つなワタリ@捨て身の「プロ無謀家」(@27watari)です。言葉の雑学を掘り下げた記事です。今回は「目白押し(めじろおし)」。この言葉は春告げ鳥とも呼ばれている小鳥のメジロの習性に由来しています。さらにメジロについて突っ込んで調べてみると、知らないことがザクザクと出てきました。
言葉の由来について興味がある人……言葉の由来って面白いですよね。私は大好きです。さらに言葉を調べたり、派生した謎を掘り下げていくと、さまざまな歴史や風俗、文化などを知ることもできます。今回は「目白押し(めじろおし)」。私の興味がどのように広がっていくかも含めてお楽しみください。
【目次】本記事の内容
「目白押し」の意味は? 小鳥のメジロが由来の理由は?
目白押し(めじろおし)は、小鳥のメジロの習性が由来になっている言葉です。
「多くの人たちが込み合って並んでいる様子」「物事が集中して続くこと」といった状態を表しています。
では、小鳥のメジロの習性というのは、どんなものなのでしょうか?
メジロは秋から冬に群れをなして木にとまる習性があります。古くからメジロが体を密着させ、押し合いへし合いなって木にとまっている愛くるしい姿は、「目白(メジロ)の押し合い」と呼ばれて多くの人の目を楽しませていたようです。(※注1:混軍の性質も考えられる)
「目白(メジロ)の押し合い」という表現が元となり、いつしか子どもたちが列になって押し合う遊びを「目白押し」と呼ぶようになりました。その子どもたちの遊び「目白押し」が、現在のような形で一般に使われるようになりました。
※注1:混軍(こんぐん)とは、小さな野鳥たちが身を守るために数種類が集まって一緒に固まって行動すること。寒さだけではなく、そもそも固まる習性を持っているのかも。
鳥が木にとまるは、止まる? 留まる? それとも?
ここで少し脱線します。
鳥が木にとまるは、
「止まる」でしょうか?
それとも「留まる」でしょうか?
ちなみに鳥が止まるために取り付けられている横木は、「止まり木」です。バーやスナックのことを呼んだりもしますね。
それを考えると、鳥が木にとまるは「止まる」と思ってしまいます。しかし、理屈的に「止まる」は明らかにヘンです。「留まる」の方が正しく感じます。
とはいえ、あまり「留まる」という表現は目にしたことがないと思います。実際、突っ込んで調べていると、辞書系はかなりバラツキがありました。……なんと! そして私の本業である用字用語関連で調べてみると……「止まる」で統一されています。これは面白いですね。
そんな私は、中庸をとって「とまる」にしておきました。仕事的には「止まる」にした方がよかったかもしれませんが……。
さて、話を戻します。
「目白押し」と呼ぶ子どもの遊びって……いつ頃から?
目白押しという言葉の由来はわかりましたが、「子どもの遊び」としての歴史がイマイチわかりません。そこでさらに突っ込んでみました。
そもそも私は「目白押し」と呼ばれる遊びをした記憶がありません。
みなさんはいかがですか?
調べてみると、「縁台に一列に並んで腰を掛け、肩を左右に押し合って端の者を順々に押し出す遊戯」らしいです。
なるほど……さらに調べてみましたが、「目白押し」という遊びが始まった時代や盛んに行われた地域など、まったく出てきません。前年ながら決め手となる情報が見つけられませんでした。
こういう場合は、自然発生的に各所で同時多発に行われるようになった……という認識に立つしかありません。
実際、いつぐらいから行われたんでしょうか。。。ご存じの方がいらっしゃたら、教えていただきたいです。
……
う〜ん…………
う〜んう〜ん………………
……いったんはギブアップしましたが、やはり! ここで諦めるわけにはいきません!
そこで再度、気合を入れて調べてみました。
子どもの遊戯「目白押し」は江戸時代に流行った??
調べてみると、子ども遊びの歴史をまとめている本が見つかりました。
『日本遊戯史』(著者:酒井 欣)です。建設社より昭和9年に出版されたものです。
これです。
これは「国立国会図書館デジタルコレクション」で閲覧可能です。画像をクリックするとアーカイブページに飛びます。
国立国会図書館さん、さすがです!
「目白押し」は『日本遊戯史』の905〜906ページで解説されていました。
ザックリと言ってしまうと、「目白押し」は江戸時代の遊戯だったようです。そして、この本が出版された昭和初期には目にすることがほとんどなくなってしまった……という感じでした。
少しは溜飲が下がった感じです。
ちなみに子供の遊びは時代とともに移り変わっていきます。
「目白押し」は『日本遊戯史』の“ 雑遊 ”という章で紹介されていましたが、ほかにも……つばなぬこ、鼠ごっこ、鬼ごっこ、鰻の背登り、打瓦、なめかた、げえ、ねんがら、あぶり出し……なんて遊びがズラリと並んでいました。
こんな感じです。
鬼ごっこのようにいまだにかろうじて生き残っている遊びをはじめ、なんとなく名称は聞いたことがある遊び、まったく想像がつかない遊びなど、さまざまですね。これだけ別ページでまとめるだけでも面白そうです。需要はほとんどなさそうですけど笑。
さぁ、せっかくなのでメジロの雑学などについて書き残しておきます。
ウグイスに似た小鳥! 目のまわりが白いのでメジロ
メジロの体長は12センチ程度、スズメよりも少し小ぶりです。体が鮮やかな黄緑色で、鳴き声が美しいのでウグイスに間違われることも多いようです。
漢字では「目白」もしくは「繍眼児(しゅうがんじ)/中国語名」と書きます。「繍眼児」と書いてメジロと読ませるようですが、これは眼のまわりが白で刺繍のようになっている、という意味です。
ちなみに英語でも「a Japanese white-eye」と表記するようです。
変わったところでは、鹿児島など南の方では花蜜を吸う姿から「ハナスイ(花吸)」「ハナシ」なんて呼ばれた話も出てきました。
写真を見てください。可愛らしいですね。
メジロの「鳴き合せ」って知ってる??
メジロを調べていると、「鳴き合せ」という言葉が出てきました。
「wikipedia」によると、「メジロは良い声で囀るため、古くから和鳥として飼われてきたが、特に江戸時代からメジロを鳴き合わせる(競争)道楽の対象となり現在に至っている」と説明されていました。
現在は暴力団の資金源になっているという話もあります(【衝撃事件の核心】「横綱」は数百万円? 金品飛び交うメジロ鳴き声バトルのウラ)。
かなりマニアックな娯楽な感じですが、歴史は古そうです。『野鳥売買 メジロたちの悲劇』なんて本も出版されています。
『野鳥売買 メジロたちの悲劇』(講談社)
↑クリックすると、アマゾンのページに飛びます。
『野鳥売買 メジロたちの悲劇』によると、メジロの「鳴き合せ」という遊びは平安時代から行われてきたそうです。
庶民の間で飼われるようになり、「鳴き合せ」が盛んになったのは江戸時代あたりらしいのですが、正確な記述が残っている書物はなさそうです(参考:レファレンス協同データベース〜「目白押し」「鳴き合わせ」について)
だんだん迷宮に彷徨い込みつつありますので、この辺で打ち止めとしましょう。
……と、さらに少しだけ追加します。
地名の「メジロ」の由来は? メジロがたくさんいたから?
東京都豊島区には「目白」という地名があります。
「メジロがたくさん繁殖していたのかな?」
なんて思いましたが、ハズレ。
いくつか説はあるようで、「この地で生まれた白い名馬に由来する」「家光が目黒に対して目白と呼むように命じた」「目白不動尊に由来する」などがあります。
ちなみに目白不動尊は、五行思想の五色(白・黒・赤・青・黄)の色にまつわる名称や伝説を持つ不動尊「五色不動(ごしきふどう)」のひとつです。
映画配給レーベル「メジロフィルムズ」
「メジロフィルムズ」というのは、下北沢の本屋「B&B」を運営するnumabooksの代表、内沼晋太郎さんが立ち上げた映画配給レーベルです。
ロゴはこちら。かわいいメジロが寄り合ってます。
『映画配給レーベル mejiro films|メジロフィルムズ』
http://mejirofilms.com/
小さくても寄り合い、鳴き合い、存在感をアピールしていこうというニュアンスなのかもしれませんね。
もし内沼晋太郎さんと会う機会があったら、うかがってみようと思います。
さて、かなり脱線しましたが、以上!
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