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【秋本治の仕事術】「こち亀」創作が40年も休まず続けられた理由

投稿日:2022-03-09 更新日:

秋本治(あきもと おさむ)さんは、1952年12月11日、東京都葛飾区亀有出身の漫画家。代表作は言わずと知れた『こちら葛飾区亀有公園前派出所』。1976年から2016年までの40年もの間、なんと一度も休載せずに週刊連載を続けたことで知られています。とてつもなく長く、しかも面白い漫画を創作し続けた秘密が、本人による指南書『秋本治の仕事術』で明かされています。その中でグッときたポイントを紹介します。座右の書にしてもらいたいほどの名著ですので、ぜひチェックしてください。

 

【目次】本記事の内容

『秋本治の仕事術 「こち亀」作者が40年間休まず週刊連載を続けられた理由』

まずは著作の紹介です。

 

こちらです。

 

【秋本治の仕事術】「こち亀」創作が40年も休まず続けられた理由
秋本治の仕事術 「こち亀」作者が40年間休まず週刊連載を続けられた理由』(集英社)
↑クリックすると、アマゾンのページに飛びます。

 

内容は秋本氏の仕事の取り組み方、考え方を「セルフマネジメント術」「時間術」「コミュニケーション術」「発想術」「健康術」「未来術」の6章立て(64項目)でまとめられたものです。

実際、偉大な実績を創り上げた人の言葉は非常に参考になるものばかりでした。今回の記事では、軽やかに語られている64項目の有益なメッセージの中で私の心にグッときた12項目のエッセンスを紹介します。

 

 

 

秋本治が教える「創作で生き延びるための12の法則」

創作する上で、欠かせない12の法則。少し大仰かもしれませんが、64項目から私が勝手に12項目を抜粋し、さらにアレンジして紹介します。自分の感想も書き添えております。気になられた方は、実際の本を手にとって内容を確かめてくださいね。

 

◯「こだわるな! 変化しろ!」(創作で生き延びる法則01)

「こち亀」は、ハードボイルド風のギャグ漫画という初期設定でスタート。最初は下町路線で描くことは頭にはなかった。その後、ベーゴマや浅草の話の反響が大きく、ガラリと路線変更。その下町の日常が大いにウケて、多くの人に愛されるようになっていった。そして、それ以降も自分の好きなもの、新しい情報を常に盛り込んでいった。こだわりは大切かもしれないが、創作する人間は常に柔軟に変化することが必要。

ーーーこだわりと柔軟性。このバランスについて考え出すとドツボにハマってしまう恐れがあります。こだわると頑固と揶揄されるし、コロコロ変えすぎると節操ないと馬鹿にされるのが世の常です。この基準を簡単に仕分けするテクニックがあります。それは「目的と手段のフィルターを通す」ことです。つまり目的はこだわる必要があるけれど、手段はいくらでも変えていいと割り切ればいいだけです。漫画の場合は人気が出るかどうかがポイント。生きていくためには商業誌で描き続けていくことが目的となります。もちろん好きなことで稼げたら最高ですが、そんなに簡単なことではありません。好きなことを描くことが目的なら趣味でいいわけです。目的を果たすためには、なりふり構わず柔軟に手段を変えていくのがいいでしょう。

 

 

◯「自分に見切りをつけるタフさが必要」(創作で生き延びる法則02)

漫画の世界に限らず、結果が出なければダメなものはダメ。結果が出なければ消えゆくのみ。努力は必ずしも報われない。これが実力社会。これが創作の恐ろしさ。頑固さは命取り。結果が出なければ見切りをつける、もしくは誰かの意見を素直に聞き入れる柔軟性が大切。さもないと才能を伸ばし切れないまま終わってしまう。誰かに意見されるのは気持ちのいいことではない。しかし、すべてを聞き入れる必要はないが、現状の自分に見切りをつけ、自分を改善するタフな姿勢を持ちたいもの。

ーーー資本主義社会はシビアです。経済活動にとってマイナスなものは内容とは無関係に排除されます。だからこそ、うまくいかない場合は、いや、うまくいっている時でも客観的な意見に耳を貸す必要があります。しかし、人間は奢り高ぶりやすい存在です。自分を過大評価しすぎると、いつしか意見されることを嫌い、孤高の裸の王様になってしまう危険性があります。プライドが邪魔するってやつです。そうなるとの意見を聞くことが「負け」だと思い込むきらいが強くなるようです。大事なことなので、繰り返します。人の意見を聞くことは、「負け」ではありません。人の意見を聞くことは、「選択肢を広げること」になります。いわゆるブレーンストーミングです。自分では気づかない発想と出会えるチャンスです。成長できる人は、凝り固まった小さな自分に見切りをつけて、飛躍するチャンスを外に求め、貪欲に吸収しようとしています。

 

 

◯「無駄な時間を徹底的に省け」(創作で生き延びる法則03)

テレビで町工場が工具箱を廃止した番組をやっていた。その町工場では、工具を工具箱から探し、取り出し、片付ける時間を省くために、工具箱をなくし、無駄な時間の省力化を実現。月に40時間の時間を浮かせた。いままでずっと当たり前だと思っていることも疑い、見直し、ロスを徹底的に省くことで、かけるべきものに時間が使えるようになったエピソードに秋本さんはいたく感激。大事なことに時間をたっぷり使うようにするためには、常に何かを改善する姿勢、小さな無駄を省く意識を持ち続けることが必須である。

ーーー無駄を省くためには、作業が無駄であることを認識する必要があります。方法を変えるか、経験値を変えるか、ツールを変えるか、そもそも作業自体をカットするか、この違いを具体的に数値で考えれば一目瞭然です。なによりも疑う姿勢を持つことが重要です。生産性がどれだけ高いのか、やる価値があるのか、実践することで何が確保できるのかなど、冷静に考えていけば、まだまだ無駄は省けるはずです。もっとも簡単なのは、自分が「失敗した!」と後悔するようなことは完全に抹殺することです。同じ失敗を繰り返さないことは、人生の無駄を省く行為です。

 

 

◯「しっかり睡眠! 規則正しい生活を」(創作で生き延びる法則04)

例外的なショートスリーパーは別として、一般人にとってはしっかりと睡眠時間を確保することが充実した行動のカギ。秋本さんは起床は7時半、仕事開始は9時、昼休みなどをはさみ、19時には仕事を切り上げるサイクルを続ける毎日。どうしても間に合わないような例外は……秋本さんにはない。それは常に前倒しで仕事を進めているから。調理想的ともいえる余裕を持った仕事スタイルの源は、充分の睡眠と規則正しい生活。創作活動で生きていきたいならば、徹夜、短期の一気勝負などは愚の骨頂。常に同じペースで前進を続けることが基本。

ーーー『天才たちの日課』(←クリックすると、アマゾンのページに飛びます)を読むと、ベートーベン、モーツアルト、マティス、ミロ、ピカソ、トルストイ、カフカ、チャールズ・ディケンズ、ベンジャミン・フランクリン、カール・マルクス、、ダーウィン、ウッディ・アレン、アンディ・ウォーホール、フランク・ロイド・ライト、アインシュタイン、村上春樹、ゴッホ、カント、ユング、ヘミングウェイ、ヘンリー・ミラーなどの創作生活が紹介されています。世の中に何か大きな仕事を残した人たちの多くは、リズムキープ型です。秋本さんも同様。偉大な仕事をしたければ、そういうことです。説明は不要です。これが真理です。

 

 

◯「前倒し行動で豊かさがアップ」(創作で生き延びる法則05)

納期(締切)のサバ読みは出版の世界では普通のこと。漫画に限らず、常に編集部と著者の間では駆け引きが展開されている。しかし秋本さんは常に前倒し。だから想定外のトラブルが発生しても問題なし。時間に余裕があるので、急な思いつきで出かけることもオッケー。創作物は前倒しで完成させ、ゆっくり仕上がりを見直す余裕を持ちたいもの。慌てるという精神的マイナスを人生から排除しよう。

ーーー前倒しは非常に有益です。しかし、編集者によっては早めに仕上げると追加で修正をバンバン入れてくるケースもあります。反対に編集者側が仕事を放置して、ギリギリになってから作業を要求する場合もあります。つまり前倒しにすると、仕事が増える可能性が出てくるわけです。これは珍しいことではありません。そういった点を考えると、秋本さんは編集者とのコミュニケーションも先手で深めていったと思われます。仕事は前倒しだけではなく、その後に発生するようなリスクも事前に潰していくことが重要です。

 

 

◯「イライラしたら執着しない」(創作で生き延びる法則06)

うまく描けないコマが出てきたら、違うコマに手を付ける。うまくいかないこと、不愉快なことがあったら、すっと立ち去る。同じところに留まらずに離れる。これが秋本流。できるだけイライラを遠ざけることを非常に大切している。さもないと仕事が荒れてきてしまうから。

ーーー緊張感に自らを追い込んでアドレナリンを出しまくって仕事していると、脳は疲れ果ててしまい、最後は燃え尽き症候群になりかねないです。それでは「こち亀」のような長期間の創作生活など続けられるわけがありません。感情を乱さないこととは、α波が出やすくするようにしたり、セロトニンの分泌を活発化させるような環境に身を置くということでしょう。余談ですが、セロトニンの分泌を活発化させる方法があります。セロトニンは脳の後ろ側、後頭部で分泌されます。そこで後頭部を両手の指で押さえ、軽く頭を振って刺激してやるといいそうです。どうぞお試しください。

 

 

◯「批判は無視! 褒めてくれる人に応える!」(創作で生き延びる法則07)

秋本さんはネットの書き込みはほとんど見ない。アンチの無責任な批判(誹謗中傷)に影響を受けて、反論したり迷ったりすると、作品は間違いなくダメになっていくというのが理由。反対に楽しみなのがファンレター。励みになる言葉、前向きな意見は創作の糧になるそう。創作に正解はない。最後は自分で責任をとるしかない。だからこそ褒めてくれる人に喜んでもらうよう建設的に自分の道を進んでいくのみ。安直な批判などに耳を貸すことなど不要。

ーーー前半部分(法則02)に他人の意見に耳を傾けることの大切さが出てきました。しかし今回は…… 「あれ?」っと思った人は、批判と批評の違いを理解しておきましょう。批判の多くは独善的に白黒を判定するような無責任さや安直さで語られることが多いです。反対に批評は多角的に思考して評価するニュアンスが強いです。つまり無責任な意見には真剣に耳を貸す必要はないということです。

 

 

◯「煮詰まったら軽やかに切り替える」(創作で生き延びる法則08)

どうしても面白いアイデアが浮かんでこない場合は、すっぱりと諦める。これが秋本さんのルールす。アイデアが出ないときは、いくら時間をかけても無駄。テーマ自体からスパッと切り替えてしまうこともあるそう。大切なのは、切り替える際に深刻な決意などは不要ということ。粘らずこだわらず、軽やかに切り替えるという姿勢は、平穏な精神状態をキープすることにもなる。

ーーー秋本さんは軽やかな修行僧のようにも見えてきます。諦めるということは、悪いことだけではありません。まさに諦観。超然とした悟りの姿勢です。大袈裟な気負いもなく、スパッとカットアウトするような諦めの境地は清々しさすら感じます。長い人生において、ギブアップすることは負けではないのです。

 

 

◯「まず先に進めること」(創作で生き延びる法則09)

漫画の土台、設計図になるのがネームと呼ばれるもの。これをまずは形にすることが大切。中途半端でも気にせずに叩き台(ネーム)を作り上げること。正確性にこだわらないのがコツ。不正確でも作り切って次の段階に進まないと、先にはいけない。完璧よりもスピードを重視しよう。

ーーーあとから修正することを前提に進めていくことは大事なことです。モノづくりにおいて完璧主義は欠かせない姿勢ですが、最初から完璧精神を発揮すると、たいていは足かせになります。最初は完璧主義より完了主義で。完了したものをいかに叩き上げて完結させていくことが重要です。仕上げの段階こそ細部にこだわった完璧主義を発揮していきましょう。

 

 

◯「行動はシンプルに! 座ったら仕事するだけ」(創作で生き延びる法則10)

さいとう・たかお氏の言葉「座ったら描く」。これを実践している秋本さん。余計な悩みも不要。白い紙に頭の中のものを描くのみ。ここで手を止めない。悩まない。手を動かすのみ。秋本さんはガシガシ描き込むそうですが、さいとうさんは丸チョンのみ。とにかく形にする。自然体で肩に力を入れない。これが大事。

ーーーこれは、いわゆる「if-thenの法則(もし〜したら、〜する)」です。1990年代にニューヨーク大学の心理学者でもある、ピーター・ゴルヴィツァーによって提唱された理想的な行動様式です。つまり脳に余計なことを考えさせないという行動様式。創作に限らず、すべての物事は形にすることがすべてです。考えることは重要ですが、考え過ぎは逆効果というわけです。

 

 

◯「僕にとっての運動は取材」(創作で生き延びる法則11)

特別な運動はしないし、散歩すらしない。座りっぱなしの生活ではあるが、特に健康上の問題は感じない。食も細いので、体重も増えない。運動は好きなこととセットにしてやるのがいい。楽しいことで身体を動かせば、まったく苦にならない。僕にとっては、取材が運動。あとはゴルフ。

ーーー苦しんだ先に楽しさが待っているという行動パターンがあるのは知っています。しかし、人生は楽しんだ方がいいに決まっています。だから目的のために苦しい手段を選ぶことは間違っているのかもしれません。私は積極的に苦しむ必要はないと考えます。嫌なことこそ楽しさとセットにしていくことを意識していきたいものです。

 

 

◯「回り道をして、経験を拾え」(創作で生き延びる法則12)

ただがむしゃらに、回り道を厭わず、選ばないで何でもやってきた人が比較的早く成功をつかんできている気がしてならない。いろいろ拾えば、チャンスは広がる。人間関係も同様。打算的にならず、広いコミュニケーションを持つことが重要。

ーーー私的には直線コースよりも回り道コースの方が絶対に豊かだとは思いません。まして回り道が近道になるとも思えません。というか、近道とか回り道とかいう発想が気に入らないです。どうでもいいと考えています。直線コースでも、道草することだってあります。大事なことは行動量や観察量、そして想像量ではないでしょうか。遮眼帯(ブリンカー)を付けた競走馬のようにゴールのみを見据えて突っ走ることもバカにはできませんし、時には必要です。私自身は目的すら見失い気味で、回り道というよりも漂流している感が強い生き方をしているのですが、自分なりの生き方と向き合って、何かを掴み、活かしていくことが大事なんでしょうね。

 

 

 

 

秋本治さんの7個のエッセンスをインタビューからピックアップ!

さまざまなネットのインタビュー記事から、秋本治さんの魅力や創作の秘密、エッセンスなどをピックアップしました。どのインタビューも読み応えがありますので、ぜひご覧になってください。

 

(漫画家として大成するために必要なことは)メンタルの強さでしょうか。編集者に直されてもまた描く。それは例えるならスポーツの練習のようなもので、結果的に自分の表現を広げることにつながります。新しい自分が見つかります。

引用:秋本 治先生インタビュー|ヤングジャンプ40周年記念(集英社/2020)
https://yj40comicaward.jp/30/interview.php

 

 

(以前はメディアの取材を受けなかった。心境の変化があった?)途中からですが、作家は黒子だと思うようになりました。自分で話すより作品を読んでもらえればいいと、顔出しをやめました。でも、『こち亀』の終了で、いろいろ推測されるより自分で話すのが一番いいと思いました。

引用:「両さん休暇中に描きたいものを描きたい」 こち亀・秋本治氏ロングインタビュー (産経新聞/2016.12.25)
https://www.sankei.com/article/20161225-MT6XFSOKSJIXJHWT5ZDLPXZPVE/

 

 

僕もデビューしたての頃は、コミック表紙用に絵を1枚描かされて、後は完成するまでどういう構成か色なのかも全然わかりませんでした。100巻までは口出しできませんでした。でも、「100巻目からは自由にやりたい」と宣言して、好きにやらせてもらうようになりました (笑)。

引用:スペシャル・ノーカット・ロング対談~30年ぶりの再会~太田裕美×秋本治(otonano/2017)
https://www.110107.com/s/oto/page/hiromi_otaxakimoto

 

 

僕も殴られた顔がグチャってなって、それで歯が飛び出すっていうのも三起也先生から習ったから。「こち亀」の中でも、最後ゴンって殴られて歯が飛び出すっていうのを描いて。前歯が折れるくらいって、そりゃ痛いよなーって。

引用:秋本治先生・一本木蛮先生 ロングインタビュー 『野性のDNA』第3回(月刊 望月三起也/2017.01.29)
http://wild7.jp/13877

 

 

スケジュールを詰めるやり方は、『こち亀』が一話完結だからできた面もあります。ストーリーものは、「先週このキャラクターが人気だったから、もっと登場させよう」「ちょっと人気が落ちてきたから、流れをガラッと変えよう」と、読者の反応を見ながらストーリーを変えることが珍しくありません。1カ月先はどうなっているかわからないから、描きためることができないんです。その点、一話完結は有利でした。

引用:こち亀・秋本治の時間術「計算とズボラさの間」(PRESIDENT Online /2019.10.23)
https://president.jp/articles/-/30308?page=3

 

 

(早矢という弓道をする女性キャラクターについて)一般になじみが薄い競技ということもあって、資料が乏しい。専門店に乗り込み、弓矢を買う。門外漢には近寄りがたい雰囲気だったが、いかにも経験者の風情で「竹の矢をちょっと使いたい」などと言いながら、あれこれメモをとった。「取材させてくださいだと、向こうは構えてしまいますから」。

引用:くらもちふさこさん・秋本治さん対談 弓道に熱い思い(朝日新聞デジタル/2017.06.01)
https://www.asahi.com/articles/ASK507GGFK50UEHF012.html&ct=ga&cd=CAIyHDA4NjE1NzRiOWY2NTliYjc6Y28uanA6amE6SlA&usg=AFQjCNHK87DuPt0mOOYFd61FCvwGV5MgAg

 

 

(実家の隣が映画館だった)任侠映画からアクション映画まで、恋愛映画以外はなんでも観ましたね。60~70年代に『俺たちに明日はない』や『イージー・ライダー』といったアメリカン・ニューシネマが流行って、アンチヒーローが登場するようになったんです。当時の劇画はみんなそうした映画の影響を受けていたと思います。劇画では望月三起也先生の『ワイルド7』やさいとう・たかを先生の『ゴルゴ13』、ちばてつや先生の『あしたのジョー』が始まって、いずれも主人公がワルっていうかね(笑)。自分もそういう作品を描きたいと思って憧れましたね。

引用:秋本治の映漫画(シネマンガ)への道(グランドジャンプ公式サイト)
http://grandjump.shueisha.co.jp/akimoto_interview/

 

 

◯マエストロ両津と学ぶ 漫画のツボ

第1回「読みやすい画面構成」
第2回「読切マンガの極意」
第3回「キャラの魅せ方」
第4回「ネタ選びのポイント」
引用:https://www.jump-mangasho.com/chair/category/treasure/akimoto_treasure_no90/

 

 

◯秋本治氏「ビッグコミック創刊50周年」インタビュー

 

 

◯「こち亀」連載30周年 作者・秋本治さんを直撃(『王様のブランチ』)

 

 

 

 

大衆の娯楽である「こち亀」は、現代の浮世絵だ!

浮世絵には「大衆の娯楽」「大衆のニーズ」「精緻な描き込み」の3つの特徴があるが、「こち亀」は、この特徴を満たしている存在だと筆者の稲田豊史氏は語っています。稲田氏はキネマ旬報社を経て編集者となった方。現在を生き抜く逞しい両津が代弁する日本社会のリアルな問題と突破口、一貫して流れる「無反省・無節操」などの精神構造、「こち亀」の魅力について深く切り込んだ一冊です。

 

『こち亀』社会論 超一級の文化史料を読み解く(多様な視点によるコラム)稲田豊史氏
『こち亀』社会論 超一級の文化史料を読み解く 単行本
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「cakes」でも書籍を抽出したような(もしかして同じ?)コラムがアップされています。ぜひご覧になってください。

参考:
・『こち亀』社会論 超一級の文化史料を読み解く(多様な視点によるコラム)
https://cakes.mu/series/4549

 

 

 

 

巻数最多勝負! ゴルゴ vs こち亀

2021年07月05日にリイド社がさいとう・たかをさんの漫画「ゴルゴ13」201巻を発売しました。これにより「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ」として2016年にギネス世界記録に認定された秋本治さんの漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(集英社、全200巻)を超えることとなりました。

 

「こち亀」2021年10月04日に201巻を発売して追いすがりますが、現在「ゴルゴ13」は203巻までリリース。2022年04月05日には204巻が発売される予定です。

 

2021年9月24日にさいとうさんは亡くなりましたが、「ゴルゴ13」は連載は残されたスタッフによって継続されています。このまま「こち亀」は引き離されていくのでしょうか。ちょっと寂しい気がします。できればデットヒートを展開してもらいたいところです。

 

 

 

 

秋本治さんに関するトリビアなど

秋本さんのプロフィール、逸話などは、あちこちで書かれています。「Wikipedia」 と重複している部分もありますが、一応、簡単に箇条書きでまとめておきます。

 

◯秋本治さんプロフィール

誕生日:1952年12月11日(66歳)
住まい:東京都葛飾区亀有
仕事場:アトリエびーだま
受賞歴:第30回日本漫画家協会賞大賞、第50回小学館漫画賞審査委員特別賞、第21回手塚治虫文化賞特別賞、第48回星雲賞コミック部門、第64回菊池寛賞、第67回芸術選奨文部科学大臣賞ほか

 

 

◯「こち亀」に関するデータ

連載:週刊少年ジャンプ(1976年〜2016年)
単行本:全201巻
累計発行部数:累計1億5,650万部
アニメ(1996年〜2004年)、ドラマ(2009年)、映画(1977年・2011年)

 

 

◯秋本治さんエピソード

・漫画家になる前はアニメーター。タツノコプロで「科学忍者隊ガッチャマン」などを手がけた。
・「こちら葛飾区亀有公園前派出所」という長いタイトルは目に付きやすさを狙った。
・ペンネームは、「岩森章太郎改め山止たつひこ」だった。
・デビューは「こち亀」で新人賞受賞したため。
・巻頭カラーで最終回を迎えることができた(過去に合わせて全5作品のみ/他は『リングにかけろ』『ドラゴンボール』『スラムダンク』『ナルト』)

 

・軍事兵器のファンで特に戦車が好き。
・鉄道ファンでスポーツカー・バイクにも興味あ。
・野球は阪神タイガースのファン。
・実際の警官の制服、拳銃のモデルガンなども所持。

 

・アシスタントは7名。出勤・退勤時は必ずタイムカードを打刻。
・昼食は奥様が作られたお弁当。
・アトリエ以外の「第2の仕事場」もある。
・週1回、ファミレスでネーム作業(夜の7時まで計9時間ぶっ通しで作業・トイレとコーヒーのおかわりの時だけ席を立つ)。
・アイデアがつまった時のリフレッシュ方法は、逃げずにアイデアが出るまでとにかく考える。
・右利きで、漫画を書くときはいつも右手に白い手袋。
・毎日新聞に目を通して気になった記事を切り抜き、スクラップしている。
・両さんを描くときは必ず眉毛から。顔の中心なので、眉毛を描くと自然に目や鼻の位置が決まりやすくなるから。
・冬は暖房でインクが蒸発し濃くなるので、よく水で薄めますが、ほんの一滴リポビタンDを入れるとインクに元気が出る感じがしている(らしい?)
・小物や背景の細部まで、細かく再現するのがモットー。
・4ページ目までが勝負。
・面白いものができて、『早く読者に見せたいな』っていうのがある。

 

 

それにしても凄い方ですよね!

 

さて、ここからは少し脱線した形で番外編をプラスしておきます。

 

ファンの眼力がすごい! アシスタントと秋本さんの画力の違い!?

まとめサイトで「こち亀のアシスタントの絵がオタっぽくてキモすぎる!」という記事を見つけました。なかなか濃い記事でしたので、少し抜粋しておきます。さらにアシスタントについて少し深堀りしてみました。それにしてもファンの眼力は凄いです。

 

<こち亀のアシスタントについて>
・表情のパターンが少ない
・マネキンだね
・アシスタントの質で露骨に絵のクオリティが左右されている
・120から150巻あたりのくされっぷり
・こち亀と銀魂はアシの絵と作者の絵が違いすぎ
・単行本100巻位から作者はネーム切るだけで作画は全部アシスタントがやってる?
・最も多い意見としては、「100巻までは面白いが、それ以降は……」
・麻莉愛が出てきたあたり(67巻)からすでに下り坂だった
・マネキンみたいな顔のモブの登場は82巻
sagaX(さがえっくす)さんが……
※sagaX(さがえっくす)さんは1990年に『からくり忍者伝破邪丸』で坂本昭悟の名前で「ホップ★ステップ賞」入選し、その直後から秋本治さんのアシスタントを務めていた人物。「こち亀」の品質下げ止まらない低質化を招いたと糾弾された。2chでは本人の個人サイトが特定され、さらにスレッドに本人が降臨したことで話題となった(http://salad.5ch.net/test/read.cgi/ymag/973594254/)。「モブに女の比率が急激に上がっていった時期について、コマ数が多い「こち亀」の内部事情、派出所やビルを描くことが多かった、限られた時間で似なくとも違和感が出ないよう少しづつ努力しているつもり」などの現場の声が書き込まれた。

 

ファンの眼力が凄いと見出しにも書きましたが、熱心なファンならば絵の雰囲気が変われば、すぐに気づきます。そして「こち亀」のアシスタントさんは批判されているようですが、かんり頑張っていると私は感じます。マネキンと揶揄されるモブですが、もっと酷い漫画は山ほどあります。作者は主要キャラの下描きからペン入れで精一杯でしょう。そうでないと仕事が回っていきません。

 

参考:
・こち亀のアシスタントの絵がオタっぽくてキモすぎる!
https://matome.usachannel.info/?p=444804

・『こち亀』の作風変遷・全盛期・女性観について考える
https://onaji-hon.blogspot.com/2019/01/blog-post_23.html

・こち亀アシスタントsagaXの画力をご覧ください
http://blog.livedoor.jp/godwindsokuhou/archives/6650185.html

 

 

◯【番外】アシスタントが語る冨樫義博さんの日常

せっかくアシスタントの話が出たので、累計発行部数6500万部『HUNTER×HUNTER』などの漫画で知られる冨樫義博さんの元でアシスタントをやられていた味野くにおさんの話を。味野さんは冨樫さんとの日常を語ったコミックを出しています。

 

「冨樫先生の現場のアシスタントは、最大3人だったかな? 背中合わせで作業しながらしゃべったり、原稿が上がったら朝までゲームや麻雀したり。(冨樫さんは)しんどかった時期、体力的に厳しかった時期もあると思うのですが、アシスタントの前ではそんな姿を見せなかった。すごいですよね。もちろん、それほど真面目で真摯だからこそ、溜め込んでしまったところもあると思うのですが……。」

 

引用:天才・冨樫義博の日常。元アシスタントが振り返る「幽遊白書」の作者ってこんな人(BuzzFeed/2017.11.16)
https://www.buzzfeed.com/jp/harunayamazaki/sensei-hakusho

 

詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。

 

天才・冨樫義博の日常。元アシスタント味野くにおが振り返るコミック『先生白書』
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肩書きは「エディトリアル・アーティスト」&捨て身の高熱量「プロ無謀家」。集めて、編んで、外に発信することが生業。文章、映像、写真、イベント、コミュニケーションなどを活用しながら編み、考えていることを掘り下げて伝えていきたいと思っています。また、自分に負荷を与えるのが好きな性質を利用して、「プロ無謀家」として獣道を切り開きたいと思っています。

サイトタイトルの『インテリジェンス・ライフ』は「intelligence for good life」の略。生きた情報(インフォメーションではなくインテリジェンス)を大切にしたいという願望からつけました。

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