に発禁なものでもないのだろうし、第三帝国の建築って、建築の本としては意義のあるもんじゃないの?とは思う。なんでも完璧にやれればいいんだろうけど、ちょっとベルメゾンが気の毒ではある
・これは会員からの指摘だったのか、内部での確認で分かったのかしらんけど、見つけた方がすごいと思うんだけどな
・今は広告などのポスターなどにも校正を入れる企業もあるというのを見て「ほーーー!」と思っていたので、何ともタイムリーなニュース
・悪意があるわけでもなく、無頓着ゆえに大ハズレを引いただけなので、第三者が騒ぐようなものではない。しかし、やはり校正で誰か気づいてもいいかなと思う。仮にこれが通販商品Tシャツのプリント文字だったら、当然チェックしただろうから
・こんな下らないクレームでわざわざ自主回収すんの? 自主回収にかかる費用や新しくカタログを刷る費用は完全に無駄だから回収なんかしなくていいと思うよ。この本が掲載されることで、一体誰がどういう傷を負うんだろうね。会社に対して大したプラスにならないクレームは企業は応える必要は無いよ
・ベルメゾン会員です。カタログを見てそんな所まで気づいたかどうかは別としてカタログの作り方的に「ん?」と思うことが多い。子供服のページに男の子あるあるとして性別に偏ったような内容が書かれていたりして。ジェンダーレスが話題となる時代に何となく脇が甘い気が。今回のことも結局そういう甘さかなと
・アウシュビッツとビルケナウの収容所を見学した事がある。知らない世代の人達にはコロナが落ち着いたら行ってみるといいかもね。めっちゃショックを受けるだろうけど。そうするとベルメゾンのカタログの件は 顔を引き攣らせてしまうだろうね。千趣会の人達で そう言うの知ってる人が少なかった? かなりお粗末だと思うけど
・例えばBTSの原爆Tシャツに日本人は嫌悪感を示す人が多かったですよね。原爆を落としたのは韓国ではありませんが、被害に遭った側というのは中々忘れられないものです。
それと同じで、ナチスの被害に遭われた方々は、その子孫も含め、未だにその惨禍を忘れていません。原爆Tシャツに関しても「一部の人のちょっとした意見で〜」と言えるのなら話は別ですが、そうでないのなら、国は違えどそれと同じことをしているという認識を持ってください
・グローバル・スタンダードがわからない国は廃れるのさ。日本国内だけで完結出来る時代じゃない。そんな感性だからますますダメになる
・確かに我々一般の日本人からすれば、単なる建築関係の書物かも知れないけど、ドイツやポーランド等のヨーロッパ諸国の方々にとっては思い出したくない記憶を呼び覚ます物なのかも。日本人が核兵器に対して思うところと通じる気がします
・この本は、底本として1967年にドイツ語で書かれた『Architektur Im Dritten Reich 1933 – 1945』をガブリエーレ・マゾッタがイタリア語に著わした歴史的建築専門書。だからタイトルはほぼイタリア語だが、Reichという単語はドイツ語独特の概念を残した。内容はナチス第三帝国の建造物の検証資料だから、政治思想的な意味はない。例えば「大日本帝国期の建築物が語る近代史」という本があればそれと同じ意味合い。ファッションとファッショとは無関係。過剰反応かと思う
・「洋書持たせたらオシャレに見える」となんとなく選んだんだろうけど…
・NHKが100分de名著という番組内で統一教会の本をスタジオの小道具として撮影し放映していた一方で、こういったコンプライアンス対応をおろそかにしない通販会社。細かいところで差が出ますよね

 

こういう意見を読んでいると、刺激になります。論点がズレている人、恐ろしいほど博学な人、視点が広い人、感情で判断する人など……自分自身の見識の狭さを痛感させられます。

 

 

 

ナチスがカッコいいと思ってしまう理由は?

今回の建築本に限らず、ナチス政権に関連したものは……誤解を恐れずに言わせてもらえれば、「カッコいい」と思ってしまうものもあります。

 

ナチス政権はゲッペルスのプロパガンダなどが有名ですが、要するにブランディングに非常に長けていたからだと思われます。

 

その辺の詳しい分析をしている記事がありますので、気になる方はチェックしてみてください。

 

Education in Asia surrounding World War II mostly focuses on the events that concerned the continent. The wider context and, specifically, the horrors of the Holocaust are rarely touched upon. So a whole generation of children in Asia is growing up ignorant of just what the Nazis did in Europe in the 1930s and ’40s.

The true gravity of events might be lost on many young Asians, but the clothes, insignia, and symbolism are all still familiar. Swastikas and salutes have bled into modern culture somehow.

It might be slightly naive to assume that there isn’t a hint of rebellion in this “Nazi chic” craze. But there doesn’t seem to be a whole lot of malice involved in this superficial adoption of Nazism.

(第二次世界大戦をめぐるアジアの教育では、ホロコーストの惨状についてほとんど触れられていない。1930年代から40年代にかけてナチスがヨーロッパで何をしたのか、まったく知らずに育っている。服装、徽章、象徴はすべて、今でもなじみのあるものだ。卍固めや敬礼は、何らかの形で現代文化に溶け込んでいる)

 

引用:10 Fascinating Ways The Nazis Influenced Fashion(LISTVERSE/ June 23, 2017)
https://listverse.com/2017/06/23/10-fascinating-ways-the-nazis-influenced-fashion/
魚拓URL:https://archive.ph/MutX2

 

要するに教育は大事だってことですね。

 

これからどんどん日本は劣化していくと予想しているので、今回のようなトラブルは意味のあるものだったと考えています。

 

では!

 

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