0（ゼロ）の発明 – 550〜600年頃？ | 世界の発明・発見

 

インドでの「0（ゼロ）の発明」で完成したアラビア数字

現在広く一般的に使われているアラビア数字（1、2、3、4、5、6、7、8、9、0の10種類）の起源となったのがインド数字です。

 

 

インドで「0（ゼロ）」の概念が誕生するまでは、「何もないものを数える必要などない」「書き表すことも不可能である」と考えられていました。

 

 

「角の数」で表現していたインド数字

１は角が１つ、２は角が２つ、というように、インドでは「角の数」で数字を当てはめていました。

 

 

７に横線が入っていますが、これは１と見間違わないようにと入れられました。アルファベットのＺに横線を入れるのも２と見間違わないためだそうです。

 

 

550〜600年頃よりも早い時期に「0（ゼロ）」は発明されていた!?

つい最近になってオックスフォード大学の研究チームがこれまで考えられていた時期より500年ほど前に「0（ゼロ）」が発明されていたと発表しました。

これは1881年に現パキスタン国内で発見された「バクシャーリー写本」の年代測定をしたことによります。

 

出典：http://www.dsnews.ua/society/velikaya-pustota-pochemu-indiytsy-smogli-otkryt-nul-27092017220000
Copyright: Bodleian Libraries, University of Oxford.
「バクシャーリー写本」はオックスフォード大学のボドリアン図書館にて保管されている

 

「バクシャーリー写本」はカバノキの樹皮による巻物の数学書で、その中に記載されている黒点（赤囲み）が「0（ゼロ）」の起源と考えられています。

 

 

「0（ゼロ）」によってもたらされた数学の拡張

「0（ゼロ）」の登場で、「位取り（1の位、10の位など）」や「正の数と負の数」の発想、「0を加えてもひいても変化しない」「0をかけると何もかもが0になる」「何かを0で割ることはできない（0に逆数が存在しないため）」といった考えが生まれました。

そのおかげで数学は飛躍的な進歩を遂げました。

 

 

アラビア数字を広めたレオナルド・フィボナッチ

アラビア数字のシステムがヨーロッパに導入されたのは13世紀初頭の頃。レオナルド・フィボナッチが『算盤の書』の出版を通じて広めました。

 

By unknown 19th-century artist [Public domain], via Wikimedia Commons
イタリアの数学者、レオナルド・フィボナッチ

 

不思議な性質を持つ「フィボナッチ数列」で有名ですね。

 

 

数学者たちの栄養になる名言

『音楽は感覚の数学であり、数学は理性の音楽である』（シルベスター）
『数学は、人間精神の栄光のためにある』（ヤコビ）
『もしも数学が美しくなかったら、おそらく数学そのものが生まれてこなかっただろう。人類の最大の天才たちをこの難解な学問に惹きつけるのに、美のほかにどんな力があり得ようか』（チャイコフスキー）
『数学の本質は自由にあり』（ゲオルク・カントール）
『数学の本質は表記でなく概念にある』（カール・フリードッリヒ・ガウス）
『画家や詩人の作るパターンが美しいように、数学者の作るパターンも美しくなければならない。色や言葉と同様に、数学の概念は調和していなければならない。美こそは第一の試金石である。醜い数学に永住の地はない』（G・H・ハーディ）
『思考こそが一次言語であり、数学は二次言語である。数学は、思考の上に作られた、一つの言語に過ぎない』（ノイマン）
『数学は、科学へとつながる鍵とドアである』（ガリレオ）
『アラビア数字は数学を民主化した』（バナール）

 

 

アルゴリズムは、アラビア数字を使って計算すること

「アラビア数学の偉大な英雄」と呼ばれているアル・フワーリズミー。

 

See page for author [Public domain], via Wikimedia Commons
1983年のソビエト連邦の記念切手にもなったアル・フワーリズミー

 

現在、コンピュータ用語として使われているアルゴリズム。この言葉は、彼の名アル・フワーリズミーに由来しています。

アル・フワーリズミーがラテン語に変化してアルゴリトミとなり、それがさらに「アラビア数字を使って計算すること」を意味するアルゴリズムへと変化しました。

アルゴリズムはあらゆる場面で使われるようになりました。そんなテクノロジーの変化を理解し、未来の予測ができる一冊が『アルゴリズムが世界を支配する (角川ＥＰＵＢ選書)』です。