つなワタリ@捨て身の「プロ無謀家」(@27watari)です。
2022年7月、「大阪王将」のフランチャイズ店舗「仙台中田店」(経営:ファイブエム商事)でのナメクジ発生を告発していた投稿者が2024年2月に威力業務妨害の疑いで逮捕・送検されました。
投稿者は警察の調べに対し容疑を認めており、3月に仙台地検は偽計業務妨害の罪に切り替え起訴しました。
仙台地検は被告の認否を明らかにしていませんが、起訴されたことにより投稿者の名前も公に明らかになってしまいました。
さて、なぜこんな事態になってしまったのでしょうか? 一度は自分たちの落ち度を認めていたはずのファイブエム商事でしたが、失地回復のために敏腕弁護士を従え、復讐に燃えての逆襲ということなのでしょうか?
報道によると告発者は「容疑を認めている」そうです。裁判で容疑の内容も明らかにされるのでしょう。威力業務妨害から偽計業務妨害へと切り替えられた理由なども含め、一連の事実が裁判を通じて公になるのを待つしかありません。
そして、もうひとつ大事なことがあります。そもそも内部告発というのはどこまで保護されるのでしょうか? なぜ今回は公益通報者保護が機能しなかったのでしょうか? これでは内部告発に対して積極的になれないという声も目立っています。この気になるポイントも掘り下げてみます。
【目次】本記事の内容
「大阪王将ナメクジ内部告発者」が逮捕!? 保護されなかった理由は?
まずは「大阪王将ナメクジ内部告発」に関して、20代の男性が2月中旬、威力業務妨害の疑いで逮捕・送検されました。告発者が保護されなかった理由を掘り下げます。
まずはわかりやすいX(旧ツイッター)投稿から紹介します。
こちらです。
「大阪王将」FC店の元従業員男性が、勤務店舗でナメクジが大量発生する等衛生状態に問題がある旨を会社に訴えても改善されなかったため、SNSに内部告発を投稿した件。告発は事実だったのに、運営会社が「SNS投稿は業務妨害だ」として被害届を出し、告発者の元従業員男性が逮捕される展開となり、… pic.twitter.com/yZ32TgKu3G
— 新田 龍 (@nittaryo) February 15, 2024
簡単に言ってしまえば、「通報先として定められた行政機関窓口(本件では保健所)に通報せず、先にSNSで晒してしまった」ことが原因です。
弁護士ドットコムでも解説されていました。
こちらです。
不正を発見した場合、まずは社内での相談を考えたほうが良いです。たとえば、会社の社内通報窓口です。そのような窓口がなければ、上司に相談することも考えられます。
続いて、会社の違法行為について、処分や勧告の権限を有する行政機関への通報も考えられます。
たとえば、食品衛生の問題であれば保健所に、廃棄物の問題であれば自治体の廃棄物処理の担当課などに通報することです。
ただ、社内の窓口や行政機関に通報しても「解雇などの不利益な取扱いを受けると信じるに足りる相当の理由がある場合」や、会社に通報すると「証拠が隠滅・偽造・変造されるおそれがあると信じるに足りる相当の理由がある場合」などでは、報道機関などの外部機関への通報を検討していくことになります。
なぜ、こういった順番で考えるかというと、公益通報者保護法は、(1)社内→(2)行政機関→(3)外部という順番で、法が保護するための要件を厳しく定めているからです。
引用:”大阪王将ナメクジ告発”で逮捕にネット動揺、不正の「内部告発者」が保護されるには…(弁護士ドットコムニュース/2024年02月22日 10時20分)
https://www.bengo4.com/c_5/n_17233/
魚拓URL:取得できず
では、関連情報として公益通報者保護制度についてのリンクを貼っておきます。
<参考>
・公益通報者保護制度
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system
・公益通報者保護制度が適用される注意点ほか
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/detail/report
公益通報者保護制度相談ダイヤル(一元的相談窓口)の概要
電話番号:電話 03-3507-9262
※受付時間:平日 9:30~12:30、13:30~17:30 (土日祝日及び年末年始を除く)
※聴覚障害者の方はメールでの相談が可能
※相談は匿名でも可能
ちなみに「公益通報者保護制度相談ダイヤルへの相談件数」は年間3,000件程度です。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/contact/assets/contact_231109_0001.pdf
さて、この事件ですが、そもそもどんなものだったのか? 簡単に記事にしていますので、全体像を把握していない方は、下記をご覧になってください。
参考
・大阪王将「仙台中田店」衛生管理が最悪!? ナメクジやGが大量発生? | 謝罪文 実例026
https://27watari.com/apology-letter-example-026
では、逮捕された時点でネットではどのような声が多かったのでしょうか。いくつかピックアップしてみます。
◯大阪王将ナメクジ告発者が逮捕されたことに対するネットの声
やはり納得できないという声が多かったのでしょうか。それとも意外に冷静な声もあったのでしょうか。確認してみましょう。
<大阪王将ナメクジ告発者が逮捕されたことに対するネットの声>
・逮捕されたからといって起訴相当となるかは別物。これからどうなるのかは検察の判断ですね(→結果、3月に起訴される)
・内部告発は公益のためがほとんどであり、自分にメリットはありません。にもかかわらず高額な弁護士費用と多大なリスクを背負えというのはあまりにも酷です。公益通報者保護法は組織が運営されている前提でまともでない組織を通報せよという矛盾をかかえています
・事実であっても処罰対象になることがある。事実かどうかよりSNSで安易に流すべきではない。先に保健所へ通報するのが筋だと思う。その際に画像等を持っておくとより適切。特に今回の場合は実際にはいなかったので、訴えられても仕方ない状況
・社会的なインパクトでいうならSNSへの投稿やマスコミへのリークなのだろうけど、SNSは個人が特定されて告発者本人が思わぬ形で被害を被る可能性がある。本当に企業側に非があると確信してるのなら、めんどくさいかもしれんがやはり記事にあるような法律に則った手順を踏むべきだろう
・元従業員は証拠(スマホで撮影した写真や動画?)はいくらでもあるみたいな事言ってたと思うけど今後の展開はどうなることやら
・会社に言っても行政に言っても改善の兆しが見られないからSNSで告発したのにその結果がこれとはね。これで賠償責任生じたら見て見ぬふりするのが一番良かったということになる。そんな前例出したらもうだれも内部告発なんてしないだろうね。自浄作用なんて期待できない
・いきなりネットは逮捕されるのは仕方ない気がする
・ミートホープ事件なんかは内部告発で不正が暴かれたものの、告発者が報われなかったことで有名な事件。最終的に朝日新聞が大々的に報道したことで行政が入り、不正は一応の解決を見た(ちなみに新聞社も、ミートホープが地方中小なこともあってあまり乗り気でない新聞社が多かった)。あの件は①当然社長に諫言しても全く言うことを聞かない ②当時は消費者庁がなく、従って担当すべき官庁が今ひとつ不明だった。担当官庁になる可能性のあるところにあちこち持ち込んでも、調査すらせずたらい回しをしていた(法的には管轄は農水事務所で、つっかえしをした職員は後に懲戒処分となった) ③新聞社に持ち込んで報じた際にも、科学的な裏取り(使ってる肉のDNA検査までした)や販売店や卸まで含め、厳密に調査を行っていた
・逃走や証拠隠滅の恐れがどこにあったのか? なぜ在宅捜査じゃダメだったのか?国民の感心が高い事件については、警察が説明責任を果たすべき
・内部告発しても立場上ヤバくなるのは内部告発者。当事者は上から注意を受けるが行動は変わらずにいる。みんな見てみぬフリの現状維持になるのでは
・この件は内部告発ではないでしょ。ナメクジが出る様な環境でも良いと指示が出てた訳ではなく店舗責任者の管理不行き届きなだけでスタッフも衛生環境を整える為に清掃する自身の課せられた義務を怠った業務に対して怠慢でしたと言う話やと思う
・これに関しては手順を間違ったからしょうがないのかなって気もするけど、会社の評判は下がるでしょうね
・そもそも内部通報機関が機能不全してた可能性は考えないのか?
・このフランチャイズの加盟店ってコロナの雇用調整助成金の不正受給もやってた真っ黒ブラックじゃん・・・
・正直な話これ話題になった内部告発の内容よりも告発者がやってたYouTubeでの生放送でやらかしてるんじゃないかな。企業を叩くことでスパチャとかで収益上げていたわけだしその中で嘘大袈裟紛らわしい発言もあっただろうし
・何それ。実際に行政指導とか入ったのに告発がアウトって
・そんなもの社内に相談したら干されるか潰されるかするし、行政機関も権力に対しては当てにならないので、それらをすっ飛ばして外部に情報提供するしかないのが現状
・社内の通報窓口に相談ってその窓口も社畜ですからね。下手な事して自分に不幸が降り注ぐ前に上に相談するでしょう。結局社内の問題点はトップが改善するかしないか
・「正当な手段を」って言いますが、この人の場合は本社にも保健所にも相談したら、動かないか雑な検査でお咎めなしだったからなんですよねぇ…
・仮にナメクジ発生が真実だとしても誇張するような文脈だったり必要以上に拡散させようとしたり改善済なのにいつまでもしつこく言い続けたりやってはいけないことはたくさんあるでしょう
・先ずは社内の内部通報が先だと思いますよね。すぐSNS使うのは社会人としては考えが甘すぎますよね
・今回のは内部告発の目的が何だったのか。ネタが欲しかったのか私怨か
・会社も保健所も腐ってたから結果的にこの方法しかあり得なかったけどな
・最初に上司に相談してたLINEあったよ。それで無理だったから告発したのにね。なら誰に言えば改善されるの?
・告発者もスパチャで金銭とか名前出してSNSでアピールと派手に動いたからね。スパチャで足元すくわれた
・逮捕されるくらいだから、報道されてない部分があるんだろう
・これはSNSユーザーはもちろん、マスゴミ自体に問題があると思う。マスゴミも部分的な切り取りや誇張表現を使って、さもテクニックのように視聴率・閲覧数を稼いでいるが、今回の判例を踏まえればこれらは全部有罪のおそれがあるということ
・ ・ ・
ネットでの声はどちらかに偏るというより、微妙に揺れ動いている印象でした。実際の状況が不明なのも理由でしょうね。
さて、そして逮捕された告発者は3月に入ってから起訴されることとなります。これは穏やかな話ではありません。報道によると起訴状の内容は驚くべきものでした。
起訴状によると、ナメクジが大量に発生した事実はない!?
この続きは、あらためて。