◆【感情の暴走】
◇「怒り」(われを忘れる、キレる)
《解決方法》
・怒りがこみ上げてきたら、主張しないこと。(しゃべらないこと)。論理的思考ができないときの発言は、たとえ自分の発言であっても信用してはならない。
・怒りの感情に支配された動物としての自分を、冷静な目でながめるもう一人の自分が必要。
・怒りを静める特効薬は、自分の「驕り」に気づいて恥じ入ることである。
・相手の「無礼」に腹が立つとき、「相手は礼儀正しくするべきだ」という「べき思考」に陥っている。つまり、自分にも「驕り」がある。
・できれば相手を怒らせず、洞察力をもって接する。(冷静に観察する)
・釈迦やキリスト、神父や牧師など、おだやかなキャラになりきってみる。
・相手が知的な人物であれば、時間をおいて双方が冷静になってから、ディベートする。
・相手が理屈の通じない人物であれば「黙殺」する。諭してもムダである。しゃべってはいけない。
・「わたしは悪くない」「わたしが正義」と考えないこと。相手もそう思っている。水かけ論は無意味である。
・「勝つ」ことにとらわれず「正しい」ことを見つける。
・怒っているときは、自分につごうのいい判断をしやすい。自分を疑うこと。
・自分は「偏見」を持っていないか?
・自分は「憶測」で相手を判断していないか?
・相手はなぜその行為におよんだのか。相手の立場で考える。
・相手の短所をさがすのではなく、長所をさがす。(人によって難しい場合もある)
・自分のあやまちは、すなおに認める。
・「復讐」は前向きな思考ではない。理不尽は世の常である。「怒り」を原動力にして前向きに生きるべきだ。
・理不尽な目にあったら、仏教の六波羅蜜の「忍辱」の訓練になってラッキーだと思えばよい。
《怒りで得する方法》
・怒りをおさえて、ストレスをためないほうがよい。もっともよいストレス発散法は「よい作品を書くこと」である。心理学ではこれを、自我防衛機制の「昇華」という。
・怒りは創作のエネルギーに転換できる。(作家の特権)
・怒るときに分泌されるノルアドレナリンは、脳を覚醒させ、行動させ、活動的にする。つまり、人を「元気」にするモトである。
・創作に没頭すれば、小さなことはどうでもよくなる。
・「いまに見とれよ。見返してやるからな」と考えるのも、ガラは悪いが前向きな考え方である。
◇「悲しみ、恋心、後悔」
・むかしのことが思い出されて心がかき乱されることがある。
・感情を引き起こすのは「自分の観念」であり、事物そのものではない。(ストア派の哲学者エピクテトスの思想)
・ようするに、自分の心がイヤなことに向かうから、心がかき乱されるのであって、イヤなこと自体は、すでに心をかき乱す原因ではない。
・泣き狂っても、あの人は戻ってこない。後悔しても、事実は変わらない。
《解決方法》
・相手をどうするかではなく、自分の受け取りかたを改善する。
・自分の不幸を悔やんでいるから、不幸は消えない。悔やむより自分がこれから幸福になる方法を考える。自分にとって前向きな行動をする。
・失った相手を想うのではなく、積極的に新しい関係を求める。
◇「悪口」
・悪口に腹を立てるのは、まったくナンセンスである。なぜなら、悪口が事実なら、自分の欠点を指摘されたのだから、すなおに反省すべきであって、腹を立てる筋合いはない。また、悪口がまちがいなら、気の毒なのは相手であって、自分が腹を立てる必要はない。(トルストイ・意訳)
《解決方法》
・悪口の内容をよく吟味する。
・納得できることだけを受け入れて、あとは聞き流す。
◇「批評、批判、中傷」
・作品への「批評」は、作品の向上に役立つ情報の提供である。たとえ作品を批判されても怒る理由はまったくない。内容が事実なら、すなおに反省する。
《注意》
・批評や、アドバイスをうのみにしないこと。アドバイスに振り回されて作品がダメになることもある。アドバイスはだれにでもできるが、創作は自分にしかできない。
・デビュー時の「賞賛」ほどあてにならないものはない。うぬぼれないこと。その後の研鑽が重要。
・プロ作家になったら、自分の作品について書かれた記事を、いちいち読まないほうがよい。なぜなら、それらを読むと仕事が手につかなくなるからだ。
・「中傷」されたら「黙殺」すること。
・「中傷」する人は、あんがい「批評」しているつもりかもしれない。口は悪いが、つき合ってみると、まじめでひたむきな人だった、ということはよくある。
・作品が世間に認識されず、評論家にも「黙殺」されるようなら、少しは落ち込んだほうがよい。
意志決定のプロセス
【目的】(purpose)
・なにがしたいのか?
・目指すべき方向。
【目標】(target)
・目的を達成するために設けた目印(対象)。
・いつまでにやるか、という時間制限(基準)も含まれる。
・具体的でムリのない目標がよい。
【案】(plan)
・目的や目標を実現するための具体的な方法。
・なにをなすか?
・数多くある案の「優先順位」も成功のカギになる。
・最も重要な案から実行する。
【リスク予測】
・どんなリスクがあるか?
【リスク対策】
・リスクを具体的につぶして、案を改善。
【結論】
・計画を具体化するための正しい意志決定(修正された案)
・実践段階でも臨機応変に案を改善してゆく。
(参考文献 中島一「意志決定入門」日経文庫)
・目的、目標、案を混同してはならない。
・「案」に執着していると目的を見失いやすくなる。目的はつねに明確にしておくとよい。
・正しい意志決定には、ふだんの「情報収集」が必須。
・経験主義は捨てる。経験はデータのごく一部にすぎない。経験則にあぐらをかいて情報収集をおこたると作品が「時代遅れ」になる。
・つねに「なぜ?」と考える。物事を疑ってかかる。あるいは逆に物事を素直に考えること。
・失敗を「運」のせいにしない。失敗の原因を認識できなければ成長しない。
・「決断力」のある人は「直感力」に優れている。しかし、直感に固執するあまり、「思いつき」に流され失敗しやすい。合理的に思考せねばならない。
基準
・目標には「基準」が必要である。
・基準とは、最低限それだけは満たされるべき条件である。
・「タイムリミット」……いつまでに執筆を成し遂げるか。(締め切り)
・「ノルマ」……期限までにどれだけの枚数をこなすか。(枚数)
・「作品のクオリティ」……つねに最高傑作をめざす。(質)
・基準を設けて自分自身をしばらないと挑戦思考や意志を失いかねない。
・基準がいつも同じでは成長がない。それまでに書いた最高傑作を基準にして、それ以上をめざして挑戦するとよい。
・平均水準を狙うのが「プロ」。それを超えるののが「一流」。