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創造力を育む

「創作のための意識改革術」追加バージョン Ver 20171203

投稿日:2017-12-03 更新日:

やる気を起こす方法(11) 自己暗示

・「今に見ていろ」「今になんとかなるさ」「なるようになる」「オレにできないはずはない」「よし、やるぞ~!」「やればできる」「そのうちよくなる」など、こうしたかけ声はかなり有効である。
・逆に「しんどいなぁ」「疲れたなぁ」「やりたくないなぁ」「ダメだ」「書けない」「時間がない」「いそがしい」などの泣きごとはマイナスの自己暗示で、マイナス思考に拍車をかける。
・「きょうは調子が悪いなぁ……」と感じたら、そのままではマイナス暗示になって調子がますます悪くなる。なぜ調子が悪いのか、その原因を論理的に考察して、調子よくするにはどうすればよいか、その方法を見つけよう。あらかた「なまけ心」が原因である。
・自己暗示の生兵法は危険である。効果が正反対に作用してしまう可能性がとても高い。たとえば、地上の板の上は歩けるのに、ビルの高さにある板を歩けないのは、いくら「落ちないで歩くぞ」と暗示をかけても、「落ちるかもしれない」という無意識的自己暗示が強く作用してしまうためである。経験によって無意識に「決して落ちない」と思えてはじめて、暗示の効果はプラスに作用する。つまり「道理にかなわない暗示」では意味がないばかりか逆効果だ。(もっとも、暗示に成功しても、足をすべらせれば落ちてしまう)

 

◆【クーエの一般暗示】

(エミール・クーエ (1858-1926)……フランス人。自己暗示法の創始者)

・「日に日に、あらゆる面で、わたしはますますよくなってゆく」と朝と晩20回ずつ唱える。子供のようなすなおな気持ちになって、目は閉じ、全身の力を抜いて、耳に聞こえるぐらいの声で唱えること。この暗示の中でもっとも重要なのは「あらゆる面で」ということばである。
・この暗示を試してみたが、はじめのうちはかなりの効果があった。しかし、不愉快なことがあって気分が落ち込んでいるときには、セリフが空々しく感じられて逆効果のようだ。調子が悪いときには、自己暗示はやめて、原因を論理的に分析するほうがよい。

 



 

 

やる気を起こす方法(12) 達成動機

・達成動機の低い人(やる気のない人)は、失敗や非難を恐れて、だれにでもできる安易で無難な仕事をしようとする。(志が低い、あるいは志がない人)
・逆に、自分にはとてもできそうもない困難な仕事をしようとする人も、達成動機の低い人(夢見がちな人)である。リスクを無視して夢を見るので、現実に夢を達成する見込みはほとんどない。夢だけを見て、行き当たりばったりの人生をおくってしまう。(マンガ家志望、作家志望などに多い)
・達成動機の高い人は、努力すれば達成できそうな、困難度が中程度の仕事をしようとする。リスクを理解した上で失敗を恐れず「チャレンジ精神」があり「ゲーム感覚」「遊び心」そして「明確なビジョン」をもっている。
・仕事をやり向く傾向の強さは、接近の傾向(達成しようとするやる気)と回避の傾向(失敗に対する不安)との合成力で決定される。(J・W・アトキンソン)
・ようするに「失敗したらどうしょう」とか「成功しても食っていけるだろうか」などの不安(マイナス思考)は行動を抑制し、「オレの作品はおもしろい!」などのプラス思考は作家を創作に没頭させ上達させる。

 

◆【D・C・マクランドの達成動機の基準】

(1)卓越した水準で物事をやろうとする。(志が高い)
(2)独自なやり方でやろうとする。(オリジナリティ)
(3)長期間かかることでも根気よくやろうとする。(粘り強さ)

 



 

 

やる気を起こす方法(13)

・好奇心を持つ。
・目標を決定し、勝つことを意識する。
・十分な報酬を得る。(報酬は金とはかぎらない)

以上の3要素がそろえば、やる気を起こすホルモン TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)が脳内に分泌され、積極的な行動意欲が生み出される。そのほか、

・堅いものを噛む。
・足を動かす。(散歩) などでも、TRHが分泌される。

(参考番組「ファー・イースト・リサーチ」日本テレビ)

 

 

論理的思考(Mr.スポックになろう)

・論理的思考とは「大人の考え方」である。かんたんにいうと「思慮深く」なること。物事を注意深く考え、慎重に判断すること。感情的な自分を見つめる「もう一人の冷静な自分」をもつということ。
・論理的思考とは、道理にかなう、筋道の通った思考である。「主張」「根拠」「前提」の三点が明確な思考である。
・論理的思考は、感情をコントロールし精神を健全にする。
・論理的思考は、作家を「常識ある人間」にする。
・論理的思考は、心の危機管理(リスクマネージメント【risk management】)である。論理的思考で、創作活動にともなうさまざまな精神的危機を最小限に抑えることができる。

 



 

 

新人作家が陥りやすい非論理的思考の例

◆【どうせ思考】(なげやり、思慮が浅い)
・「どうせ自分の人生だからどうでもいいや」「どうせ誰にも理解されない」「どうせ自分には才能がない」「どうせメジャーでは仕事ができない」――このような「なげやり」な思考を「どうせ思考」という。このような考え方に根拠はない。自分はダメだという「思い込み」にすぎない。
・「どうせ思考」は建設的な努力の放棄であり、論理的思考の放棄であり、向上意欲の放棄である。つまり「思考のなまけ」である。
・「どうせ思考」は「自分の可能性を自分で奪ってしまう考え方」であり、発展すると最終的には「自殺」に結びつく。このような思考の悪習は早く断ち切らねばならない。
・「どうせ思考」を断ち切るには「論理的思考」をするしかない。論理的に考える習慣をつければ、自分で自分の首を絞めるような思考はしなくなる。

 

《解決方法》

・ただ、あきらめるのではなく「なぜできないのか?」「なぜわかってもらえないのか?」と考える。主張に根拠がなければそれは「思い込み」である。
・「自分が本当にやりたいことはこれだ」という主張を持つ。(意志)
・障害になっている「原因」を取り除く努力をする。

 

 

◆【マイナス思考】(泣きごと)
・「なにもかもうまくいかない」「新人賞の予選に落ちた」「書く時間がない」「もうダメだ」――このような泣きごとを「マイナス思考」という。
・「マイナス思考」は「暗示」により、不幸な気持ちを増幅させる。
・「マイナス思考」は、ただの不幸な気持ちを「絶望」にすり替えている。
・「マイナス思考」の裏には「成功しなければならない」「認められるべきだ」などの非論理的な「前提」がある。これらの前提はただの「願望」であり「根拠」を欠いた、不当な「思い込み」にすぎない。
・伊藤順康著「自己変革の心理学」によれば、「~でなければならない」「~であるべきだ」などの絶対論的思考は「べき思考」とよばれる。「べき思考」は「不幸感」を生み出す元凶であり、論理療法の治療は、この非論理的な思考をみつけることからはじまるという。
・「マイナス思考」を頭の中で繰り返していると、やがては情緒障害をひきおこし、自滅することになる。

 

《解決方法》

・考えてもしかたがないことを、心の中で何回もくり返さない。
・「プラス思考」をする。
・前提を「願望」から「常識」に改める。
「成功しなければならない」→「成功するには努力が必要だ」
「認められるべきだ」→「認められるには才能が必要だ」
・不幸の「原因」をみつけ、問題を解決する。

 

◆【可能性を奪う思考】
・「作家にならなければ生きている意味がない」――これは、事実にもとづかない「不当な思い込み」である。「根拠」も「前提」もない。これ以外の選択に「価値がない」というレッテルを貼り、自分を洗脳している。
・一見「なにがなんでも作家になる」という前向きな考えに思えるが「挫折したら死ぬ」という危険を含んでいる。これを「可能性を奪う思考」という。
・このような非論理的な信条を立ててそれに固執することは危険だ。精神分裂や自殺につながりかねない。

 

《解決方法》

・筋道の通った思考をする。
(例)「作家になるために、努力してよい小説を書こう」
・現実をありのままにうけとめる。ほんとうにその道を選択することが正しいのか、恐れず勇気を出して考えてみる。
・挫折した場合は、ほかの可能性を模索してみる。一つの道で挫折した人が、別の道で成功したり、幸福になる例はいくらでもある。

 

◆【引っ込み思案】
・「こんなことをいえば気を悪くするだろう。だから黙っていよう」――このような「憶測」や「推測」が「引っ込み思案」の原因である。
・「主張」をしないで頭の中に不当な「不満」「不信感」「敵意」をため込んでいると、やがてコミュニケーションができなくなり「人間不信」から情緒障害をひきおこす。
・たとえば作家が、編集部との打ち合わせの際に、自分の考えを主張できなければ、編集者は「この作家には主張がない」と判断して、作品内容に深く介入するようになる。それでもまだ、なにも口に出せないでいると、やがて「書きたいことを書かせてもらえない」という「不満」や、「この人は創作がわかっていない」という「不信感」をもち、それが高じて、編集者への「敵意」になる。

・「引っ込み思案」の人がたどる二つのプロセス。
(1)「沈黙」→「いいなり」→「爆発」(キレル)
(2)「沈黙」→「いいなり」→「奴隷化」(依存してしまう)

 

《解決方法》

・自分の「本音」を抑圧しない。「自分はこんな作品を書きたい」と主張する。
・他人の反応を恐れる必要はない。「あたって砕けろ」の精神で主張を伝える。
・相手の主張も確認する。
・おたがいが納得できるまで「交渉」する。あるいは「ディベート」する。
・理屈が通じない相手なら、怒鳴りあうのも一つの方法である。
・話し合わなければ、おたがいがますますわからなくなる。
・他人(家族も含む)に依存しない。自立する。最終的な決断は自分の意志でおこなう。

 

《注意》

・「クライアントの依頼どおりの仕事をするのがプロである」と考える作家がいれば、「他人が創作に介入することは絶対に許さない」と考える作家もいる。いずれも作家個人のスタンスであり、他人がとやかく言う問題ではない。
・ただ、いずれの場合にも、そのスタンスをあらかじめ編集者に伝えておく必要はある。

 



 

 

◆【不当な思い込み】(結果論)
・「作品の収入だけでは食べていけない。現実は甘くない」
「芥川賞や直木賞を獲らなければ本は売れない」
「悪い編集者にあたると成功できない」
・これらは「結果論」にすぎない。新人が考えてもしかたがないことである。
・作品の収入だけで生活している人もいるし、賞がなくても本が売れている人もいるし、悪い編集者にあたってもつぶされない人もいる。収入が少ない理由、本が売れない理由、成功できない理由を、自分以外のせいにしてもしかたがない。

 

《解決方法》

・自分の頭で思考する。「なぜか?」「根拠はあるのか?」と考えてみる。迷信や偏見、誤報の可能性も考える。
・「挑戦思考」をする。
・ようするに、自分が「おもしろい作品」を書けばなんの問題もない。

 

 

◆【過去へのとらわれ】(後悔、恨みつらみ)
・「あのとき、ああしておけばよかった」(反省)
「なんであんなことをしてしまったのだろう」(後悔)
「あいつのせいで、こうなってしまった」(恨みつらみ)
・これは「ぐち」である。ぐちを心の中で何回繰り返しても思考のムダである。
・「反省」するのはよいが、そこで「停滞」してはならない。

 

《解決方法》

・将来同じ過ちを犯さないためにはどうするかを考え、欠点を改める。
・失敗したのはむしろラッキーだったと、あとになって思う場合は多い。
・失敗は成功のもと。
・ころんでもタダでは起きるな。

 



 

 

プロ作家が陥りやすい非論理的思考の例

◆【他人への敵意】(上昇志向による思考のゆがみ)
・「志の低い連中はみんな敵だ」「編集者は敵だ」――これは、プライドの高い作家がおちいる思考である。
・創作に対する思いが強くなると、周囲の人間の考え方がくだらなく思えてくる。「なんて志の低いやつらだろう」「なんでもっとがんばらないのだろう?」そして最終的には「自分以外みんなバカ」となる。それが態度に現れだすと、周囲も腫れ物をあつかうような態度になり、孤立し、人間不信になって自滅する。こうして自分で自分を追いつめていく。

 

《原因》

・この作家は、次のようなことを考えているのではないだろうか。
「いまのマンガ家は堕落している」
「創作は芸術である。金儲けの手段にするな」
「編集者は批評しているだけで仕事をしていない」
・まず「○○は、~であるべきだ」という「前提」がまちがっている。自分の信条や主義が絶対であるという「思い込み」を捨てなければならない。「前提」がまちがいなら、正しい主張は得られない。
・「マイナス思考」の部分でも述べたが「~でなければならない」「~であるべきだ」などの絶対論的思考は「べき思考」とよばれ「不幸感」(擬似の絶望)を生み出す元凶である。
・気負いすぎている。俗に「てんぱってる」などともいう。自分と周囲の温度差の違いにいらだっているのだが、自分が熱くなりすぎていることに気づいていない。たとえるなら、周囲が日常生活をしている中で、一人だけが戦争をしているような状態である。
・他人に不当なレッテルを貼っている。他人を認めようとする前向きな姿勢がない。
・相手の欠点を非難しているだけ。しかも、非難を口に出さずに頭の中で復唱している。これではフラストレーションがたまるだけで、なんの問題解決にもならない。
・「独善主義」(ひとりよがり)の思考である。他人の立場は考えず、自分一人だけが正しいと思い上がっている。あるいは、他人を見下して自己満足にふけっている。
・「ひとまとめ主義」の思考である。多様なはずの「マンガ」「創作」「編集者」を「十把一絡げ」に扱っている。「最近の若者はなっとらん」というオヤジと同じ思考である。
・心の根底に、他人への「敵意」がある。← こころあたりはありませんか?
・「自分は憎まれている」と感じるのは、自分の敵意が相手に「投射」されているためである。
・自分の能力を過大に評価するのは「誇大妄想」で、躁状態の副産物である。

・純粋すぎる人は、もろい。(薄汚れてる奴はしぶとい)
・熱く語るタイプは、消えやすい。

 

《解決方法》

・「~であるべきだ」という「虚構」や「独断」を改める
・「絶対」「定説」「真理」という言葉を疑ってみる。
・他人を敵視する自分に気づいたら、敵意を持つ「根拠」を考える。こちらの不当な思いこみで、相手の人格を否定していないか?
・主義の違う者に、嫌悪感や敵愾心を持ってはいけない。すべての他人は自分とはまったく異なる存在である。知識も性格も考え方もそれぞれに違い、それぞれに独自性を持っている。その現実を認めること。
・他人と自分を「比較」するのはナンセンスだ。
・上昇志向を持つのはよい。しかし、主張を他人に「押しつけ」てはならない。
・熱くなりすぎない。熱くなりはじめている自分に気づいたら、クールに自己分析する。(習慣をつける)
・プライドは表面に出さず作品に出す。
・他人にレッテルを貼らない。他人の気持ちになって考えてみる。
・欠点のない人間なんていない。相手の長所を見るようにする。(他人を認める努力)
・作品内容に関して編集者と納得できるまで交渉する。おたがいに歩み寄る姿勢がなければよい作品はできない。
・どうしても相性の合わない編集者なら、替えてもらえばよい。それが無理なら、こちらが去るか、力関係で上になり、相手を潰すしかない。

 




◆【野蛮化】(したい放題、いいたい放題)
・むやみにいばる。非常識な行動。わがまま、無分別、利己的、不機嫌、性格の極端化、理性の歯止めがきかない。
・これは「老人性痴呆」の症状に酷似している。ただし「痴呆」はない。

 

《原因》

・「力関係」のある構造の中で、権威に酔って思考力が麻痺する。
・組織は人間をバカにする。
・仕事のストレス。
・「孤独」。自分のまわりに信頼できる人間がいない。本音で忠告してくれる仲間も部下も師匠も両親もいない。ひとりぼっち。周囲は敵ばかり。

 

《解決方法》

・つねに「謙虚」をこころがける。
・適度なフラストレーションの発散。(遊び)
・社交的に生きる。仕事や利害の絡まない友人をつくる。人間どうしの支え合い。ソーシャルサポート。(オンジにはハイジ、スーさんにはハマちゃん)
・「帝王学」などを修養するか、あるいは「信仰」をもつ。

 

 

◆【完全主義】(完璧主義)
・「100パーセントの仕事をしなければ満足できない」――これは完全主義の思
考である。やる気をおこさせる反面、心にねばりがなくなる。
究極を追求するタイプはもろい
・妥協をしらないということは「中庸」ではないということだ。
・創作に「完全」はない。どこかで妥協しないときりがない。

 

《原因》

・パターンに乗るとラクなのに、それを壊そうとした。
・リアリティを追求しすぎた。(書き込みすぎ)
・単純化を追求しすぎた。
・遅筆、寡作(かさく)、スピードが遅い。
・まじめすぎた。
・自分を追いつめるタイプ。
・自己満足の部分がある。(作品を客観視できない)

 

《解決方法》

・「完璧」を求めるのではなく「なるべくうまく」やる。
・心に「ゆとり」をもつ。
・少しは「我慢」する。
・作品をパターン化する。
・締め切りのギリギリまでひっぱらない。
・作品のクオリティの「基準」を設ける。
・客観的になって「読者に有効ではないこだわり」を捨てる。(エンターテインメント作品は「芸術」ではない)
・ときどき仕事を「さぼる」。そして「遊ぶ」。
・「駄作を絶対に書かない」ことにエネルギーを使うのではなく、毎回コンスタントに書きながら、作品のクオリティを高める努力をする。
・過去の駄作を気にせず、新作のことだけを考える。
・こだわり過ぎず、手を抜かず、あくまで「中庸」。
・パレトの法則(80/20の法則)
・最も重要な20パーセントをやれば、80パーセントは満足できる。
・ようするに「大事なことを先にやる」。
・完全主義の人は、残り20パーセントの満足のために80パーセントのエネルギーを使う。

 

《注意》

・クオリティの「手抜き」をしてはいけない。
・作者の「こだわり」は必要である。
・「7割の力で仕事をしなさい」と、他人が口出しすることはまちがっている。全力を尽くして5年後に死のうが、80パーセントの力で20年間仕事を続けようが、作家本人の勝手である。
・燃え尽きるのも一つの人生である。

 



 

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