つなワタリ＠捨て身の「プロ無謀家」（@27watari）です。違法アップロードに関する著作権問題や無断転載と引用の線引きなどについてのメモ記事です。参考になれば幸いです。
ネットでの無断転載と引用の線引きを知りたい人……一括に著作権と言ってしまうと、非常に話がややこしくなります。そこで画像の違法アップロード（無断転載）と引用の線引きについての補助線となる記事などをまとめておきました。
【目次】本記事の内容
著作権の法的トラブルは……ほとんどないのでは？
「けっきょく、法的に訴えるのは面倒だからしないんですよ。手間がかかるし、勝っても損害金は手間に見合ったものにならないのが現状なんですよ」。
まず私の経験談から話をします。
私は編集者ですので、著作権トラブルは非常に身近な存在です。冒頭の言葉は、日本国民のほとんどが知っている有名アスリートの事務所の方の言葉です。
無断転載に関して裁判で争った場合、勝訴はするでしょうが、かなり手間であることから争いを避ける人がほとんどなのが現状だと思います。
この話は20年くらい前のことで、現在のようにネットが無法地帯になっていなかった頃の話です。当時は「結局はやったもん勝ちかよ！」という印象を持ちましたが、今では状況は変わっているかもしれません。しかし、個人的な肌感覚では「漫画村」のようなケースはあるにしろ、やはり著作権の法的トラブルはほとんどないような気がします。
気になったので調べてみると、著作権侵害に関する検挙状況を伝える資料がありました。
資料を見ると、つぎのことがわかりました。
・知的財産権侵害事犯の検挙事件数は増加傾向
・平成28年の著作権侵害に関する事件数は238件
・ネット利用による著作権侵害形態は、全体の91.2％
引用：「著作権侵害事犯に対する検挙状況について」（警察庁生活安全局 平成30年２月16日）
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/2018/contents/dai3/siryou9.pdf
ネットは気軽にアップロードできるツールですから、それだけ機会が増えるのは当然です。学校やネットなどでしっかりとした注意喚起を行わないと、減少することはないでしょうね。
実際に著作権侵害の罰金は？ 専門家の意見は？
「著作権の法的トラブルはほとんどないような気がします」と書きましたが、詳しいところはよくわかりません。そこで弁護士さんの著作権に関する記事をいくつかピックアップしておきます。
「漫画村」の運営者は、「懲役３年、罰金１０００万円、追徴金約６２００万円」という判決を下されました。一般的な著作権法違反の場合，ここまで重い刑罰が下されることはまれであると思われます。
引用：「違法アップロードと著作権について元検事の弁護士が解説」
https://keiji-kaiketsu.com/%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/%E9%81%95%E6%B3%95%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%89%E3%81%A8%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9/
見出しについて、読売新聞社は著作物性があると主張しましたが、これに対し裁判所は、ニュースの見出しに創作性は認められないという理由で著作物性を認めませんでした。このような表現は一般的によく見受けられる表現ですので、著作物性は認められないわけです。
引用：「著作権を侵害してしまった・されたら？損害賠償の金額と注意点５つ！」
https://topcourt-law.com/intellectual-property/copyright-infringement-compensation
著作権侵害については、2018年12月29日までは親告罪とされ、被害者から処罰を求める意思表示（告訴）があった場合にはじめて処罰の対象とされました。しかし、法改正により、2018年12月30日以降、著作権侵害は親告罪でなくなり、被害者から処罰を求める意思表示（告訴）がなくても、処罰の対象とされるようになっています。
引用：「著作権侵害についてポイントをわかりやすく解説」
https://kigyobengo.com/media/useful/2118.html#4
法的な問題はややこしいことが多いですよね。基本は過去の判例が大きな指針になるわけですが、時代の変化とともに内容も変わってきます。とくに著作権は親告罪だと思っていましたが、2018年に親告罪でなくなっていたとは意外でした。
大前提として……著作権トラブルは権利者の指摘に従うのが妥当
さて、「漫画村」をはじめとする悪質なケースはともかく私たちの著作権侵害ぬついてはどう考えればいいでしょうか。
それは見出しに書いたとおり、権利者の指摘に従うのが妥当ということになります。争ったりするケースは少ないにしろ、裁判は面倒なことが多いですから。
もちろん確固とした自分のポリシーを貫くことも悪いことではありませんので、なんらかの確信を持って法的な争いをすることに反対はしません。最近は弁護士さんのレベルも低くなってきているので、自信がある方は独力で戦ってみるのもいいのではないでしょうか。くれぐれも弁護士に依頼してはいけません。費用がかかりすぎます。時間とお金の無駄になるだけです。
文化庁が引用を認める7つの要件とは？
そもそもこの記事を書こうと思った理由は、下記のツイートが目についたからです。
文化庁が引用を認める7つの要件というのがあるようです。
せっかくなので文化庁の掲げる引用条件を
引用元：https://t.co/uIYzsHcuJX（ねとらぼアンサー）
ちなみに違法アップロードを指摘し注意する分にはいいですが
指摘の範囲外（違法アップロードしている奴がいる等のスクショを貼る）は別な意味で法的に引っかかる場合があります pic.twitter.com/pyYSQ5f30a— wikialisa (@wikialisa_plamo) April 3, 2022
私がグダグダと書いても仕方ありませんので、関連した記事を載せておきます。引用に関して調べている人の足がかりになれば幸いです。
著作物を勝手にインターネットに流すと「無断転載」となり、著作権に抵触します。しかし、例外的に、テレビ局などの著作権者に断らず作品を使用してよい場合がいくつかあります。一般人の多くが利用できる形態は「引用」です。
引用：「SNSでよく見るテレビ番組のキャプチャー画像、著作権上の問題は？」（ねとらぼアンサー／2018年02月16日）
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1802/16/news011.html
引用における注意事項
他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む場合，すなわち引用を行う場合，一般的には，以下の事項に注意しなければなりません。
（1）他人の著作物を引用する必然性があること。
（2）かぎ括弧をつけるなど，自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
（3）自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること（自分の著作物が主体）。
（4）出所の明示がなされていること。（第48条）
（参照：最判昭和55年3月28日 ｢パロディー事件｣）
引用：「著作物が自由に使える場合」（文化庁）
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosakubutsu_jiyu.html
※「archive.today」による魚拓：https://archive.ph/WsbG3
2014年には、いくつかのバイラルメディアで不適切な引用や無断転載などが頻発し、著作権者へ謝罪する事態になった。（参考として「TABI LABO」の謝罪文を掲載）
・ ・ ・
『文化庁が示している7つの要件』
（1）引用する資料等は既に公表されているものであること
（2）「公正な慣行」に合致すること
（3）報道、批評、研究などのための「正当な範囲内」であること
（4）引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
（5）かぎかっこなどにより「引用部分」が明確になっていること
（6）引用を行う必然性があること
（7）出所の明示が必要なこと(複製以外はその慣行があるとき)
※文化庁では著作権法32条の趣旨と最高裁判例などに基づき、引用ルールとして7つの要件を示している。
引用：「コンテンツを引用する場合は著作権に要注意！」（日経クロステック／2015.06.09）
https://xtech.nikkei.com/it/pc/atcl/knowhow/15/022500018/022600004/
他人の「著作物」「実演」「レコード」「放送」「有線放送」を，「コピー」や「インターネット送信」などの方法で利用するには，原則として「権利者の了解」を得ることが必要です。この「了解」のことを，著作権法では「許諾」といっています。
引用：「著作権テキスト〜初めて学ぶ人のために〜 令和2年度」（文化庁 著作権課）
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/pdf/92466701_01.pdf
※「archive.today」による魚拓：https://archive.ph/A88Tx
東映では、権利者の権利を阻害する行為に対しては適切に対処する責任があると考えています。
引用：「東映の製作する著作物の利用について」（東映株式会社）
https://faq.toei.co.jp/faq/detail?site=JZ2KV020&id=2&hot_list=true
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