つなワタリ@捨て身の「プロ無謀家」(@27watari)です。『Tokyo sewerage news(ニュース東京の下水道)』という東京都下水道局が発行している季刊紙があります(3、6、9、12月に発行)。今回の記事はNo.263号の内容を掘り下げて紹介します。
【目次】本記事の内容
『Tokyo sewerage news(ニュース東京の下水道)』の基本情報
『Tokyo sewerage news(ニュース東京の下水道)』は行政関連の施設で配布されています。
これです。
『Tokyo sewerage news(ニュース東京の下水道)』No.263号
「sewage(スーエッジ)」とは、下水処理とか下水道という意味です。上下水道の場合は、「water supply and sewerage systems」という表現となります。
『Tokyo sewerage news(ニュース東京の下水道)』は全8ページのオールカラーの政府刊行物で、1974年から発行されています。発行部数はサラリと調べた限り、不明です。ちなみに国会図書館による冊子の詳細情報はこちらです(←クリックすると国会図書館のサイトに飛びます)。
印刷はシンソー印刷株式会社(新宿区中落合)が手がけています。印刷企業10社の協業化を実施し、東京都第1号の共同工場として発足した高度化モデル企業です。政府刊行物などを扱うことができると経営も安定してそうです。
さて、冊子の概略はここまで。では、ここからは今回の特集である「下水道の役割」を掘り下げていきます。
特集 知っていますか?「下水道の役割」
紙面では「下水道の役割」が4項目紹介されています。しかし、大事なことは2点だと感じます。
そこで
私は大きな2つの役割に焦点を絞って掘り下げていきます。
◯下水道の最大ミッションは、汚水の処理によって生活環境の改善
下水道の最大のミッションは、見出しのとおりです。やはり汚水処理で快適で安心安全な生活環境を実現することが使命です。
下水道の使命を果たすために、作業は3つの大きな施設によって行われています。
それは……下記です。
①「下水道管」下水を集めて流す
②「ポンプ所」下水道管が地下深くなりすぎないように、途中で下水をくみ上げる
③「水再生センター」下水を処理してきれいな水にする
さて、基本的なことを掘り下げていきます。
「下水道管」に流される下水は3種類ある
さて、下水は3種類に分類されます。それは……下記です。
①「汚水」トイレ排水など、し尿を含む排水
②「雑排水」台所、風呂、洗濯など、し尿を含まない排水
③「雨水」
ちなみに下水道には汚水・雑排水・雨水を一緒に流す「合流式」、汚水と雨水を分けて流す「分流式」の2種類あります。この部分を掘り下げていくと話が脱線して長くなりますので、千葉県柏市の説明をご覧になってください。
「ポンプ所」は地下深くから水を汲み上げる
「ポンプ所」について東京都がわかりやすく動画で説明しています。
「水再生センター」は下水を高度処理をして川や海に放流
沈砂地(ちんさち)、沈殿池、反応槽(エアレーションタンク)などを経て、最終的に次亜塩素酸ナトリウムと混ぜられ病原性細菌の滅菌を行い河川や海に流されます。
一連の詳細は「東京都の下水道 2020」で見ることができます。
参考:東京都の下水道 2020
続いて……
下水道のもうひとつの大きな役割は、浸水を防除するための雨水排除
近年の雨量の多さは異常です。異常すぎます。都心もあちこちで道路が池になってます。
本来ならば、雨水は「雨水ます」から下水道に排除されるわけですが、最近は排除が間に合わなくなってきています。これからもこの傾向が強まることでしょう。
「雨水ます」は簡単に増設できないと思われますので、私たちも「雨水ます」に気を配りつつ、清掃などでサポートしたいところですよね。
ちなみに「雨水ます」は、「グレーチング」と「コンクリート蓋」の2種類があります。雨の日に清掃すると、劇的に水が流れやすくなります。
以前に住んでいた私の家の前にはコンクリート蓋が2つあったので、ひどいときにはガッツリズラして雨水を流れやすくしていました。
調べてみると、練馬区が「雨水ます」のことを紹介しています。
以上が下水道の大きな2つのミッションです。
ミッションを追求することで河川や海の水質が改善され、さらに下水道施設周辺の有効利用なども進んでいます。
他の特集のポイントを紹介「浸水対策強化月間」「鉄蓋大好き」「下水道れきし旅」など
他の記事のポイントを紹介します。
◯第2特集 浸水対策強化月間 ~みんなで備えて、浸水からまちを守ろう!~
第2特集では「浸水対策強化月間」ということで、浸水の注意喚起記事でした。内容は「半地下、地下室や低地での対策」「雨水ますや側溝の注意」「雨水浸透施設の設置協力」の3点。
人間が扉を開放することができる力は、成人でどのくらい???
記事では半地下建物、地下室では、道路面から建物に雨水が流れ込みやすく、ドアが開きにくくなるので、「土のう、水のう、止水板」などを準備してくださいと書いてあるだけでした。
ここで問題です!
実際にはどのくらいの水圧がかかってしまうとドアは開けられなくなるのでしょうか?
調べてみました。
建築物防災推進協議会という財団法人日本建築防災協会と建築防災関係団体で構成された組織があります。その組織によると『浸水時の地下室の危険性』ということで下記のポイントが挙げられております。
<浸水時の地下室の危険性>
・水が建物の地下に流入するスピードは非常に早い。
・閉じている扉の向こうに水がある程度溜まると、外開き扉も内開き扉も開けることができなくなる。
・低い位置にコンセントなどがあると、浸水の初期で電気系統が停止する。
<人間が扉を開放するために押すことのできる力>
・成人で10~20kgf(扉の外側に数十cm程度の深さの水が溜まると外開き扉を開放できなくなる。内開き扉も扉を固定しているデッドボルト、ラッチボルトに力がかかり開かなくなる)
<「kgf」と「kg」の違いとは? 読み方は?>
気づいた人も多いと思いますが、「kgf」という単位が出てきていますが、これは間違いではありません。最後に付いている「f」はforce(フォース:力)のことで、『重さ、重力』ということです。読み方は「キログラムフォース」となります。
物理では「kg」は正式には『質量・重量』のことで、「kgf」は『質量による力=重さ、重力』ということなんです。
雨水ますや側溝のケアをしっかりとしておこう
雨水ますや側溝に物を置いたりせず、普段から掃除をしていこうという内容です。非常に簡単な注意喚起を促す記事です。
調べてみると、雨水ますも側溝もかなりの種類があります。奥が深いです。基本的には雨水管への動線になるわけですが、浸透桝によって土中へ浸透させる対タイプもあります。また、単に雨水を貯留させる集水桝というのもあります。
水の流れる向きや勾配を変えたい場合、側溝と排水管などの接続部分には、接続桝というものが使われます。
雨水ますや側溝は驚くほど多くの種類があり、さまざまなメーカーが独自の商品を提供しています。
調べてみると、良質ゴム製の滑り止め加工がされているもの、カットが自由自在なカラーゴム蓋などが個人的に目に付きました。
参考:
桝の種類
製品ランキング 側溝・U字溝
雨水浸透施設とはどういうものなのか?
雨水浸透施設とは、屋根などに降った雨をすみやかに地中に浸透させる機能を持った施設のことです。
調べてみると、「浸透トレンチ」「浸透側溝」「雨水浸透ます」「総水性のアスファルト舗装」「透水性インターロッキングブロック舗装」「透水性平板舗装」などの種類があります。
簡単に言ってしまえば、
土の代役です。
いままで平気で土を社会から奪ってきたくせに、浸水で困ったら土の代わりとして雨水浸透施設を導入するという話です。非常に浅はかな感じですね。
最近では新規で広い(300平方メートル以上?)敷地面積の建築物を作るときには雨水流出抑制施設の設置が義務付けられているようです。
◯「鉄蓋大好き」東京2020大会仕様のデザインマンホール蓋
記事は金属・腐食金属愛好家/路上観察が好き(マンホールの蓋、送水口、境界石ほか)/マンホールナイト実行委員である傭兵鉄子さんの連載です。今回で第25回だそうです。
東京2020大会仕様のデザインマンホール蓋(全5種)の紹介でした。
これです。
設置時期は令和元年12月下旬~大会終了後までで、大会終了後、東京2020大会のレガシーとして、大会の感動と記憶を後世に継承するため、移設・展示を検討中だそうです。
設置場所は代々木公園周辺5箇所、井の頭公園・三鷹の森ジブリ美術館そば、日比谷公園・大音楽堂周辺5箇所、上野公園・不忍池周辺3箇所、夢の大橋・水の科学館周辺5箇所、自転車ロードレース基督教大学裏門交差点の合計20箇所です。設置場所は下記リンクをご覧になってください。
原稿の見出しは「五輪に見るマンホール蓋の進歩」でしたが、とくに今回のデザインマンホール蓋が先進的なものだったわけではないようです。
本来ならば前回の東京オリンピック時の下水道普及率は東京23区で40%以下だったことを強調した方がよかった気はしますが、もしかしてそこにスポットを当てたくなかったのかもしれませんね。
ちなみに現在の東京の下水道は、区部では平成6年度末に人口普及率100パーセントを達成し、多摩地域の普及率 も平成24年度末に99%になっています(下記「数字でみる東京の下水道」参照)。
参考: 数字でみる東京の下水道
さらに続きを!
では!
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私はペットボトル派です。東日本大震災後、水道水と決別し、いろいろなメーカーの水を試して10年になる私が、「そもそも水道水じゃダメなの?」「水を扱う会社が多すぎてわからない!」「生活にマッチした水選びの方法はある?」などの疑問・問題解決に関してまとめた記事です。→ 【タイプ別の賢い水選び】ウォーターサーバー? ペットボトル購入?
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