【目次】本記事の内容
- 1 「Rotten Tomatoes」で100%評価。全米映画批評家協会では最優秀賞
- 2 「ママはわかってくれない!」 悩める女子高生の青春ストーリー
- 3 故郷「サクラメント」と神の恩恵を意味する「サクラメント」
- 4 30代後半〜40代ならウケそうだが、日本ではヒットはしないのではないか
- 5 公式サウンドトラックはジョン・ブライオン担当。2018年2月23日発売
- 6 2018年ゴールデン・グローブ賞では「作品賞」「主演女優賞」受賞(2018.1.8追記)
- 7 『スリー・ビルボード』は現代版マカロニウエスタン(2018.1.8追記)
- 8 舞台はミズーリ。ミズーリといえば、基本は荒くれ&狡猾な印象(2018.1.8追記)
- 9 日本人のゴールデングローブ賞(2018.1.8追記)
「Rotten Tomatoes」で100%評価。全米映画批評家協会では最優秀賞
映画『レディ・バード/Lady Bird』が2018年6月に公開される。
2017年11月に全米公開され、映画レビューサイト「Rotten Tomatoes」で100%の評価を記録した。さらに米国で最も権威のある映画批評家賞の一つ、全米映画批評家協会賞では最優秀賞を獲得。監督のグレタ・ガーウィグも最優秀監督に選ばれた。
© Universal Pictures
TOHO-TOWAニュースサイト
http://tohotowa.co.jp/news/2018/01/ladybird
『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』『フランシス・ハ』など、青春映画作品に数多く出演している女優、グレタ・ガーウィグがメガホンをとった監督デビュー作。
女優としてよりも劇作家を目指していたグレタ・ガーウィグは、本作の脚本を執筆するのに丸一年を費やした。その長さは350頁を超えるほど。撮影監督には「思い出のような映画にしたい」とリクエストして進められた。
ちなみにアメリカでは撮影に関しては完全に監督の手から離れて撮られることが多いようだ。ハリウッドなどは監督は撮影に全くタッチしないで、撮られた映像をセレクトする形が基本らしい。
いい意味で分業といえるのだろう。
By Gordon Vasquez of RealTVfilms (Flickr: Greta Gerwig, No Strings Attached Premiere) [CC BY-SA 2.0], via Wikimedia Commons
グレタ・ガーウィグ/2011年1月11日、『抱きたいカンケイ』のプレミアにて
「ママはわかってくれない!」 悩める女子高生の青春ストーリー
舞台はグレタ・ガーウィグの出身地であるアメリカ・カリフォルニア州サクラメント。退屈な灰色の片田舎に暮らしている「レディ・バード」を自称するカトリック系の女子高生クリスティン(シアーシャ・ローナン)が主人公。
理想とはかけ離れた現実の中で揺れ動くティーンの心をリアルに描いた作品は、グレタ・ガーウィグ自身の経験にも重なる部分があるようだ。
ロケのほとんどはサクラメントで行われた。グレタ・ガーウィグは撮影中の決め事として、自身は集合時間の1時間前には現場入りし、セット内では関係者たちのスマホ使用を禁止した。
© Universal Pictures
『レディ・バード/Lady Bird』
故郷「サクラメント」と神の恩恵を意味する「サクラメント」
この映画のバックボーンは監督にとっての故郷「サクラメント」と神の恩恵「サクラメント」への慈愛が一貫として流れているところが評価の高い部分なのかもしれない。単純に「韻」を踏んでいるのではなく、間違いなくグレタ・ガーウィグはのダブルミーニングを意識しているはずだ。
物語は完全なる慈愛の中で疾風怒濤の青春を過ごし、最後のニューヨークで幕となる。切ない主人公の想いは、グレタ・ガーウィグがサクラメントからニューヨークに移り住んだ後に気づいた自身の感謝心を投影しているような気もする。
物語は2002年という設定も面白い部分。アメリカ同時多発テロ事件が起きたのが2001年9月11日。暗澹たる空気感に支配されている時間軸を選んだところにグレタ・ガーウィグのクレバーさを感じさせられる。
レベルの低い例えだが、「ノストラダムスの大予言」に影響を受けた若者の心理状態に近いのではないだろうか。
By UpstateNYer [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
アメリカ同時多発テロ事件
30代後半〜40代ならウケそうだが、日本ではヒットはしないのではないか
6月に公開される『レディ・バード』は日本でヒットするのだろうか?
多分、一部の30代後半〜40代の胸には響くだろうが、大ヒットはしないだろう。
葛藤の共感を得られるのだろうか? いや、主人公は思いっ切り背伸びしている。その部分からして共感されないだろう。
少なくとも2018年の大方の人たちは、背伸びすること自体に関心を失っている。
単純に「名作だ!」という宣伝も、吸引力としては力足らずだ。
青春ファンタジーだとしても、リアリティがありすぎては共感されにくいのが現在の日本の状況。
演技や脚本が素晴らしいといっても、そこまでの鑑賞力がある日本人は著しく減ってきているので理解されないだろう。
間違いなくヒットはおぼつかないだろう。
アップリンククラスであれば連日満員御礼になるだろうが、イメージフォーラムクラスだとそうはいかないはずだ。
まして全国規模など・・・間違いなく無理だと思う。
こういう映画が理解され興行的にも成功するような土壌を作ることが、日本映画の発展にもつながることだと思うのだが……。
予想が思いっ切りハズれて、大ヒットすることを願うばかりだ。
予告映像
Lady Bird – Official Trailer (Universal Pictures)
『レディ・バード/Lady Bird』公式サイト
http://ladybird-movie.jp/
公式ツイッター
https://twitter.com/ladybirdmoviejp
公式Facebookページ
https://www.facebook.com/ladybirdmoviejp/
公式Instagram
https://www.instagram.com/ladybirdmoviejp/
公式サウンドトラックはジョン・ブライオン担当。2018年2月23日発売
繊細なピアノ曲、ぶっきらぼうともいえる単調かつ「軽い」ストリングス&打楽器曲を使い分け、主人公の心象風景を盛り立てている。
もしよろしければ。でも、ネットでも検索するとダイジェストなどが出てきます。
2018年ゴールデン・グローブ賞では「作品賞」「主演女優賞」受賞(2018.1.8追記)
2018年(第75回)のゴールデングローブ賞の結果速報(選考結果は018年1月7日(日)/日本時間1月8日に発表)。
コメディ映画部門の作品賞に『レディ・バード/Lady Bird』が選ばれた。同時に「主演女優賞」はシアーシャ・ローナンが受賞。おめでとうございます。
インタビュー:グレタ・ガーウィグ「Greta Gerwig on “Lady Bird”」
出典:GOLDEN GLOBE AWAEDS 75TH
https://www.goldenglobes.com/video/greta-gerwig-%E2%80%9Clady-bird%E2%80%9D
『スリー・ビルボード』は現代版マカロニウエスタン(2018.1.8追記)
今回のゴールデングローブ賞はマーチン・マクドナー監督作『スリー・ビルボード』が4冠受賞。日本では2月1日公開。
『スリー・ビルボード』の評判がかなりいい。『スリー・ビルボード』と3人の主人公。その表と裏。正義のためなら手段は選ばない。現代版マカロニウエスタンといったところか。
ちなみにマカロニウエスタンというのは、映画評論家の淀川長治と深沢哲也両氏によって命名された。アメリカの西部劇に黒澤明の時代劇をうまくミックスしたことで生まれたとされている。
マーチン・マクドナー監督自身も北野武の影響が大きいらしいので、パッケージとして内省的になっている。そこが「現代版」という部分かな。
『スリー・ビルボード』予告編 | Three Billboards Outside Ebbing, Missouri Trailer
出典:https://youtu.be/uKzmKRELmJI
舞台はミズーリ。ミズーリといえば、基本は荒くれ&狡猾な印象(2018.1.8追記)
なぜならミズーリ州ヘビー級選手権王者といえば、ディック・ザ・ブルーザー、ディック・マードック、ジャック・ブリスコ、ハーリー・レイス、リック・フレアーといった面々。いかにも荒くれ&狡猾って感じ。
出典:http://www.onlineworldofwrestling.com/bios/d/dick-the-bruiser/
「生傷男」の異名で呼ばれたディック・ザ・ブルーザー(Dick the Bruiser)
日本人のゴールデングローブ賞(2018.1.8追記)
日本人の作品や俳優もいくつか受賞している。そのリストは下記のとおり。
・『二十四の瞳』(1955年/第12回)外国語映画賞受賞
・『子供の眼』(1956年/第13回)外国語映画賞受賞
・『太陽とバラ』(1957年/第14回)外国語映画賞受賞
・『黄色いからす』(1958年/第15回)外国語映画賞受賞
・島田陽子(1981年/第38回)女優賞(テレビシリーズ・ドラマ部門)受賞
・『硫黄島からの手紙』(2007年/第64回)外国語映画賞受賞
黒澤明監督は何度もノミネートはされたが、受賞までにはいたっていない。
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